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東海地震

作者: セロチ

グロテスクな描写があります。

そんなに酷くは無いですが、苦手な方、お気を付けください。

チュン.チュン.チュン……

チュンチュン.チュン…

温かい日差しが僕を優しく撫でる



ふぁ〜ぁ……


大きく欠伸を一つ

「朝…か…」



今日は月曜日

リビングに出ると、既にご飯が用意されていた


「おはよう」


家族にそう告げ、ご飯を食べはじめる

新聞を読む親父に

「珍しいな。仕事は?」と聞くと、


「1日くらい休まなな…」

と苦笑いされた




かという僕も土曜日の代休で今日は休み


「おはよう」


寝癖だらけの弟の敬太がまだ開かない目をこすりながらリビングに来た



ご飯を食べ終えた弟が学校の準備を済ませ、家を出る

することが無くなった僕は、最近買った小説を読んで、5時からのアルバイトまで時間を潰すことにした







「翔太〜バイトやろ?」


時間を忘れ小説にのめり込んでいた僕は母親の声で我に返り、急いでバイト先へ向かう


僕が働くコンビニは、家から歩いて2分程で着ける程、近くにある


同僚と店長に挨拶をして、バイトに励むこと1時間半






突然の揺れが大地を襲う


僕が危険を感じて外へ出た途端、地震は牙を剥き、本性を表す


立っていられない揺れに身を伏せることしかできない


ゴーッと音を立て、周囲の建物が凄まじい地響きをたて、次々と崩れ落ち、倒れていく


さっきまでいた、コンビニも

外に出ていなかったら危なかった…



そこら中から火の手があがり、地面が大きく割れている…


揺れが収まり辺りを見回した僕は






絶句





家が…


14階建てのマンションは、1、2階が上の階に押し潰され、5階より上が向こう側へ倒れている


僕はその崩れたマンションの3階に住んでいる


気付けば僕は走り出していた




マンションの一箇所から火が出ているのが見える

下手をしたら僕の家に届いてしまいそうな勢いだ



崩れた瓦礫から血まみれの手が突き出し、傍には…買い物から帰る途中だったのか、買い物袋とその中身が散らばっている…


家のドアを無理矢理こじ開け、言葉を失ってしまった


「火が…」

願いも虚しく火は家を焼き始めている



呻き声が聞こえ、リビングに走る

そこには、部屋の柱や瓦礫に今にも押しつぶされそうな家族の姿があった…


弟は完全に頭が潰れ、母さんと親父が必死に柱から逃げようともがいている…


両親を焼き尽くそうと迫る火は予想以上に近い



「待ってや!今この重いのどけるから!!」


そう叫び持ち上げようとするが、やはり微動だにしない


「一人じゃ無理や

助け呼んでくる!!」

と叫び家を飛び出、必死に頼むが、誰も自分の家族を捨て、他人を助けるようなことはしてくれない



仕方なく家に戻り、ドアを開けると、さっきより炎が激しさを増しているのが解る……火はもう両親の目の前まで来ている……

親父と母さん、どっちも助ける時間はもう…無い…




親父が、

「翔太!アホ、もういい!はよ逃げ!!」

と叫んでいる…




「ギャア!!熱い!助けて!誰か助けて!!イヤァ!!!」



とうとう火が来てしまった……


母親が目の前で燃えていく……


「母さん!!」



……






「……親父だけでも」


そう言う俺に


「俺はもうあかんから…逃げてくれ…」

必死に頼む親父を無視し、渾身の力で柱を動かす…


よかった…動いた!

そして血だらけの身体を引っぱり出した


が…



「親父…足………」



ぐったりと横たわる親父の両脚は、柱によって完全に潰れ、千切れてしまっていた…





「ごめんなぁ…」




そう言って泣きながら笑う親父は、二度と動くことはなかった






迫り来る火に身体を焼かれながら、僕の意識も途絶えた













その頃


富士山が噴火した事による火山灰がここ大阪にまで届き、地震による巨大な津波が、全てを飲み込むために迫っていた




それを見つめる人々…


この世の終わりを感じ、迫りくる巨大な水の壁を、驚愕し、しかしどこか穏やかな瞳で

じっと見つめていた







感想、アドバイス等よろしくお願いいたします

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