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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
49/53

第49話

「ほら立て!!」

目の前には木剣を持ったおっさんがいる。

キヌガル騎士長だ。


「はい!!」

俺はすかさず立ち上がると剣を構える。


最初からやりなおしである。

再びレベルは18。

しおりを最初のページに戻し、初期状態で戻ってきたわけだ。


いや……前回と違う……

初期状態じゃない。


指輪だ。

書斎で見つけた指輪。

今の俺、チギーは指輪を装備している。


この指輪……

『継承を望むのならば、指輪を身に付けるべし』

俺はメモの内容を思い出す。


罠……


使える……


感覚的に理解できる。

罠が使える。


これは現実と同じ……

【落とし穴】が使えるはずだ。








「故郷に帰りたいだと?」

「はい。

 今一度初心にかえり、自分を戒めたいと思います」


「なるほど……確かに今のお前には必要かもしれんな。

 いいだろう……」

「ありがとうございます!!」

俺は再び帰省の許可をとる。

これで3回目だ。


最初の目的はレベルアップ条件を見つけるため。

2回目は毒消し薬を手に入れるため。

そして、今回はニッコーの村を救うためだ。


今回の目的が一番難しいだろな……


ニッコーの壊滅イベント。

最初は確定の負けイベントだと思っていた。

なぜなら金髪ロン毛が強すぎるからだ。

実際今の段階で倒すのは不可能だろう。


俺が負けイベントだと認識したのは、奴らを倒そうとしたからだ。

しかしチギーのレベルアップ条件は、奴らを倒すことではない。

命を救うことだ。


奴らを倒すことにこだわらず、とにかく村人を逃がすことに集中すれば勝機は見えてくるだろうか。







「ニッコーへの護衛?」

俺は街の兵舎へやってきた。

チギーが近衛騎士団に入る前に所属していた古巣だ。


「それならターワラへ行く行商人が募集しているでしょう」

「いや、そうじゃないんだ」

行商人の護衛としてついていっても、ニッコーの壊滅イベントとは時間差ができてしまう。

だから行商人と行動する選択肢はなしだ。


「俺の護衛を雇いたい」

「あなたの護衛?

 兵士から近衛騎士に抜擢されたあなたの?」

そりゃ不思議に思うわな。

兵士の中でも近衛騎士はエリートだ。

その近衛騎士が、兵士に護衛を頼むなんて不自然だ。

だが、戦力はできるだけ多い方がいい。

何人か連れて行くことはできないだろうか。


「自分より強い人の護衛?

 そりゃ無理ですよ」

「なんとかならないか?」


「みんな嫌がるんじゃないかな」

そうか?

護衛対象が強いなら仕事としては楽だろ。

まぁ実際は死地に向かう余裕なもんだが……


「それじゃ護衛じゃなくていい。

 ニッコーとその周辺に詳しい人物を紹介してくれ」

「それなら何人かいますよ」

そっちはいいのか。

コスパ良く働きたいみたいな価値観はないんだろうな。







「弓兵のカガシです。

 よろしくお願いします」

若いな。

10代だろう。

こいつも殺されるわけにはいかないな。


「チギーだ。

 ニッコーの案内、よろしく頼む」

ニッコーへ向けて出発する。


「ニッコーの産業はやはり毒消し薬がメインなのか?」

「そうですね。

 毒消し以外はこれといった産業はありません。

 のどかな村ですよ」


「魔物や盗賊なんかが出ることは?」

「魔物はでます。

 ニッコーは山間部で毒消し草の産地でもありますからね。

 山から魔物が出てくることもあるんです。

 ですが、盗賊は聞いたことないですね」

やはりあの野盗は、特殊なケースだよな。

あの金髪ロン毛によってけしかけられたと考えるのが普通か。


「周辺の地形も確認したいのだが、その案内も頼めるか?」

「もちろんですよ」

【落とし穴】が使えるからな。

地形の確認も必須だろう。

村人の避難経路も確認しておきたい。

奴らを倒す必要はない。

村人を逃せば勝ちだ。

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