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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
43/53

第43話

ターワラに一泊し、翌日出発することになる。

「もう戻るのかい!?」

「あぁ、近衛騎士の仕事もあるし、帰りも商人の護衛があるからな」


「記憶が戻るまで村にいるわけにはいかないのですか!?」

「あぁ、俺にはやるべきことがある」

そして、ここで得られる情報はもう無い。

とにかくレベルアップの条件を見つけなければ詰みだからな。


「それは……記憶がなくても兄さんらしいですね……」

ノザキは目を伏せる。

ちょっとやめてくれよ……

物語の人間に罪悪感を抱く……

それは、彼がチギーの弟だからだろう。


まぁ生意気な俺の弟とはタイプは異なるが……


「大丈夫、安心しろ。

 なにしろ近衛騎士の仕事は重要だからな。

 次に戻ってくるときには、ちゃんと賃金を持ってくるよ。

 美味い肉を食わせてやる」

俺はノザキの頭をつかみ、ゴリゴリと撫でる。


「はい、待っていますよ!!」









ターワラを出発して1日。

ここまで来たときと同じ道だ。


「ここから古い道に入っていきます。

 少し遠回りになりますが、ニッコーで毒消し草を買うことができますよ」

「助かります」

とりあえず毒消し草を買って、キヌガル騎士団長の死亡を回避だな。

彼が生き残った場合、どのくらい影響があるのかはわからないが、物語は良い方向に向かうはずだ。









「静かな村ですね」

商人と俺を含む護衛はニッコーの村に到着する。

しかし、村が静まりかえっている。


「あまり活気のない村なんですか?」

「いえ……ターワラとそう変わらない村なのですが……」


「止まって!!」

護衛の一人が声をあげる。


「妙だ……人の気配がない」

「確かに……」

村が静まりかえっており、人の気配が全くないのだ。


「あなた方はここで護衛を。

 私は街の様子を見てきます。

 みなさん、すぐに移動できる用意だけしておいてください」

「わかりました」

この場の全員に緊張がはしる。

街になにかあったのだろうか……


「近衛騎士のあなた、ついてきてくれませんか?」

「あぁ、もちろん」

俺は護衛のリーダー的な人に指名される。

彼と一緒に一番近い家の前まで来る。


「………………」

やはりまったく人の気配がない。


「………………」

ノックもせずに家の扉をゆっくりと開ける。

なるべく音を立てないようにだ。


!!


死体だ……


「これは……」


護衛のリーダーと周辺を確認する。

部屋が荒らされている。

野盗の仕業だろうか。


「やられてからほとんど時間がたっていない……

 まずいな……」

「近くにいるってことか?」


「あぁ……戻るぞ……街全体がやられている可能性が高い。

 この護衛の規模では全滅させられる可能性がある」

「了解……」

マジかよ。

確かに相手が野盗なら、行商人もターゲットになるだろう。


街全体を壊滅させる野盗の集団が近くにいるとすれば、この護衛だけでは対応できないと判断したわけだな。

さっさと逃げるべきか。


「………………」

俺たちは足早に行商人のところへ戻る。


「な!!」


行商人たちを取り囲むように野盗がいる。

10人……いやそれ以上いるな。


「逃げるぞ!!」

「商人たちは!?」


「無理だ!!

 街に戻ってこのことを報告する!!」

クソ……マジかよ。

商人は見捨てろってか。


「そいつはこまるな」

野盗だ。

こっちにも4人。

俺たち前を塞ぐように立ちはだかる。


「あなただけで行ってくれ!!」

チギーは強い。

近衛騎士の中では弱い方だが、野盗相手ならある程度戦えるはず。

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