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序章 60年前・再軍備打診

西暦1950年11月23日

AM02:05

旧大日本帝国帝都東京

総理官邸



1945年……今から5年前の事だ。

あの年、日本は滅びた。

京都や奈良を除くあらゆる都市は爆撃によって焦土と化し、長崎、広島、『小松』に至っては連合国の新型兵器、『原子爆弾』が使用され、都市そのものが消失する程の大被害を被った。

最終的には日本政府は連合国が提示した降伏勧告である『ニュルンベルク宣言』を受諾。

戦争は終結した。



しかし、国土全てが破壊された状態で、復興への期待が持てよう筈も無かったのだ。

その上、連合国は日本から外交権や国防権を奪い去り、内政にまで干渉すべくGHQ(連合国軍事最高司令官総司令部)なる組織まで創ったのだ。

これは明らかな植民地、属国化であった。

それでも、たった5年でここまでの復興を果たしたのは連合国の尽力によるものだろう。

そんな事を考えながら、秋野義隆首相はGHQからの電話を受けた。

「もしもし」

「もしもし、首相ですか?」

掛けてきたのはGHQの日本人事務官らしい。

「そうですが、また何かトラブルが?」

「いいえ、情報です。首相、再軍備のお考えはございますか?」

一瞬、思考が停止した。

「ど、どういう事なのですか?」

「マッカーサー司令、ひいてはアメリカ本国の意向です。現在、朝鮮半島で何が起こっているかはご存知ですね?」

「ええ、金日成率いる北鮮軍と李承晩率いる南鮮軍が紛争を起こしている……」

「はい。現在、アメリカなど民主主義陣営は南鮮を全面的に支援しています。それに対してソ連や、つい最近中国全土を支配下に収めた中国共産党などは北鮮を支援しており、民主主義陣営と共産主義陣営との代理戦争的な面が顕著になりつつあります。そして、日本は現在民主主義陣営の前進基地となっており、北鮮軍からの攻撃が予想されますが、アメリカ軍は朝鮮半島への進出を行わなければならず、端的に言いますと、日本の防衛ががら空きなのです。そのため、マッカーサー司令は日本の再軍備を検討していると言う訳です」

「つまり、厄介事は日本に押し付けよう、と?」「……恐らくは」

秋野は長い間の後に、言った。




「……わかりました。検討してみます」

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