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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
24/45

第24話

「今日は炭鉱なんスか?」

「そうだな」

今日はたっぷりと経験値を稼ぐ予定だ。

あれだけの手練れを罠にかけることができれば、かなりのレベルアップが期待できる。


「フフフ……」

「なんか、笑い方が邪悪ですね」

俺たちは暗い炭鉱へと入っていく。





よし、この辺りだな。

ここなら道が狭く、罠を避けるのは難しいだろう。


「ここからはカホクが俺より先に進んでくれ。

 俺の後方には絶対来るなよ」

後方には罠を仕掛けまくるので、カホクは常に俺の前にいてもらう。


「へーい。前方の魔物もやっつければいいスか?」

「あぁ、頼む」

少し進んでは罠を仕掛け、それを繰り返す。

【落とし穴】に【ウォールプレス】そして【岩石落とし】だ。


ほどなくしてMPが切れそうになる。


「俺はここで待機してるから、もう少し前方の魔物を倒してきてくれ」

「はいよぉ」

魔物と暗殺者の挟み撃ちなんてごめんだからな。

前方の魔物は殲滅しておいてもらおう。


さて、俺も準備をしておこう。

バッグに入れてある大量のナイフを取り出し、体にくくりつける。

ワンタッチで取り出し、投げられるように準備する。


さぁ来い!!

かかってきやがれ!!




!!


かかった!!


誰かはわからんが暗殺者のうちの一人だろう。


身体の倦怠感が無くなった。

これはMP回復、つまりレベルアップだ。


炭鉱内の魔物であれば、一回罠にかけただけでレベルアップはしないだろう。

つまり暗殺者のうちの一人が罠にかかったと考えて問題ない。


ふははは!!

ざまぁみやがれ!!


俺はすかさず後退しながら罠を仕掛ける。

回復したMPはすぐに消費しておくべきだろう。


ちょ!!


待て待て!!


またレベルアップだ。


罠によるMP消費が間に合わない。


「近づいてきてるぞ!!」

「へ? 何がっすか?」

前衛のやつか?

どんどん罠が消費されている。


レベルアップ……


ということは罠が避けられているわけではない。

強行突破しながら猛烈な勢いで近づいてくるのだ。


「暗殺者だ!! かなり強いと思って間違いない!!」

「マジっすか!?」

カホクの表情が引き締まる。


「大丈夫だ!! お前は前方の魔物を殲滅して、道を確保してくれ!!」

「了解っす!!」


ガコッ!!


奥から【ウォールプレス】発動の音、壁が押し出される音が聞こえる。

つまりそこまで来てるってことだ。


「ふははは!! 罠に突っ込んでくるとは愚か者め!!」

俺は暗殺者を挑発する。


ガキンッ!!

暗闇の奥から音が聞こえてくる。


こいつ、【ウォールプレス】の押し出された壁を斬ってやがる。

とんだ脳筋野郎だな。


俺は後退しつつ、【ウォールプレス】を発動しつつ、新たに仕掛ける。


レベルアップだ。

前回でも習得した【グランドニードル】も習得する。


「ほらほらぁ!! 暗殺対象はここだぞぉ!!」


ブンッ!!


俺は挑発しつつ、身体中に巻き付けてあるナイフを投げる。


ガキンッ!!


ですよね。

暗闇の中、ナイフは弾かれる。

マガタのレベルが上がり、それに伴って身体能力も上がっているが、所詮は罠師。

ガチムチの前衛にはダメージを与えられない。


しかし……


ボゴッ!!


【グランドニードル】が発動する。

地面から鋭い針が出現する罠だ。

レベルアップにより、多少離れていても罠が設置できるのは大きい。


「くっ!!」


おぉ!!

苦戦の声が聞こえるぜ。


「ヒャッホーイ!!」


ブンッ!!

ブンッ!!

ブンッ!!


俺は掛け声と共にナイフを投げまくる。


ガコッ!!

【ウォールプレス】で壁がせり出す。


バコッ!!

そしてその先に【グランドニードル】の発動。

壁で押し出された先の地面から鋭い針。


「うぉらぁ!!」

バキンッ!!


暗殺者との距離が近づいており、見えてきた。

盾と剣をぶん回し、【グランドニードル】を破壊している。


そして、さらに奥にもう一人の前衛がいるな。

魔法使いは脱落か?


ボワッ!!


あぶな!!

奥から無数の火の玉が飛んでくる。

奥に魔法使いがいるな。


だったら……


くらえ!!


俺は【ウォールプレス】を魔法使いのいる位置に発動。

「な!!」

バゴッ!!


よし、ヒット!!


そして壁で押し出されたその先には【岩石落とし】

上から岩が落ちてくる。


ドゴッ!!


「ぎゃぁぁ!!」

ふふふ……


魔法使いが岩石に押し潰される。

やつは耐久がないな。


まず1匹……

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