第24話
「今日は炭鉱なんスか?」
「そうだな」
今日はたっぷりと経験値を稼ぐ予定だ。
あれだけの手練れを罠にかけることができれば、かなりのレベルアップが期待できる。
「フフフ……」
「なんか、笑い方が邪悪ですね」
俺たちは暗い炭鉱へと入っていく。
◇
よし、この辺りだな。
ここなら道が狭く、罠を避けるのは難しいだろう。
「ここからはカホクが俺より先に進んでくれ。
俺の後方には絶対来るなよ」
後方には罠を仕掛けまくるので、カホクは常に俺の前にいてもらう。
「へーい。前方の魔物もやっつければいいスか?」
「あぁ、頼む」
少し進んでは罠を仕掛け、それを繰り返す。
【落とし穴】に【ウォールプレス】そして【岩石落とし】だ。
ほどなくしてMPが切れそうになる。
「俺はここで待機してるから、もう少し前方の魔物を倒してきてくれ」
「はいよぉ」
魔物と暗殺者の挟み撃ちなんてごめんだからな。
前方の魔物は殲滅しておいてもらおう。
さて、俺も準備をしておこう。
バッグに入れてある大量のナイフを取り出し、体にくくりつける。
ワンタッチで取り出し、投げられるように準備する。
さぁ来い!!
かかってきやがれ!!
◇
!!
かかった!!
誰かはわからんが暗殺者のうちの一人だろう。
身体の倦怠感が無くなった。
これはMP回復、つまりレベルアップだ。
炭鉱内の魔物であれば、一回罠にかけただけでレベルアップはしないだろう。
つまり暗殺者のうちの一人が罠にかかったと考えて問題ない。
ふははは!!
ざまぁみやがれ!!
俺はすかさず後退しながら罠を仕掛ける。
回復したMPはすぐに消費しておくべきだろう。
ちょ!!
待て待て!!
またレベルアップだ。
罠によるMP消費が間に合わない。
「近づいてきてるぞ!!」
「へ? 何がっすか?」
前衛のやつか?
どんどん罠が消費されている。
レベルアップ……
ということは罠が避けられているわけではない。
強行突破しながら猛烈な勢いで近づいてくるのだ。
「暗殺者だ!! かなり強いと思って間違いない!!」
「マジっすか!?」
カホクの表情が引き締まる。
「大丈夫だ!! お前は前方の魔物を殲滅して、道を確保してくれ!!」
「了解っす!!」
ガコッ!!
奥から【ウォールプレス】発動の音、壁が押し出される音が聞こえる。
つまりそこまで来てるってことだ。
「ふははは!! 罠に突っ込んでくるとは愚か者め!!」
俺は暗殺者を挑発する。
ガキンッ!!
暗闇の奥から音が聞こえてくる。
こいつ、【ウォールプレス】の押し出された壁を斬ってやがる。
とんだ脳筋野郎だな。
俺は後退しつつ、【ウォールプレス】を発動しつつ、新たに仕掛ける。
レベルアップだ。
前回でも習得した【グランドニードル】も習得する。
「ほらほらぁ!! 暗殺対象はここだぞぉ!!」
ブンッ!!
俺は挑発しつつ、身体中に巻き付けてあるナイフを投げる。
ガキンッ!!
ですよね。
暗闇の中、ナイフは弾かれる。
マガタのレベルが上がり、それに伴って身体能力も上がっているが、所詮は罠師。
ガチムチの前衛にはダメージを与えられない。
しかし……
ボゴッ!!
【グランドニードル】が発動する。
地面から鋭い針が出現する罠だ。
レベルアップにより、多少離れていても罠が設置できるのは大きい。
「くっ!!」
おぉ!!
苦戦の声が聞こえるぜ。
「ヒャッホーイ!!」
ブンッ!!
ブンッ!!
ブンッ!!
俺は掛け声と共にナイフを投げまくる。
ガコッ!!
【ウォールプレス】で壁がせり出す。
バコッ!!
そしてその先に【グランドニードル】の発動。
壁で押し出された先の地面から鋭い針。
「うぉらぁ!!」
バキンッ!!
暗殺者との距離が近づいており、見えてきた。
盾と剣をぶん回し、【グランドニードル】を破壊している。
そして、さらに奥にもう一人の前衛がいるな。
魔法使いは脱落か?
ボワッ!!
あぶな!!
奥から無数の火の玉が飛んでくる。
奥に魔法使いがいるな。
だったら……
くらえ!!
俺は【ウォールプレス】を魔法使いのいる位置に発動。
「な!!」
バゴッ!!
よし、ヒット!!
そして壁で押し出されたその先には【岩石落とし】
上から岩が落ちてくる。
ドゴッ!!
「ぎゃぁぁ!!」
ふふふ……
魔法使いが岩石に押し潰される。
やつは耐久がないな。
まず1匹……