第11話
「これで終わりか?」
大型のネズミのような魔物がほとんどだ。
あとは、コウモリの魔物がいたが、こいつらは【落とし穴】にはひっかからなかったな。
「まだ中にはかなりの魔物がいます。出てこない魔物も残っていますね」
「魔物の数は?」
「100はいない、くらいでしょうか」
「マガタ様どうされます? 出直しますか?」
ギンジョウが心配してくれる。
こちらの人数は6人。
おそらく俺以外のメンツは余裕だろう。
しかし、つい最近まで俺はレベルが3で非常に弱かった。
ギンジョウは俺がやられてしまうことを心配して言っているのだ。
だが今の俺のレベルは18。
さっき落とし穴に落としまくったので、大幅にレベルが上がっている。
罠にはめるだけでレベルが上がるのは大きい。
一度作った落とし穴に、次々に魔物が入った場合、それらすべてがレベルアップにつながるのだ。
「大丈夫だギンジョウ。レベルが上っている。このあたりの雑魚なら一人でも戦える」
「はい。承知しました」
口では承知したと言っているが心配しているようだな。
「それに試したいこともあるしな……近くに魔物はいるか?」
「もう少し進んだところにいますね」
索敵を使えるバナッザが答える。
「近くに来たら教えてくれ」
「はい」
◇
「います」
少し進むと、バナッザが教えてくれる。
それほど進んではいないが、洞窟の中は移動が遅い。
「10mほど先に、おそらくスケルトンですね」
「了解」
なるほどな。
スケルトンじゃ、煙で燻っても出てこないわけだ。
「ちょっと待ってくれ」
俺は壁に手を当てスキルを発動させる。
フフフ……
先程のレベルアップで新しいスキル【ウォールプレス】を習得した。
壁に向けて発動するスキルのようだ。
とりあえず3つくらいでいいか。
これは……【落とし穴】と違って、MPが残っていても無制限に設置できるわけではないな。
3つで限界だ。
そして、発動は任意のタイミングだ。
【落とし穴】は一度設置して放置すれば勝手に罠に掛かるが、【ウォールプレス】は自分で発動させなければならないようだ。
「なるほどな。ギンジョウ、スケルトンをここまで誘導してもらえるか?」
「承知しました」
ギンジョウが単騎で奥へ行く。
ガシャガシャ……
スケルトンは2体か?
奥からギンジョウを追ってやってくる。
今だ!
俺は【ウォールプレス】を発動する。
ドガッ!
壁が勢いよく押し出され、スケルトンを押しつぶす。
メキメキメキ……
「おぉ! すげぇっす」
「フフフ……」
カホクが関心する。
壁の圧力によって、スケルトンが押しつぶされる。
「ん?」
ボロボロ……
せり出た壁が崩れ落ちる。
「げ……」
スケルトンを仕留めきれていない。
「お任せを!」
ズバッ!
ヨネィザが俺の前に出て、素早くスケルトンを仕留める。
「た、助かった」
クソ……威力は低くなかったし、【ウォールプレス】は骨を押しつぶすから、スケルトンの弱点ぽかったんだけどな。
「スケルトンは中級の魔物です」
「了解、結構強いのね」
一度発動しただけでレベルが上がっている。
スケルトンが強いからか?
この洞窟内でできるだけレベルを上げておきたいところだ。
◇
「よし! 仕留めきったな」
レベルが上がってきたせいか、【ウォールプレス】の威力が上がっている。
一撃でスケルトンを倒せるようになったのだ。
「しっかし、かなり奥まできましたね」
カホクが言う。
「それにしても、マガタ様。迷いが無いようですが、道を知っていらっしゃるのですか?」
ヨネィザが聞いてくる。
「完全ではないがな。少し調べてある」
「いつの間に」
ギンジョウが感心している。
「…………います」
バナッザが俺たちを静止する。
「大型です」
大型って……マジか。
ボス戦なんて聞いてないぞ。




