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7話 赤い悪魔は突然に

 



 ◆エリス視点



 

 ・・・激戦の戦いから、数日経った朝・・・



「ふわぁぁ……ふうっ……今日も素晴らしい朝ね」


 私は大きな欠伸をしてから目を覚ました。窓の外から一筋の光が差して部屋の中を明るく照らしています。耳を澄ませば小鳥の囀りが聞こえ、窓の外は雲ひとつ無い快晴で何処までも青空が続いている。絶好のお出掛け日和ですね〜♪


 私は同じベッドでスヤスヤと寝ている小さな少女を見つめた。朝から可愛いヒイロちゃんの寝顔を見れて最高です♪


「うふふっ……あらあらぁ……お腹出して寝ちゃって、風邪引いちゃうよ?」


 ヒイロちゃんは、ピンク色のうさぎさんのパジャマを着て幸せそうな顔で寝ております。私の身体にピトッと抱き着いて寝ている姿はとても愛らしいです♪ ヒイロちゃんはまだ幼いからママが恋しい年頃なのでしょうね。もっと私に甘えて来て欲しいものです。はぁあん♡ ヒイロちゃん可愛い♡


 私はヒイロちゃんの頭を優しく撫で撫でしました。するとヒイロちゃんは、モゾモゾと寝返りを打ち、目を覚ましてしまいました。


「ふにゅぅ……んぅっ??」


 ヒイロちゃんは寝惚けたまま1度起きて、目を擦りながらこちらを見つめております。お目覚めのチュッチュをしてあげようかしら。


 するとヒイロちゃんは、温もりを求めるかのように私の身体に抱き着いて来たのですっ! 私の理性が限界に近付いてます! 


「ふふっ、もう~甘えん坊さんですね〜♪ お姉ちゃんの事が好きなのかなぁ?」


 エリスの顔はこれ以上と無いくらいに、優しい穏やかな笑みを浮かべていた。そこには、かつて【深淵の氷剣姫】と呼ばれた凛々しい姿のエリスでは無く、幼い妹に世話を焼くお姉ちゃんの姿があるだけであった。


「まだ朝は早いし、私も二度寝しようかしら」


 エリスは再び横になり、幼い金髪のエルフの少女を優しく抱いて再び眠りにつくのであった。






 ◆ヒイロ視点






(ん〜あれ? もうお昼かな?)



 僕はそっと目を開けた瞬間、心臓が止まるかと思うくらいに驚愕した。



(えっ?! お姉さんの顔が目の前にっ!?)



 僕はあわあわと慌てふためいていた。確か僕は昨日お姉さんの部屋にある、クマさんのモフモフぬいぐるみを抱きながら壁際で寝てたはず……あれ? 僕もしかして寝相悪いのかな?


 僕はゴソゴソと身体を動していたが、お姉さんの腕の力が強くて抜け出せずに居た。見た目は華奢な身体をしてるのに力はかなり強いです。


 僕は諦めてそれからお姉さんの顔をじっと見つめました。お姉さんは静かに規則正しい寝息を立てている。



(綺麗だなぁ……)



 僕は不覚にもお姉さんの顔に見蕩れてしまいました。


 白銀のサラサラとした銀髪に、全てが完璧と言えるような整った凛々しい顔。語彙力を失うくらい可愛いです!


(これは、男が放っておくわけがない。男ならきっとイチコロだろうなぁ……まあ僕も精神は男なんですけどねっ!)


