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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
42/53

第42話

「無事でよかったわ……」

「し、心配かけて悪かったね……母さん」

俺は厳しい訓練過程で頭を打ち、記憶が曖昧という設定で話を進める。

しかし、チギーは母親をなんと呼んでいたのか不明だ。

とりあえず無難に母さんと呼んでおく。


「それで、体の具合は大丈夫なの?」

「あ、あぁ……問題ないよ。記憶が曖昧だけど、すぐに戻るんじゃないかな?」


バタンッ!!

家の扉が開く音が大きくする。


「兄さん!!」

誰だ?



「大丈夫なのか!?」

「あ、あぁ……」

兄さん、ってことはこいつはチギーの弟だな。


俺がボケっとしていると、チギーの母親が弟に説明をする。

「チギーは訓練で頭を打ったらしいの。

 それで記憶が曖昧で……」

「なんだって!?

 俺は!?

 俺は覚えていますか!?」


「えっと……弟の……」

いやわからん……

すっげぇ直視してくるし……

言いにくいわ……


「弟のノザキです!!

 兄さん、なんでも俺に頼ってください!!」

暑苦しいな。

もしかしてチギーもこんな感じだった?


「あ、あぁ。ありがとう」

「ノザキ、村を案内してあげなさい。

 何か思い出すかもしれないわ」


「もちろんだ!!

 それから母さん!!

 寝ていなくちゃだめじゃないか!?」

「わかってるわよ」

「え?」

寝ていなくちゃダメ?


「母さんは具合が悪いのか?」

「あぁ、母さんはずっと病弱なんだ……」

なんだよ……


病弱な母親と弟の3人家族。

俺と同じだ……


「母さん、兄さんのことは俺に任せて」

『近衛騎士』の本の中には、チギーの家族のことなんて書いてなかった。


同じ家族構成……


偶然……なのか?









「よく覚えているよ、俺はチギーに助けられたんだ」

俺は弟のノザキと一緒に村を周る。

「あの、そのときの状況を詳しく教えてください」


「いつも通りさ、ほら、あそこの畑だ。

 あそこの畑で農作業をしてたんだ」

村人が指さした先に畑がある。


「こっちだ」

村人は畑まで移動する。


「ここでさ、農作業をしてたわけよ。

 向こうから魔物がやってきてよ。

 大声を出したってわけだ。

 なにしろこの辺りに魔物が出ることなんてほとんどないからな」

「そうなんですか?」

「はい、ここターワラもそうですが、村は基本的に魔物が出にくいところに作られるんですよ」

村人に質問すると、ノザキが代わりに答えてくれる。


「まぁ1匹だけだからそんなに脅威にはならないんだけどな。

 だけど、俺は根っからの農夫だから。

 作物系のスキルしかもってないんだ。

 だから魔物は倒せない。

 そんでチギー、お前が助けてくれたってわけだ」

「なるほど……ちなみに、攻撃を受けたりしましたか?」


「いや、お前が背後からゴブリンの頭をぶっ叩いてくれたんだよ」

「それで魔物は倒れたんです?」


「あぁ、背後から頭に一発。

 当たりどころが悪かったんだろう。

 一撃だったぞ」

「兄さん、そのときにレベルアップしたんだよ」

「なるほど……」


防御じゃ無いな。

魔物を攻撃した、あるいは倒したからレベルアップと考えるのが普通だな。

別の可能性があるとすれば、村人を守ったからとも考えられる。


チギーは攻撃をしてレベルアップしたと考えていたわけか。

そして、近衛騎士たちの遠征で魔物と戦い、レベルアップを試みていたと……


だが、それではおそらくレベルアップしないな。

まず本の中では、チギーが強くなったとか成長したような描写はほとんど無かった。


それに、ここターワラに来る道中で魔物を数匹倒している。

魔物を攻撃する。

魔物を倒す。

商人を護衛する。

全ての条件を満たしたが、レベルは全く上がっていない。


村人を守ったときとの違いはなんだ?

まだ情報が少ないな……これだけじゃ何もわからない。

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