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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
25/53

第25話

奥の魔法使いがいなくなったことで、向こうの攻撃手段がなくなる。

そしてレベルアップ。


俺は後退しながら罠をしかけまくり、さらに上がった身体能力でナイフを投げまくる。


「ぐはっ!!」

残った前衛の一人にトラップコンボが決まる。

【ウォールプレス】で壁に叩きつけられ、【落とし穴】に落ち、【グランドニードル】に刺され、【岩石落とし】に潰される。

罠だけなら対処できたかもしれないが、さらに俺がナイフを投げまくっているので、必ず隙ができる。


レベルアップ……

レベルアップ……

レベルアップ……


レベルアップが止まらない。


「ク、クソ!!」


前衛の脳筋の動きが遅くなる。


レベルアップごとに感覚が変わっていく……


罠の設置、発動の時間が短くなっていくのだ。


これ……強すぎだろ……


「トドメだ。善良な貴族を暗殺しようとした罰だな」


俺は容赦無くトラップコンボを決める。


「がはっ……」


最も頑丈な前衛も仕留めた。


「マガタ様!! 無事っすか!?」

「あぁ、全部片付いた」


「うぉ……え、えげつないっすね……」

カホクはおびただしい罠の数と暗殺者の死体を見て引いている。


「死体を調べれば、誰の手先かわかるか?」

「どうでしょうねぇ、そういう証拠は残さないんじゃないっすか?」


「だよな……けど、生捕にするのは無理だったな」

終盤は罠で圧倒できたわけだが、レベルアップがあったからだ。

それに、罠で生捕にするのは無理だな。


「まぁ一応調べることにしよう」

「ですねぇ」









チュンチュン……

別荘だ。

ここの別荘は、鳥が結構やってくる。

今回も死なずに戻ってきたのか。


俺は『罠師』の本を確認する。


え?


あれ?


「マガタはその夜何者かによって………

 そして、翌日彼は目覚めることがなかった……」


どういうこと?


マガタ死んでるやん……

夜寝ている間に暗殺されたってか……


暗殺者を撃破したところで、次々に暗殺者がやってくるわけだ。


ならば、暗殺者を生捕にし、情報を引き出す必要があるな。

黒幕を仕留めなければならない。



いや……


いやいや……


そんなことはないか。


それなりのレベルの暗殺者がやってくれば、レベル上げになる。

屋敷にやってくるとわかっていれば、屋敷に罠を仕掛けまくればいいわけだ。


つぎつぎにやってくる暗殺者を全てぶっ殺してレベルアップすればいいんじゃないか?


それに前回の暗殺者へのトラップコンボで気づいたことがある。

罠師は強すぎる。

罠自体が有用なのはもちろんだが、レベルアップが異常だ。

マガタのレベルは既にカホクを大幅に越えている。


戦闘力では届かないが、レベルだけでいったらギンジョウやヨネィザに近いところまできているだろう。


罠師最大の強みは、罠自体よりもレベルアップの早さだ。

カホクのレベルアップに比べて明らかに早い。

おそらくだが、罠一発くらわせるだけで、その対象を倒したくらいの経験値が入っている。

連続でトラップコンボをくらわせたときのレベルアップは異常だった。


マガタの特性だろうか。

他の行動で全くレベルアップができなかった分、罠でのレベルアップがえぐい。


とりあえずマガタが殺される前にしおりを挟んで書庫の整理だな。





レベルアップのために暗殺者にはこれからもやってきてほしい。

だから無理に生け捕りにしなくてもいいと思っていた。


しかし、可能なら首謀者はわかっていた方がいいよな。

これから魔物の大群が来るのに足を引っ張られては困る。


ということで、生け捕りもできるか試してみようかと思う。


「マガタ様ぁ、今度は何やってんスか?」

作業をしている俺にカホクが話しかける。

「罠だよ、罠」


「ここでっすか?」

これまでは炭鉱や荒野で罠を使用してきた。

屋敷の中で作業をしているのを不思議に思うのも無理はない。

「まぁな。ここで作って、魔物が出そうなところに持って行く。

 お前も手伝ってくれよ」

「いいっすけど、外はまた危険なんじゃないですか?」


「かもな。まぁそのためにこっちも強化する必要がある。

 それに昨日の今日だし流石に大丈夫だろ」

あとは、昨日の暗殺者退治で大幅にレベルが上がっている。

罠師は戦闘系スキルは特にないが、今のマガタのレベルならば、身体能力である程度ゴリ押しできる。


「それ持って行くんすか?」

「まぁな」

俺は木製の檻と縄を持って出発する。

スクワタが使っていた馬車に乗せての移動だ。







俺は炭鉱内の比較的天井が高いところへ来た。

「ちょっと手伝ってくれ。

 滑車にこれを通すから、お前はそっちを持っててくれ」

「了解っす」


縄を天井に固定した滑車に通す。

そして、そこに木で作った檻をぶら下げる。

「これはさすがに誰も引っかからないっすよ」

「まぁ暗い炭鉱でも、上にこんなでかいのがあれば気づくよな。

 人間ならな」


「あ、魔物っすか?」

「そりゃそうだろ。

 てことで、また魔物連れてきてくれ」


「へーい」

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