 そんな事を考えてたらお姉さんがゆっくりと目を覚ましました。僕はニッコリと笑いながらおはようと言おうとしたのですが、ここでもまたいつものコミュ障が発動してしまいます。


「ふわぁ~ あ、おはようヒイロちゃん♪」

「おは……よっ!」


 そして僕はお姉さんに抱きかかえられて、洗面所へと向かいお姉さんと一緒に顔を洗って、歯を磨くのでした。


「ヒイロちゃん~ほら、まだお顔濡れてるよ。お姉ちゃんが、ちゃんとお顔をふきふきしますよぉ~」

「うにゅっ」


 そして洗面所を後にして、お姉さんは朝食の支度をするのでした。



 ・・・30分後・・・



「ヒイロちゃん~朝ごはん出来たよっ! お皿の用意手伝ってくれるかなぁ?」

「あいっ!」


 僕はテーブルの上にお皿を用意して並べ、お姉さんは料理をテーブルの上へと置いた。


「それではっ! 頂きますっ!」

「いただき……ますっ!」


 ここで、僕は大きな……そうとてつもなく大きな…問題と直面するのでありました。



(こ、こいつはっ!? 赤い悪魔!? ※トマトです)



 ―――僕はこのトマトだけは大の苦手です。



 てかっ! 何で異世界まで来て、トマトがあるんだよっ!と内心突っ込む僕でした。


「どうしたの? ヒイロちゃんもしかして……トマト嫌いなの?」

「ぐぬぬっ……」


 お姉さんは急にニヤニヤとし始めて、僕の方を見つめていた。


「ヒイロちゃん~? 好き嫌いは行けませんよぉ? 好き嫌いしてると大きくなれませんっ!」


 エリスはフォークでトマトを刺して僕の口元へ運ぶ。


「ひゃぁぁああああっ!?」


 僕は思わず悲鳴をあげてしまった。


「えぇ~こんなに美味しいのに~」


 お姉さんはトマトを1口齧って、美味しいですよとアピールをして再び僕の口元に持って来ました。



(えぇっ!? それはもしやっ!?)



 間接キスになるのでわっ!? 僕は赤い悪魔(トマト)とお姉さんの間接キスによるダブル攻撃をくらいました。



(こ、これはきっと童貞殺しの赤い悪魔(トマト)の実なんだぁぁあああっ!?)



「ひゃぁぁああああっ!」


 僕は再び悲鳴を上げてしまい、顔をトマトみたいに真っ赤に染めて内心かなり動揺しております。エリスお姉さんは小悪魔か何かでしょうか……






 ・・・数分後・・・






「ヒイロちゃんっ! ではこうしましょう、このトマトをもし食べる事が出来たなら、フローラの街の美味しくて甘いお菓子を2つ買ってあげるよ!」

「……っ!?」


 僕に取っては凄い魅力的な提案であった。この少女の身体になってから、甘い物を異様に欲するのだ。だがしかし……童貞殺しの赤い悪魔(トマト)の実を食べるのには少し抵抗があった。こんな僕みたいな奴がエリスお姉さんの間接キスを奪って良いのだろうか……


「もし食べれなかった場合、今日の晩御飯はトマトのフルコースですよっ! トマトジュースに、トマトの丸焼き、トマトサラダ…………」


 僕は途中から耳を塞いだ。まるで呪文を聞いてるような感覚です。お姉さん絶対楽しんでるよ……顔がニヤニヤしてるもん。


 これでは童貞殺しの赤い悪魔(トマト)の実を、食べるしか選択肢がないではないかっ!?



(覚悟を決めよう……甘いお菓子のためだ……)



 僕は意を決して、童貞殺しの赤い悪魔の実を食べた。


「おぇえ……不味い」

「おお! ヒイロちゃん、ついに……貴方はやり遂げたのね」


 お姉さんは涙を流す素振りをしていた。



(何だこれは……)



 各して、ヒイロ VS 童貞殺しの赤い悪魔(トマト)の実との戦いは幕を閉じたのである。




 

――――――――――――





「さてとっ! ヒイロちゃん準備は出来た?」

「うんっ!」


 朝食を食べた後、お姉さんと一緒に街へ買い物に行くため僕は再び、白いワンピースを着てその上にフード付きの服を着たのである。


 僕はお姉さんと手を繋いでから玄関の扉を開きました。


トマトが苦手なマーヤですっ!!


今回は、何と言いますか、、。


【トマトですっ!】 以上!

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