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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
44/53

第44話

「ここは俺に任せて!!」

言ってみたかったやつだ。

「………………」

彼はうなずくと野盗を迂回して走り出す。


「そうはさせるかよ!!」

「は!!」

野盗が攻撃をしようとするが、俺が咄嗟に前へと出る。


ガキンッ!!


野盗の剣を受けとめる。

問題ない。

やはりチギーは強い!!


ドスッ!!


俺は剣で防御したまま、野盗のみぞおちに前蹴りをする。

「がはっ!!」


「うらぉ!!」

最初のやつが悶絶しているが、相手は4人だ。

野盗が斧を振りかぶってくる。


「遅いぜ!!」

振りかぶっているせいで、腹がガラ空きだ。


ズシャッ!!


俺は野盗の腹をぶった斬る。

これはいけるぞ。


やっぱチギーは強い。

レベル18とは思えない。

これで弱い方って、近衛騎士のレベル高すぎだろ。


「ち……」

野盗が距離を取る。

俺は自分の胸元を確認する。

胸にあるアザの数、つまりレベルは変わっていない。

野盗一人をぶっ殺しても変わらないってか。


とりあえずこいつら全員を倒してレベルの確認だな。


ダッ……


俺は踏み込むと、悶絶している野盗に近づく。


「は!!」


ズドッ!!


首を斬り落とす。

「クソ……」

残りの二人は走って逃げ出す。


「おせぇんだよ!!」

俺はそのうち一人を追う。


ザシュッ!!


逃げる野盗を背後から斬りつける。

あと一人だが……


商人たちの方を見る。


!!


まずい!!

商人はすでに倒れており、護衛も苦戦している。


さらに野盗が集まってきた。

20人近くいるんじゃないか?

チギー一人では厳しいな……


「一人も逃がすな……」

なんだ?

野盗には見えない銀色の鎧を着たやつが現れる。


明らかにつよい……

周りの雑魚とは雰囲気が違う。

金髪のロン毛、銀色の鎧。

こんなに目立つ野盗がいるか?


「お前は盗賊には荷が重いようだな」

「あんたは野盗には見えないが?」

やべぇ強そうなんですけど。


「フン……」

無視ですか。


ズシャッ!!


え?








チュンチュン……


はいはい、ゲームオーバーですね。

速すぎて斬撃も見えなかったってわけですね。


まぁしかし、即死は助かる。

夢なのに結構痛いからな。

ただし、現実ほどの痛みはない気がする。

首を斬り落としたときの感覚も、少し現実とは違う……


不思議な夢……

まぁ夢だからな……


ちなみに今日はお休みだ。

テニスサークルの部長に呼び出されている。

まぁあんなことがあったしな……


ただ、俺はもうサークルを辞める。

それはすでに伝えたはずだ。

まぁ仕方なく行くわけだが……









「なぁ書咲、なんとか残ってくれよ」

「嫌だよ、めんどくせぇ」

大学の食堂で説得が始まる。

ただし、俺はサークルに残る気はない。


「今度寿司奢るからさぁ」

「どうせ100円寿司だろ?

 まぁ美味いけど……てかさ、俺そもそもそんなにサークル活動参加してないじゃん。

 別にいなくても良くないか?」


「だってさ、お前のレポートをあてにしてる後輩がいるだろ」

「うわ……よりめんどくせぇ……

 なんで後輩のレポートのために残んなきゃいけないんだよ。

 それに、この前の飲み会やばかっただろ。

 もう気まずくて参加できないよ」


「いやいやいや、あれは若林先輩が悪いって話になってきてさ」

「はぁ? 今更なんだよ?

 それに悪いのは田村だろ」

なんだそれ。

どういう流れだよ。


「まぁ田村さんは男子人気高いからな」

「いや、それ関係ねぇだろ」


「ただ、女子の方がね……

 まぁなんだ。

 お前、後輩の女子にも人気あるみたいだぞ」

「知らねぇよ。

 話変えるなよ」


「いや話変えてるわけじゃなくてさ、後輩の女子もお前に残って欲しいってのがいるわけ」

「そんなん言われて残ると思うか?」


「え? 俺なら喜んで残るけど?」

「………………」


「一応籍だけ残しといていい?」

「はぁ……わかったよ」

まぁ活動に参加する気は一切ないけどな。


全く……無駄な時間を使ってしまった。

これなら書庫の整理のほうがマシだ。

部長が大変なのはわかるけど、俺だってバイトがあるしそこまでは協力できない。


俺は学食で弟の弁当を買って駐車場へ行く。


「あの、この前はありがとうございます」

「ん?」

確か、先月会った子だ。

駐車場で俺の隣を利用している人だな。

おそらくだが、大学の後輩だろう。

黒い髪が腰くらいまである清楚な女子だ。


「あぁ、全然いいよ」

「あのときは急いでいたので」

先月車のライトがつけっぱなしで、バッテリーが上がっていたんだ。

それで、俺の車のバッテリーを繋いでエンジンをかけた。

ガソリンスタンドでのバイトが役に立ったわけだな。


「先輩は3年生ですよね」

「そうだけど」

えっと、なんで知ってるんだろうか。


「この前講義室で見かけたので」

「あぁ、そういうことね。

 キミは?」


「2年生の神谷原です。先輩は?」

「3年の書咲。バッテリー見てもらったほうがいいよ。

 一回あがっちゃうと機能が落ちちゃうからね」


「あ、ありがとうございます。

 あ、あの!!」

「ん?」


「お礼にお食事でも……」

「あぁ、本当に気にしないでいいよ。

 それにホラ」

俺は学食で買った弁当を見せる。


「弁当買っちゃってさ、弟の分も」

「あ、あの!!

 それなら後日!!」


「あぁ、後日ならいけるかな」

「それじゃ、連絡先を教えください」

俺たちは連絡先を交換する。


「ありがとうございます!!

 絶対、絶対ですよ!!」

「了解」

律儀な子だな。

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