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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
28/53

第28話

「………………」


翌日。

一人の男を【鉄格子】で捕獲した。


「なぁ、どう思う?」

「一人で来るあたり、相当な手練れでしょうな」

「………………」


「だよな。

 レベルもそこそこ上がってるし。

 こいつに首謀者吐かせることはできそうか?」

「いやぁ……かなり厳しいっスよ」

ギンジョウではなくカホクが言う。


「お前、そういうのわかるのか?」

「まぁ多分っスけど、痛みに耐えるようなスキルを持ってる可能性が高いっス」


「なるほど、そんなスキルがあるのか」

「まぁヤバい任務やるヤツは大抵持ってるんじゃないっスか?

 この前の炭鉱の暗殺者も多分あったっスよ」


「だから傷だらけで罠に突っ込んできたわけか」

「複数人で乗り込んできたら、全員がそういうスキル持ってるわけじゃ無いと思うんスけど、今回一人じゃ無いっスか」


「そうか」

首謀者がわからなくてもレベル上げにはなるからな。

せいぜいレベル上げに利用させてもらうか。





俺は毎日のようにやってくる暗殺者を【鉄格子】で捕獲し続けた。

驚いたことに、あれから毎日高レベルの暗殺者がやってきたのだ。

そして、俺はギンジョウに呼び出され、スクワタの作った隠し部屋にきている。


「なんだ?

 わざわざこんなところに呼び出して」

「はい……連日手練れの暗殺者がやってきています」


「そうだな」

「その間、我々はこの街の役人を見張っていました」


「そうだな。感謝している」

「しかし、それらしい動きがありません。

 それに、ここの役人に毎日これだけの強さのものを送り出す財力も人脈もありません」


「なるほど……この街の人間では無いと?」

「はい、おそらく……」


「それは当初のあてが外れたな」

そもそも俺がスクワタを殺し、利益を得ていた役人が放った刺客が俺を殺しにきていると思っていた。

だが、どうやらそうではないらしい。


「だとしたら誰が?」

「非常に申し上げにくいのですが……おそらく中央の誰かだと思われます」


「マジかよ。

 しかし何のために……いや……そうか……」

俺が手柄を上げることを極端に嫌う奴がいるな。


「ルオカか……」

異母兄弟の兄ルオカだ。

「………………」


「しかし、ケツの穴のちっさい野郎だな。

 俺が手柄を立てただけで殺そうとするなんてな」

「………………」


「まぁ、それならそれでせいぜいレベルアップに利用させてもらうだけだな」

「はい……それならば問題ありません。

 くれぐれも表立ってルオカ様と対立しないようお願いします」


「あぁ……まぁ俺がここにいる以上、そんなことはできないな」

「はい……」

ギンジョウはほっとしたように返事をする。


「ま、直接乗り込んでくるならぶっ殺してやるわけだが」

「お、おやめください!!」

ギンジョウがめずらしく大声を出す。


「なにとぞ、なにとぞ対立は避けてください」

完全に狼狽えている。

「ルオカとの敵対はそれほどまでに避けたいことなのか?」


「はい……マガタ様のお立場もそうですが、それだけではございません」

「そうなのか?」

立場として対立は避けた方がいいって話じゃないのか?


「ルオカ様の剣、魔法は超一級品です。

 私とヨネィザ二人がかりであっても、歯が立ちません。

 おそらく魔法なしでも相手にならないでしょう」

「マジか……」

そんなに強いのかよ。

だったら尚更器ちっさいな。

そんだけ強いんなら、マガタのことなんてほっとけよ。


「はい……ですから、このまま暗殺者を倒してやり過ごしていれば、いずれ落ち着くと思います」

「なるほど……」


「………………」

「くれぐれも……くれぐれもよろしくお願いいたします」

ギンジョウに念を押される。


「あぁ、わかった。

 それにさっきも言ったが、ここにいる以上は直接な対立自体無理だ」

「はい……」

とりあえずギンジョウにはそう言っておく。


しかしそんなに強いのか。

それはそれで倒したくなるんだよな。

元ゲーマーとしては。


けどまぁ今はコクテの壊滅を防ぐのが最優先だな。

やはり当初の予定通り、暗殺者どもをレベル上げに利用させてもらうだけだ。

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