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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
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第9話

「マガタ、東の地コクテをお前の領地とする」

「謹んでお受けいたしまぁす!」

俺はテンション高めに返事をする。

もう四回目だからな。

今回はテンション高めでいってみよう。

なんとなくこいつらの顔は覚えてきた。

しかし、誰が誰だかわからない。


また初日からやり直すんだよな……。

長いんだよ。

ロードしてぇわ。



「お兄様! お見送りありがとうございまぁす!」

さっさと行こう。

「うるせぇ!」

ドガッ!


俺はルオカにケツを蹴られる。

ウソ!

前回こんなの無かったぞ。

テンションを上げすぎたか。

「さっさと行け!」

「ハイ喜んでぇ!」



道中も無駄にできないよな。

確か、魔物が何度か出現している。

移動しながら落とし穴を仕掛け、それに魔物を落とすのは現実的ではないな。

狙うなら野営のときか。



ザクッ! ザクッ!

俺は野営地のそばに穴を掘っている。

「マガタ様ぁ、何してるんスか?」

「落とし穴だ」

「そんなことしなくても、この辺の魔物は雑魚なんで、出たら俺たちで倒しますよ」

カホクが様子を見に来て言う。


「そうだな」

ザクッ! ザクッ!

俺は返事をしながらも掘り続ける。

カホクにも手伝ってほしいところだが、それだとレベルが上がらない可能性もあるからな。


「おい」

「なんスか?」


「今夜は恐らくこのあたりから魔物が数匹やってくる。この穴に落としてから倒してくれ」

「えぇ!? なんスかそれ」


「いいから言う通りにしてくれ」

「そもそも、こっちから魔物来るとは限らないですよ」


「もし、こちらから魔物が来たら落としてから倒してくれ。ギンジョウも頼むぞ」

「はい……」

二人は不思議そうにしながらも、返事をする。


確か魔物はこっちから来たと思うんだよな。

大体の位置はわかるけど、ピンポイントで落とし穴に落とすのは無理だ。

だから、二人には誘導しながら戦ってもらう。

落としさえすれば、ある程度経験値は入るはず……だと思う。



「いや、びっくりッスわ」

「マガタ様の言う通りでしたな」

「ありがとう。おかげでレベルが上がった」


昨日野営地で俺言った方向から魔物がやってきた。

ギンジョウとカホクは交代で見張りをしてくれていたわけだが、ちっさいゴブリンがやってっきたのだ。

カホクは俺の言う通り、落とし穴に落としてから仕留めてくれた。

コイツ、言動に比べて実は優秀なのではないだろうか。


そして、俺のレベルは3から5へ上がる。

前回同様、一回罠にハメるのに成功し、スキル【落とし穴】を習得した。

これで手動でいちいち落とし穴を掘らなくていい。



あれから野営のたびに落とし穴を設置し、カホク、ギンジョウには魔物を落とし穴に落としてから倒してもらった。

レベルは8だ。

身体能力が上がっている。

ゴブリンやイノシシの魔物程度なら、今のマガタでも仕留められるだろう。


そして、東の領地コクテに到着する。

前回同様、出迎えなどはない。

「これはこれはマガタ様。このスワクタ、お待ちしておりましたぞ」

相変わらず態度がでかく、憎たらしい表情のスクワタだ。

こいつはどうでもいい。

できるだけ早い段階でヨネィザに接触するべきだろう。


「スクワタ、これまで同様お前の手腕に任せる」

俺は余計なことはしないほうがいいだろう。

「ほぉ……これはこれは、後自分の立場をよく理解していらっしゃる」

スクワタはニヤリと笑いあごの髭を触っている。

無限にムカつく表情をしているが、こいつにかまっている暇はないからな。



「ヨネィザはどこにいる?」

「兵士長ヨネィザですか?」

俺はギンジョウに確認をする。


「そうだ」

「恐らく、スクワタの屋敷の警備をしているでしょう。お会いになるのですか?」


「あぁ、そのつもりだ」

「それはやめたほうがいいでしょう。彼女はスクワタ様の私兵。場合によっては、スクワタ様に警戒されてしまいますよ」


「そうか」

なるほど。

それは良くないな。

しかし、どうにかして仲間にしないと戦力的に厳しいよな。

先にヨネィザの父の遺品を探し出すべきか?


「ギンジョウはこのあたりには詳しいか?」

「いえ、それほどは詳しくありません。私もカホクも赴任したばかりですので、事前情報が少しある程度です」


「なるほど。このあたりの情報を得るためにはスクワタに聞くべきか?」

「それはあまりオススメできません。スクワタ様は恐らくこのコクテの地に、マガタ様が関わることをよく思わないでしょう。それならば、ギルドへ依頼を出すべきでしょうね」


「どのような依頼を出せばいい?」

「調査依頼でしたら、情報を得ることができます」


「う~ん……できれば同行したいんだが、冒険者と一緒に調査に行くことは可能か?」

「調査ですか。可能ではありますが……」

ギンジョウはあまり乗り気ではないように見える。


「なにかマズイのか?」

「お金がかかります」


「そうか……いや、待てよ。兵士たちはギルドの依頼を受けることはあるのか?」

「そうですね。あまり聞きませんが受けることはできるのではないでしょうか」


「それならば……」

俺は炭鉱調査の護衛依頼を最低価格で出しておく。



「マガタ様……これは一体……」

ギンジョウは、依頼を受けた人物に驚いている。

「護衛を引き受けたヨネィザです。部下も二人連れてきました」

「ベノです。盾を得意としております」

「バナッザです。私は索敵を得意としております」

俺が接触を試みていたヨネィザが依頼を引き受けてくれた。


ヨネィザは、スクワタの私兵であるが、あくまでも目的は父親の遺品である。

このあたりの炭鉱を調査しているはずだ。

炭鉱調査の依頼があれば安くても引き受けると予想した。

狙い通りだ。

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