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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第二章 近衛騎士
40/45

第40話

ゴンゴン!!

「おいチギー入るぞ」

「はい」


ガチャ……


先輩騎士のクロイソが入ってくる。


「おい聞いたぞ、お前明日の遠征行かないんだって!?」

彼は入ってくるなり大きな声を出す。

「はい……まぁ正確には行かないのではなく、行けないんですけど」


「どういうことだ?」

「いや、今日の訓練の動きで連れて行くのは危険だと……」


「はぁ!?

 お前、それで引き下がったのか?」

「はい……」


「そこは粘れよ!!

 キヌガル騎士長だって鬼じゃない。

 お前の気概が見たかったんじゃないのか?」

「………………」

気概か。

なんか根性なしみたいに扱われてしまったな。


正直いい気はしない。

夢での訓練なんてやってられないと思っていたことは事実だ。

しかし、気を抜いていたかと言われると意外とそうでもない。


訓練はきつかったが、やってみると本気になってしまう。

俺はクソ真面目だからな。

真面目だけが取り柄と言ってもいい。

だからキヌガル近衛騎士長の本気が伝わった時点から手を抜いてはいない。


ただしチギーとはその努力の方向性が違う。

馬鹿正直に訓練してもレベルが上がらないのはわかりきっている。

だからいろいろな方法が必要だ。

そして、今回は防御に徹してそれを検証したわけだ。


間違ってはいない。

俺は俺なりの努力を続ければいいだけだ。

たとえ気概がないと言われても……


「先輩、聞きたいのですが……」

「おぅ、なんでも聞け」

さっきからチギーを気にしてくれているし、こいついい奴だな。


「今日の訓練で、反撃をしなきゃレベルが上がらないと言っていましたがどういうことですか?」

「やっぱりお前、おかしいな……」


「すみません、いろいろと記憶が混同していて……」

こういうのはとにかく誤魔化すしかない。

『近衛騎士』の本にない情報はすっとぼけて聞いていくしかないのだ。


「お前が言ってたんだろ。

 以前魔物を攻撃したときにレベルが上がったって」

「そ、そうですね」

マジかよ。

それが本当だとしたら、俺の予想は完璧にハズレだ。


「あの、その話なんですが、詳しく聞かせてもらってもいいでしょうか?」

「はぁ!? お前の話を、俺がお前にするのか?」


「はい、さっきも言った通り、記憶が混同してまして……お願いします」

「ったく仕方ねぇな……」


「10歳くらいのとき魔物が街に入ってきて、そいつを攻撃したら一気にレベルが上がったって言ってたな。

 まぁよくある話だ」

「はい……」

どういうことだ?

レベルアップ条件が魔物を攻撃するだけなら、もっと上がっていてもいいはずだろ。

チギーの性格を考えれば尚更だ。


「けど……それからあまり上がってませんね……」

「だから今回の遠征がチャンスだったんじゃねぇか」

そうか……

しかし本の中では遠征でこれといった成果は上がっていない。


遠征で魔物を攻撃できなかったとか?

それとも、他に何か条件があるのだろうか。


「街に魔物が来たときの詳しい情報ってありませんか?」

「いやいや、お前の話だろ。

 俺はそこまで知らねぇよ」


「ですよね……あの、俺の出身地ってどこでしたっけ?」

「おいおい……」

クロイソは頭を抱えてため息をする。


「ターワラだ」

「ありがとうございます!!」

自分で調べるしかないな。

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