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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
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第50話

俺はカガシの案内で村を見てまわる。


「少し大きい建物は、ほとんどが倉庫みたいだな」

「そうですね。

 ニッコーは毒消し薬くらいしか産業がありませんから。

 採取した毒消し草を保存しておく倉庫が多くあります」


「毒消し草ってのは、薬師じゃないと薬にできないのか?」

「いえ、一応誰でもできるんですが、薬師がスキルを使って生成した方が効力が圧倒的に高いんですよ」


「なるほど……」

金髪ロン毛の目的が完全に毒消し薬だった場合、毒消し草の倉庫よりも、薬師のところにある薬の方が危険だろうな。


「だとすると危険じゃないのか?」

「なにがです?」

ここはネタバレしないように注意だな。

ギリギリを攻めていく必要がある。


「たとえば、毒消し薬を狙って盗賊なんかが攻め入ってきたとする。

 その場合、薬師のところが真っ先に狙われるんじゃないのか?」

「いやぁ、それは無いと思いますよ」


「あれを見てください」

カガシは少し大きい建物を指さす。

「あれも倉庫か?」


「いえ、あれは訓練所ですよ。

 俺もあそこの出身です。

 この村には魔物はほとんど出ないんですが、山の方にはある程度でます。

 村の産業は毒消し草ですからね。

 採取しにいかなくちゃいけないんですよ。

 だから、最低限戦えるように訓練するんです」

「なるほど」


「それで俺みたいに兵士として働く人間も出てきますし、最低限村の警備はできるんですよ」

「警備を突破してまで村を襲おうとするってのは考えられないわけか……」


「そうですね。

 俺みたいに兵士やったり、普通に魔物と戦った方が稼げますよ」

となると村を襲ってまで毒消し薬を強奪するメリットは低い。

やはりあの金髪ロン毛は、意図的に毒消し薬の流通を止めたいから襲ったってことだな。


「訓練所を見てもいいか?」

「はい、行ってみましょう」

カガシと一緒に訓練所の中へ入る。


「あまり人はいないな……」

中に入るが、それほど活気はない。

数人が訓練しているだけだ。

そしてみんな若いな……いや、幼いといってもいい。


「そうですね。

 戦える者は外に行くことが多いんです。

 毒消し草の採取がありますから、その護衛もありますし」

そうか。

だから奴らは昼間にニッコーを襲ったんだな。


「それに、魔物を倒してレベルアップする人間の方が多いですから」

「ここにいるのは、訓練でレベルが上がりやすい人間ということか……」


「そういうことが多いですね」

訓練を見る限り、弱いな……

今のチギーでも楽勝だ。

まぁここから兵士を目指す村人があらわれるって話だからな。

かなり若いし、これから強くなるって感じか。


野盗相手なら多少は戦えるだろうが、正直戦力としては期待できないな。

金髪ロン毛なら一人で村を壊滅させられるだろう。

仮に外に行っている人間が戻ってきたとしても、奴を倒せるイメージがわかない。


村人の戦力はほとんど期待できないな……


「村のことは大体わかった。

 周辺を案内してくれ」


「周辺といっても、何もありませんよ?」

「そうか……それじゃ、見晴らしがいいところはあるか?」


「そうですね。

 山頂まで登るのは大変ですが、ある程度見渡せるところならありますよ」

「案内を頼む」

まずは地形を確認したいからな。


「しばらく歩きます。

 食事も持っていきましょう」







「確かに見晴らしがいいな」

カガシの案内で周辺が見渡せるところまでやってきた。

風が気持ち良い。

「今はだいたいこの辺りにいます」

彼は地図を広げて教えてくれる。


村に続く道は3本か。

一つは俺が使ってきた道だ。

残り二つのどちらかから奴らがやってくるだろう。


「………………」

まずいな。

村の状況や周辺の地形を知ることができたが、特に対策を思いついたわけではない。


マガタのように多様な罠を使えるわけではないのだ。

【落とし穴】は現実と同じで1日一回だろう。

ネタバレ禁止だから、村人を避難させることもできない。

村人も戦力としては期待できない。


野盗ならば倒すことができるが、金髪ロン毛は動きすら見ることができないほど力の差がある。

手持ちの材料が少なすぎる。


クソゲーかよ……

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