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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
52/53

第52話

よし、一旦引こう。

多分だが、これで野盗の侵入は防げたはず。

だが、金髪の方は単体で村に迫っている。


奴は単体で行動を起こすか?


ありえるな……

奴なら単身で村人全員を皆殺しにできる。

野盗を遠ざけても、結局奴をなんとかしなければならない。


奴が来る前に、村へ戻るべきだな。








!!


不思議な感覚がある。

間違いない……


【落とし穴】が発動した。


そして身体が軽くなっていく。


レベルアップだ。


俺は胸元のアザを確認する。


33だ。

レベルが33まで上がっている。

これは間違いない。

野盗どもが吊り橋から落ちたな。


これにより村人が助かり、レベルが上がったということだ。


そしてスキルだ。

レベルアップにより、スキルを習得している。


【鉄壁】


おぉ……

戦士系っぽい。

今までは全部罠だったからな。


【鉄壁】を発動してみる。


「………………」

身体が光った……

1秒くらい身体が光ったな……

防御スキル、だよな……


攻撃をくらう直前に発動させろってか。

訓練所で試してみるか。


昨日カガシに案内された訓練所へと向かう。

この前と同様に少年たちが訓練をしている。


「すまない、ちょっとこれで攻撃してくれないか?」

「え?」


「あぁ、ちょっとスキルを試したくてな。

 頼む」

「そういうことですか」

俺は少年に訓練用の木の剣を渡す。


「思い切り攻撃してみてくれ」

「はい!!」


【鉄壁】!!


ガキンッ!!


木の剣で攻撃されたにも関わらず、金属音が鳴り響く。


「て、手がしびれる……」

少年は手首をおさえている。

「すまん、大丈夫か?」


「はい、別に怪我ではないので……」

防御スキルだな。

攻撃の無効化?

いや、単純にこの少年が弱かっただけの可能性もあるな。


まぁ無効化まではいかなくても、ダメージの軽減は間違いないだろう。


しかし、金髪の方は来ないな。

どこかで野盗と合流するつもりだったのか?

諦めてそのまま帰還してくれればいいが……








昼になるが、やつは来ないな……

やはりあの盗賊達と合流し、それからやってくる手筈だったのだろう。

これで村人全員を救ったことになるのか?


なんだか落ち着かないな……


とりあえず変化がないか村を見て回ろう。


まずは薬師のところだな。

ニッコーの村が存続していても、キヌガルに毒が盛られる可能性は十分にあるからな。

毒消し薬は買っておくべきだろう。


「もうすぐ仕入れの人が来るよ」

「わかってる!! 毒消し草、どんどん持ってきて!!」

薬屋のところへやってきた。


この前と同じように、若い男が大きな袋を店の奥へと持っていく。

「姉さん、ここにもう一つ置いておくよ」


男は俺に気づく。

「すみません、お客さんでしたか」

「あぁ、毒消し薬を購入したい」


「ありがとうございます!!

 少々お待ちください」

男性は奥へと入っていく。

この前と同じだ。


「こちらです」

ゴト……


これでキヌガルの死は再び回避だ。








結局金髪ロン毛はこなかった。

奴なら単身でも村の壊滅は可能だろう。

しかし、一人も残さずにというのは難しいのかもしれない。


まぁ本業は近衛騎士だからな。

見られたらまずいのだろう。

野盗はそのカモフラージュのための協力者ってか?


そろそろ日が暮れる……

初回ではとっくに全滅している時間帯だ。


乗り切ったな。

戦闘なしで乗り切ることができた。

これで大幅レベルアップはでかいぞ。

今後の護衛が確実に有利になる。


「火事だ!!

 火事だぞ!!」

なんだ!?


バタン!!


俺は宿屋の窓を開け、外を見る。

あれは、毒消し草の倉庫か?


やられた……

毒消し草の処分てことか……


!!

てことは、まずい!!


薬師が危険だ!!


俺は宿屋を飛び出て、薬師のところへ向かう。


「おい!!

 無事か!?」

勢いよく扉を開ける。


!!


遅かったか……

店番の男と薬師、そして小さな女の子まで……


ゲス野郎め……


村全体を救ったにしてはレベルアップの幅が小さいと思ったんだ。

全員を救えたわけではなかったんだな。


これはやり直しだ。


「………………」

俺は指輪を見つめる。

あのメモにはこう書いてあった。


『回帰を望むのならば、指輪を外すべし』


青白く輝く指輪を外す。









チュンチュン……


別荘に戻ってきた。


やっぱりこういうことね。

回帰を望む……やり直しをしたいなら指輪を外せってことだ。

リセットだな。

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― 新着の感想 ―
死ななくてもリセットできるのは話が早くて助かるね
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