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書庫と異世界と悪夢  作者: 橋下悟
第一章 罠師
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第10話

俺たちは廃炭鉱を目指す。

俺とギンジョウ、カホク、それからギルドで護衛の依頼を受けた兵士長ヨネィザとその部下、ベノとバナッザだ。


「お前たちはこのあたりに詳しいのか?」

俺はヨネィザに質問をする。

「はい。それなりには。このあたりはよく調査をしています」


「魔物が湧くからな。結構なことだ」

本当は父親の遺品探しだろう。


俺はヨネィザに接触しようとしていた。

しかし、ギンジョウの話では、ヨネィザと接触するのは難しく、領地内で声をかけるのはやめたほうが良いと言われていた。

何故なら、この領地を実質仕切っているスクワタの私兵の兵士長だからだ。

領主である俺が、スクワタの兵士長に接触するのは警戒される恐れがあるからだ。


しかし、今は違う。

ギルドを通して、廃炭鉱の調査を依頼し、その調査に自ら名乗り出たのだ。

これならば、スクワタの機嫌を損ねることはないだろう。


「こっちの方角には来たことがあるのか?」

「はい。調査で何度か」

それからしばら目的の炭鉱跡を目指す。

俺の頭の中の地図だよりだ。



「こちらですか?」

「あぁ、そうだ」

俺たちは炭鉱付近まで来て、道をそれる。

もともと獣道があったのか?

というくらいの痕跡。

多分ここで良いと思うんだよな。

道とも呼べないような道に、皆の表情が難色を示す。


「こんなとこに何の用なんスか?」

「奥に別の炭鉱がある」

と、思うんだよなぁ。

距離的にはこの辺なんだよ。


「私達でもこっちには来たことがありませんね」

ヨネィザが関心を示す。

「だろうな」

彼女たちが行ったことがある場所では意味がないのだ。



ギンジョウを先頭に、邪魔な草木を切り倒しながら進んでいく。

参ったな。

この辺だと思うんだけど、全然見つからない。

マジかよ。

マップは任せろと思っていたのだが、ゲームとは距離感が違うってか……。


「無いッスねぇ~……」

誰もが思っていることを口に出すカホク。

「う~む……」

俺はキョロキョロと辺りを見渡す。


ん?

窪み?


「ちょっと待った」

ガサガサッ!

俺は窪みへと近づく。

1m程度の穴があるな……。


「え? まさか、これッスか?」

「だろうな……。皆下がってくれ」

俺は【落とし穴】を発動させる。


ゴトッ!

それから手頃な石をそこへ投げ込む。


ガツッ!

ボロボロボロ……。

穴が大きく空き、入り口が見えてくる。


「おぉ……」

「やっぱりな」

一同驚いている。

こりゃ見つからんわ。


「バナッザ」

「はい」

ヨネィザがバナッザに声をかけると、彼女は前方へと手をかざす。


「かなりいますね。魔物の巣窟と言ってもいいかもしれません」

「なるほど、ちょっと手間だが俺に協力してほしい」


「はい……なんでしょう」

一同俺の意見を聞いてくれる。

「最初の魔物はどの辺りにいる?」


「ここから20mほど奥にいますね」

「わかった」


それから10mほど奥に進む。

「このあたりでいいか……一旦ここから引き返すぞ」

「へ? 奥に行くんじゃないんスか?」


「まぁな」

俺は後退しつつ【落とし穴】を発動させていく。

体力が続く限り【落とし穴】を設置しまくり、炭鉱の入り口まで戻っていく。


「では皆、このあたりの雑草を刈り取ってくれ」

「雑草ッスか?」

各自疑問を持ったまま生い茂った雑草を切って持ってくる。

俺も雑草を切り、炭鉱入り口に雑草の山が出来上がる。


「入り口塞いじゃいましたよ……」

カホクがグチグチと文句をたれる。

「誰か【炎魔法】は使えるか? 【風魔法】もあると助かる」

【炎魔法】や【風魔法】が存在するのは、事前に学習済みだ。

「はい。使えますが」

おぉ、ヨネィザが両方使えるようだ。

優秀だな。


「では、こいつに火をつけて、風で煙を炭鉱内に送り込んでくれ」

「はい」

「なるほど……」

ギンジョウは納得したようだ。


ボワッ!

ヨネィザが雑草に火をつけ、【風魔法】で煙を炭鉱内に送り込んでいく。

煙がモクモクと炭鉱内に入り込んでいく。


「来ます! 魔物が中から出てきます!」

バナッザの【索敵】に魔物が反応したようだ。


あ!

俺にも反応がある。

魔物が次々に【落とし穴】に落ちていく。

すげぇ経験値だわコレ。


ドガドガ……

魔物が【落とし穴】に落ちる音が近づいてくる。

「穴に落ちた魔物は適当に仕留めてくれ」

「了解です!」

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読み始めました。新連載も楽しみにしています。 二拠点ともどもがんばってください!
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