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適当  作者: 正倉院ネムル
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タイトル未定2025/09/28 22:51

実のところ自由などない。私が欲しいのは真剣に話を聞いてくれる理解者か。理解者を得るには相手を理解することだ。昔から恩には恩を返すべきと教えられてきたのはこのためであろう。私には一生無理なことだ。私は相手のことを理解しようとしない癖に自分の言いたいことを理解してくれと相手に求める。実際には口が裂けても言えない。そんなことを言えば非難されることは明らかだからだ。相手は私を理解していないことに心底腹が立ち、そして無関心になる。私は心を守るために無関心という方法を取った。それはさらに敵を作る方法だろう。それでも私はこれが一番楽だったから逃げた。楽な方に逃げ続けているうち、人生のドン底だった。曾祖母の葬式に行ったときもそうだった。私は冷たくなった曾祖母の手を握っても涙一つ流れなかった。きっと両親の葬式でもそうかもしれない。そう思うと私は自分が冷たい人間だと責める。いつしか私は人間が嫌いになった。無関心では人間は生きていけない。関われば傷つき、無関心でも敵を作る。ならば私は一番楽な無関心を選ぶ。友人が馬鹿にされたときもそうだった。私はそのとき何も言えずに頷くだけだった。その時の私は笑わなかったと思う。それだけは不幸中の幸いだった。私は友人と呼べる者がいない。彼女など作ったとしても私といれば不幸になるだろう。きっと私には守りきれない。心の中で誰かの温もりを求めていても自分から動かなければそれは妄想に過ぎない。真実を語るのが怖い。私はつい嘘をついた。嘘をついているうち、無意識に嘘をつくようになった。自分では制御できない。謝ることも多い。私はミスをする。人と関われば回避できたことも回避不可能にする。私はYouTubeを見て笑う。何もしない時間があると気分が落ち込む。家族も無関心の対象。私を理解しない者は無駄だと諦める。脳のリソースを使わなくなる。自分の誕生日、誰も祝ってくれなかったことがあった。その時は悲しかったがすぐに切り替えた。それから誰かの誕生日を祝うことにした。ただの気まぐれ。でもその相手が自分の誕生日を祝わなかったら心底腹が立った。また無関心になる。


二年続けたことがあった。でも私は何者にもなれなかった。毎日頑張った。それでも後ろから抜かされ、一緒にいた人もいつしか遠くへ行っていた。ある時言われた言葉に私は糸が切れたように頑張ることを辞めた。私がいなくても大丈夫だと理解したのだ。大したことじゃない。今まで嫌な絡みをしてくる人を相手にして、屈辱を受け続けて…頑張ってきた結果がこれだ。結局のところ私よりも努力できる人が上にいき、私よりも才能のある人が超えていく。私は私を低く見積もるようになった。このまま使い潰されてもいい。死ぬのは怖い。けど使い潰されて死ぬなら自分でも気づかずに死ねるかもしれない。


私がやってきたことは誰にも評価されていない。自分では最低の評価をつけている。あいつらは外見で判断した。私はまた無関心になった。理不尽な言葉を浴びた。私は反論した。空気が悪くなった。


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