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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
53/53

第53話

再び夢の中に戻ってきた。

薬師の家族を守らなければならない。


毒消し草の倉庫が燃えるのは日が暮れる直前、夕方だった。

そのとき、薬師とその家族はすでに全員が死んでいた。

奴は真っ先に薬師を殺しに来る。


そろそろだな……


レベルが上がったとはいえ33だ。

【鉄壁】のスキルもあるが、おそらくまだ相手にならないだろう。

しかし奴を倒す必要も勝つ必要もないのだ。

とにかく帰ってもらえればいい。


ザッ……


!?


一瞬黒い影が横切るのを確認した。





ザシュッ!!









チュンチュン……


はいはい、ゲームオーバーですね。

強過ぎだろ。

レベル上も一気に上がったのに即死ってどんだけだよ。

かろうじて黒い影が横切るのが見えるようになっただけだ。


俺は本を確認する。


チギーが一瞬黒い影を確認したところにしおりを入れておく。


夢に入った瞬間に【鉄壁】を発動するしかねぇな。









ザッ……


黒い影が……


【鉄壁】!!


ガキンッ!!


よし!!

全くタイミングはわからないが、しおりのおかげで【鉄壁】のタイミングが合う。

やはり【鉄壁】は効果時間中無敵だ。

あれほどの斬撃なのに一切ダメージが無い。


「お、お待ちください!!

 私は味方です!!」

とりあえず嘘をつく。

なんでもいいから、こいつには帰ってもらおう。

「!?」


ザッ!!


金髪は距離を取って警戒している。


「計画は失敗です……」

「なに!?

 失敗だと……そんなことが許されるわけないだろう!!」


「オシバラ様のご命令です!!」

確か、こいつオシバラって貴族の近衛騎士だろ。

よくわからんが、上からの命令って言っとけば帰る可能性が……




ザシュッ……




「なん……で……?」

「バカが……その名をこんなところで口にするな!!」

なるほど、そういうことね。









チュンチュン……


クッソが!!


ダメだ……

この世の金髪みんな嫌いになりそう。

クソ強い。

強過ぎ。


もう一回だ!!








【鉄壁】!!


ガキンッ!!


「お待ちください!!

 私は味方です!!」

「!?」


ザッ!!


また金髪は距離を取って警戒している。


「計画に変更がありました。

 後のことは私にお任せください。

 必ず、任務を遂行してみせます」

俺は金髪にひざまずく。

あとなんか失敗はダメとか言ってたし。

とりあえず引き継ぎって方向に話をもっていく。


「それは、あの方の意思なのか……?」

「はい、ですから問題はありません」


「なるほどな。では、あとのことは任せる」

金髪は剣をしまう。

ムカつくな。

何度も殺しやがって。

ここで一発【落とし穴】でも使ってやりたいが、確実に殺されるだろうな。


「承知しました。

 お任せください」

「フン……」

ザッ……


金髪は凄まじい速さで消えていく。


「ふぅ……」


あっぶねぇ……

なんとか生き延びたよ……


!?


身体が軽い。

レベルアップだ。


レベルは61。

上がりすぎだろ!!

あの金髪、どれだけの村人を殺すつもりだったんだ?


そして新スキルゲット。

【金剛壁】

なんだこれ。

【鉄壁】の上位版か?


【金剛壁】!!


だな。

上位版だ。

【鉄壁】よりも若干長く身体が光る。

効果時間が長いのだろう。


「ふぅ……」

なんとかニッコーを守り切ったな。

一旦戻るか。


俺は指輪を外す。








チュンチュン……


別荘である。

しかし、なんともスッキリしないな。

罠で盗賊を谷底へ落とし、金髪ロン毛を嘘で追い返す。


熱血漢のチギーさんはこれでいいのか?


ブー……ブー……


着信だ。

渋谷先生だな。


「はい。書咲です」

「おはようございます、書咲くん。

 この前のさ振り込みの件あったじゃない?」


「はい。70万が振り込まれていた話ですね」

「そう。

 それなんだけど、振り込んでる会社わかったよ」


「ほんとですか!?」

「うん、僕今日午前中大学にいるからさ、来れる?」


「はい、もちろんです。

 準備してすぐにうかがいます」

さすがは渋谷先生だ。

ネットで調べても出てこなかった謎の会社なのに。


俺は急いで準備をする。

ただし、コーヒーだけはゆっくり飲む。

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