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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
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第35話 罠師エピローグ

「ま、無視だな。無視」

「しかし、すでに使いのものを送ったとのことですが……」


「使者が来たら追い返せばいい」

「承知しました」


「それより、これ全部俺が決めなくちゃダメ?」

俺は書類の山を指さす。

魔物の素材についての書類だ。

現在急ピッチで素材の整理をしている。

「はい、もしくは役人に任せるしか……」


「あぁ、あの信用できない役人たちか……」

奴らに任せると売り上げを取られる可能性があるからな。

「はい。彼らに素材を任せるのは危険かと思われます」


「そうだな……なら何人か見せしめにぶっ殺して、緊張感を出せばいいんじゃないか?

 素材を横領したら殺されるって思うだろ」

「そ、それは流石に……」


「いや、言ってみただけだ。

 無駄に恨まれるようなことはしないほうがいいな」

今のマガタの強さなら殺されることはないと思うが、やりすぎると冒険者や住民の支持もさがりそうだ。


ゴンゴン!!


部屋の扉がノックされる。


「マガタ様、面会を申し出るものが来ております」

「早速か……よし!! 追い返せ!!」

俺はショウナスが送ってきた使者を問答無用で追い返す。


窓から外の様子をみる。

やっぱり、なにやら騒いでいるな。


どうせ私を追い返したら大変なことになる、的なことを言っているんだろう。

この距離でも偉そうな感じが伝わってくる。


えい!!


俺は【落とし穴】をやつの真下に発動させる。


バコッ!!

偉そうな使者が【落とし穴】に落ちていく。


ガチャッ!!

俺は窓を開ける。


「フハハハハ!!

 バカめ!!

 そう簡単に私と面会できると思うな!!

 身の程を知るがいい!!」

俺は聞こえるように大きな声を出す。








「出迎え?」

「はい、ショウナス様が直接街の外に来ています。

 街の入り口まで出迎えをしろと」

めんどくせぇ野郎だな。


「ま、無視でいいんじゃないか?」

「しかし、街の入り口にあれだけの人数がいますと、他の者の出入りが……」


「仕方ない、出向いてやるか」

俺はギンジョウと共にコクテの街の入り口まで移動をする。


おぉ……いるいる。

ゾロゾロと部下を引き連れている。

武装した奴らまでいるな。

威嚇のつもりだろうか。


中央には豪華な馬車がある。

あそこにショウナスがいるのか?


様子を見ていると、中から男が出てくる。

やつがショウナスか。


「出迎えが遅いぞ!!

 何をしておったのだ!!」

ショウナスがバカみたいにでかい声を出す。

高レベルって話だからな。

声も強化されてんだろ。


俺は腕組みをして言う。

「おい、頭が高いぞ。

 ひざまずけ。

 まず話はそれからだ」


「剣を持て……」

「は、はい!!」

ショウナスが部下に剣を持ってこさせる。

怒りに満ちた表情だ。

血管が浮き出ている。


そりゃそうだろう。

下に見ていたマガタにひざまずけって言われればな。


「こ、こちらを」

部下らしい兵士が緊迫した面持ちでショウナスに剣を渡す。


「おい、俺は慈悲深い。

 今すぐ命乞いをすれば半殺しで許してやろう」

「ハハハ!!

 まるで話が通じないな。

 俺の言っている言葉が理解できないのか?」


「っ!!」

奴が剣に手をかける。


その瞬間……


ガシャン!!


【鉄格子】を発動させる。


「もう一度言う。

 ひざまずけ。

 まず話はそれからだ」

「貴様ぁ!! もはや命乞いをしても許さんぞ!!

 四肢をもいでさらしてやろう!!」


「やってみろ」

「ハァ!!」


ギンッ!!

ガキンッ!!


ショウナスは鋭い斬撃を繰り出す。


「ほぉ……」

なるほど、確かに力強い剣だ。

並の使い手なら相手にならないだろう。

確かにギンジョウやヨネィザより強いな。


しかし、俺の【鉄格子】には傷一つつかない。


「バカな!!」

「ハハハ!!

 早く檻から出てこっちへ来い!!

 まるで動物だな!!」


ガキンッ!!

ガキンッ!!


奴がひたすら斬撃を繰り出すが、特に変化はない。


「なんだこれは!?」

ショウナスが驚くとともに、取り巻きの兵士たちもざわつき出す。

「どうした?

 いつまで檻に入っているつもりだ?」


「ふざけおって……」

ショウナスは剣をゆっくりと中段に構える。

「ひ、引け!!

 皆、ショウナス様から離れるのだ!!

 巻き込まれるぞ!!」


「はあぁぁぁぁ!!」

カタカタと地面が振動する。

「なかなかの気迫だな」

周囲のものが離れる中、俺は腕を組んだままゆっくりとショウナスへと近づく。


バゴォォーーン!!


爆音とともに土煙が舞う。


「………………」

あたりが静まり返っている。


徐々に土煙が晴れ、【鉄格子】が見えてくる。


【鉄格子】に小さな傷がついているな。

あれだけの大技で小さな傷か。

ヨネィザが叩き切った時よりも数段硬くなっているようだ。


ん?


いない……


ショウナスがいない……?

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