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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
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第8話

久しぶりの別荘だ。

夢が長すぎてなんだか現実味が無い。


俺はあくびをしながら「罠師」の本を確認する。

やっぱり夢のとおりだ。

しかし、気になる点もある。

レベルに関する会話が無い。

俺はマガタになり、罠を仕掛けレベルを上げた。

マガタが罠を仕掛けるくだりは物語に書いてあるのだが、レベルに関しては何も書いていないのだ。

ギンジョウやカホクとレベルの話をしたが、それも根こそぎカットされている。


それとは逆に、ヨネィザの話があるな。

どうやらヨネィザの父親はあの領地コクテの炭鉱で働いていたようだ。

しかし、そこで行方不明になっている。

ヨネィザは父親を探しているってところか。

あとは……?

え?

なにこれ?

別冊を参照?

別冊ってなんだよ。


とりあえず隠し部屋の書庫へ行ってみる。

隠し部屋には、古めかしい本ばかりが置いてある。

そして表紙が分厚く豪華に装飾してある。

確か、もともと「罠師」はこのあたりにあったよな……。

関連本があるとしたらきっとこのあたりだ。


お!

これは……。

俺は一冊の本を手に取る。

「コクテの歴史」

絶対これだろ。


ざっとみたところ、コクテが炭鉱として栄えたこと、後に炭鉱が魔物のすみかになったこと、領主マガタがやってきてすぐに滅びたことが書いてある。


しかし、このまま本を見ているのはよくない。

本来の目的を忘れてはならない。

俺はバイトなのだ。

本の整理という仕事がある。

しかもその仕事は終りが見えないほど膨大なのだ。

しっかりとやっておこう。



今日も夜は温泉だ。

ここは別荘地で、夏休みに入ったばかりだがそこまで混雑はしていない。

しかしお盆期間に入ったら激混みだろう。

昨日はここでカツカレーを食って帰ったが、今日は温泉にだけ入って出てくる。

この時間ならスーパーが値下がりしているはずだ。

俺は、帰りにスーパーに寄って、刺し身と焼き鳥、ハイボール、明日の朝食のパンを買って別荘へ帰る。



プシュッ!

ハイボールの缶を空け、焼き鳥を頬張る。

ゴクゴクッ!

うめぇ~……。

仕事の後の一杯は最高である。


スケジュールとしては一週間とってあったが、とても一週間でできる量ではない。


俺はハイボールを飲みながら「コクテの歴史」をペラペラとめくる。

マップだな。

コクテを中心にかつて炭鉱だった場所、魔物が発生しているところが書いてある。

この本は夢に持っていけないからな。

できる限り暗記だ。

暗記は比較的得意だが、今アルコールを摂取している。

まぁなんとかなるか。


それからコクテの兵士長ヨネィザについても記載があるな。

なるほど、ヨネィザの父が炭鉱で働いていたようだ。

そのときに、魔物に襲われて亡くなっている。

ヨネィザは父の遺品を探しているのか。

遺品探しを手伝えば、仲間にできる可能性があるな。

しかし、炭鉱は広く複雑だ。

ヨネィザの父の遺品を探すのは相当大変だぞ。


さらにページをめくると、炭鉱内部のマップがある。

俺は炭鉱のマップをくまなく見ていく。


あった。

ヨネィザの父はここで亡くなっている。

ちょっと待て。

ここまでのマップ全部を暗記するのは厳しいぞ。


いや……。

俺はグビグビと水を飲む。

ハイボールはもうやめておこう。

全力でマップの暗記だ。

RPGの鬼と呼ばれていた頃が懐かしいぜ。

本気でやってやる。

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― 新着の感想 ―
騙されたと思って1話だけ読んでみましたが、先が気になり最新話まで読んでしまいました。この先も楽しみです。 作品の内容が全く書いていない怪しいあらすじしか無く読むのをしばらく躊躇していたので、できれば軽…
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