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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
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第16話

俺は学内で弁当を買って帰る。

大学は学食だけでなく、弁当も安い。

夏休み中も営業しているのはマジでありがたい。


「ただいま、飯買ってきたぞ」

俺は弁当を持って居間に入る。


「あれ? 兄貴バイトは?」

「あぁ、今日休みになってさ。お前の飯も買ってきたぞ」


「おぉ、ナイス」

「んで、勉強進んでる?」


「帰ってきてすぐにそれかよ」

「だってお前、受験生だろ」

弟の時次ときじは俺とは年が6つも離れている。

中学三年の受験生だ。


「楽勝だよ、楽勝。俺を誰だと思ってんだよ」

「お前、わかりやすいくらい調子に乗ってんな」


「そりゃそうだろ。あんなの授業中寝てても余裕だぜ」

確かに時次は頭が良い。

家でゲームばかりやってるくせに、成績は常に上位だ。


「あのなぁ、そんなの中学までだぞ。進学校に入れば、お前と同じようなヤツばっかりだからな」

「それなら高校行ってから勉強すればよくね?」

クソ可愛くない弟だ。

小学生まではあんなに可愛かったのに……


「それ食ったら母さんの見舞い行くぞ」

「へーい」



午後には病院に着く。

俺はノックをして、病室に入る。

「母さん、来たよ」

シャー……

俺は病室の仕切りになっているカーテンを開ける。


「あら、現夢、時次。今日は来る予定だったかしら?」

母さんは起き上がろうとする。

「いや、寝ててよ」

俺は起き上がろうとする母さんを止める。


「今日バイトが休みになってさ」

「そう」


「渋谷先生の紹介だから、変なバイトってことはないんだけど不思議な感じでさ」

俺は母さんにバイトの話をする。


「おぉ、スッゲ! なにそれ、超面白そう。ホラーじゃん!」

時次のテンションが上がる。

「いや、マジで面白くねぇよ」

「そう? でも話を聞くのは楽しいわね」

母さんが笑顔で言う。


「おい、母さんまでそんなこと言う?」

「あら、ごめんなさい」


「それで、時次がゲームばっかりで全然勉強してないんだけど、母さんからも何か言ってよ」

「はぁ? 兄貴はバイトだろ? 俺はその間に勉強してんだよ」


「ウソつけ。お前のバケモノハンターのプレイ時間見たぞ。

 この時期に200時間超えてるってどんだけやってんだよ」

「クソ、見られてたのかよ」

こいつは、夏休みにクソほどゲームをやっている。


「だから、母さんからも何か言ってよ」

「時次も第一高校に合格してくれると嬉しいな」

母さんは控えめに言う。

第一高校は、県内トップの進学校だ。

俺の出身校でもあり、ギリギリで合格した高校である。


「楽勝楽勝、A判定しか出てないわ」

時次は相変わらず調子に乗っている。

「ダメだな。コイツ一回成績下がんないと、勉強しないわ」


「それこそありえねぇよ。俺の成績が下がるとか、うんこ漏らすより確率低いわ」

ムカつく。

俺は必死で勉強してギリギリだったってのに。



「それじゃ、そろそろ行くよ」

「また不思議なアルバイトの話聞かせてね」


「うーん……正直続けるかわかんないんだよね」

「なんだよ、ビビってんじゃん」

「うるせぇな、帰るぞ」

俺と時次は病院をあとにする。


「なぁ兄貴」

「ん?」


「俺が第一高校に合格すれば、母さん喜ぶかな」

「だろうな。入ってほしいって言ってたし」


「じゃぁさ、第一高校にトップで入学すれば、もっと喜ぶよな」

「だろうなぁ」


「そしたら母さん、良くなるよな」

「だな。入学式までには退院だ」



俺は弟に嘘をつく……




母さんは癌だ……




長くはない……




家のことやお金のこと、弟のことで心配をかけたくない……





俺が……

俺がしっかりしなければ……


ハッピーエンドです。

書咲は全てを解決できるイケメンです。

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