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皇帝の忍び  作者: 暇人=サン
第一章 忍びアズマ
3/8

始まりの出会い その2

ちこっとバトル

 帝国へと向かうべく出発し三日目が過ぎ、夜明けと共に港町に到着した。アズマは起床し、船へと降りる準備を整え船へと降りた。途中カジァと鉢合わせ、一緒に降りた。


 帝国に最も近いとされる港町『セントラ』。気候は温暖で平均気温は30度。一年の半分は快晴である。この港町の名物は砂浜であり、『青い海、白い砂浜、照り続ける太陽。』である。特産日は海産物だが、特別おいしいものがあるわけでもなく、住民は少なく600人程度。穏やかで物静かな町である。


 それが10年前の『セントラ』である。


 帝国はこの場所が温暖で船が行き来しやすい場所ということが多く大量の船が生産され、『港町』へと発展した。

 さらには産業革命がおこったことにより『鉄道の普及』、『航海による渡来』、が連鎖的に起こり様々な商人と種族が『移住』、『滞在』、『商売』、さらには『賭博』を行うようになり、人口は30万人ほど急増した。

 理由としては帝国の物資がこの港町に運ばれることでそれを求めて、港町にやってきたり『鉄道』この町にやってくるため、人と物資がより効率的に流れてくることになった。それに伴い、『食事処』や『宿』『娯楽施設』、『歓楽街』などが増えていった。逆にお金がない者は『スラム街』に住み着き海に潜って海産物と獲ってそれを販売していることができる。子供たちも砂浜で貝や貝殻を売ることで、その海産物を宿などの『宿泊施設』が購入することができるので、子供たちも小遣い程度は稼ぐことができるのだ。

 さらには貴族たちの娯楽の一つである『海水浴』はこの温暖な気候を持つ『セントラ』はまさに最適な場所であった。それに目を付けた商人は『一番のお得意様である』貴族のために、貴族専用の『娯楽施設』『宿泊施設』『食事処』が建設されらに貨幣の流通が激しくなり、まさに湯水のごとく溢れていた。

 当然光あるところ闇あり。『窃盗』、『ひったくり』、『密売』、などが横行し、『盗賊』や『海賊等』がこの港町に宿泊することさえもあるのだ。港町『セントラ』は観光地として多くの人が日々ここへ来ているのだ。


 船から降りたアズマは『セントラ』のような砂浜から地平線まで眺めていた。海の色は鮮やかな水色をしており、白い砂浜はまぶしく太陽の光を反射し、空は雲一つもない。大和とは違い暖かく磯の香りはとても懐かしく感じた。磯の香りを感じてなぜか大和のことを恋しく思ってしまった。


(なぜだろう・・・。せっかく前向きに来たのに、大和が恋しくなったな・・・。おじい様は大丈夫だろうか。)


 アズマは少しホームシックになっていた。そんなアズマに空気を読まないように、声をかけるカジァがいた。


 「おっはよ~。あっずま~。元気だっぴかぁ?」


 挨拶をしたカジァの声にハッとしたアズマはカジァの顔を見て右手で軽く頭を掻く。


 「ごめん・・・。ちょっと故郷のこと思い出しただけ・・・。」

 「そうだっぴかぁ~。わかるんょ~。その気持ち。うんうん。まぁ、もし寂しくなったらオルァ達の家に入るんぴよぉ~。そうだ!せっかくだし、街を案内するっぴよ~。」


 カジァ本人は優しい性格でアズマに実家に上がるように好意を見せたが、アズマ自身他人の家に上がり込むことに対して抵抗と申し訳ない気持ちいっぱいである。ましては異国の地である。余計に不安がになった。アズマは異国の民に畏怖の思いと尊敬の念を抱いてしまった。


 (ここまで他国の者に対しておもてなしするのか・・・。異国の民・・・恐るべし!!。 あ、そうだ。)



 アズマはカジァにアズマ自身が気になっている最も重要な質問をした。

 

 「カジァ。一つだけ質問していいかい?」

 「なんだっぴ?」

 「カジァは今の暮らしは楽しい?」

 

 カジァはアズマが妙な質問をしてきたことに対して疑問を感じた。しかし、カジァはそんな疑問を気にせサムズアップしながら明るく答える。


 「さいこぉっす!!」


 アズマはそんなカジァに胸をなでおろした。カジァといえども帝国の民。どういう扱いをしているかは理解できていないため自分自身がそういう扱いをするかは想像もつかない。だが、あそこまで元気に答えると気にする必要はないと感じた。


 「そっか、じゃあ町の中を案内させてよ。」

 「OK!!」


 カジァの聞きなれない言語に聞き取ることができなかったが、カジァ自身変な訛りを使っているため、突っ込むことをやめた。おそらく合意であることを理解したアズマは、自分の持っている全財産を帝国の通貨へと換金しに換金所へと向かった。大和と帝国は使っている通貨が違うため、換金しなければいけない。そのことは換金所の店員は把握していたため、手間なく換金をすることができた。そしてカジァと共に港町の中を散策した。


 『セントラ』を散策しながらアズマとカジァは様々な会話をした。二人は町中にある露店が二列に並んでいる道を歩いていた。町中の風景も気になっていたが、人の数も尋常ではなかった。まだ朝早くに露店の前やアズマと同じように道を行ったり来たりしている者がいた。アズマと同じ『人間種」や動物の耳や頭を持つ『獣人』、人間のような存在である者の耳の形や背がとても低い『亜人種』、カジァのような『マーマン』もいた。そのほかにもトカゲのような体つきの者や、角や翼を生やしているものや、自分の背丈を超える4足の動物が荷台を引っ張っている姿も見える。


 「色々な人がいるな。本当にここは港町か・・・?ずいぶん賑わっているが・・・。」

 「そうだっぴ。何せここはオルァの故郷のセントラだもの。ここまでにぎわったのは、御貴族様のおかげとここが港町だからなんだっぴょ。間違いなっぴぃ。」

 「そうか。」


 アズマはスンっと鼻の中に見覚えのある匂いがした。よく見ると、ドロドロしたものをかき混ぜている者がいた。


 「カジァ。あれはなんだ?何か嗅いだことのあるような匂いがするんだが。」

 「あー。あれは『塩飴ちん』を作っているんだよ。昨日食べたしょ。」


 アズマはふと思い出した。確かにちょうどいい塩加減の飴を舐めていた。あれの元があのドロドロした物とは思わなかった。 

 

 散策していると、露店には色々なものが売っていた。『料理』、『装飾品』、『剣などの武器』、『格安の治療薬』などが販売されていた。その中で人の形をしている大きな像を見つけ、二人は足を止めた。像の大きさは5mまであり、全体の形は全身鎧を装着しており、その鎧は炎で燃えているようだった。そして、背中には炎が渦巻いているようだが、しかしその炎は翼のようにも見えた。アズマは何者か問うためにカジァに尋ねる。


 「カジァ。あの銅像の人物は一体何者だい?あれは、この帝国の皇帝かい?」

 「まっさかぁ~。あれはこの一帯をお納めされておんられる。『アダムス』様だっぴよぉ~。」

 「『アダムス』?いったい何者だい?」

 「『アダムス』様は皇帝陛下に仕える『十王』の一人で、太陽の化身なんよぉ~。」


 アズマはカジァの発言に疑問が出てきてしまった。アダムスという人物は太陽の化身というのはどういう意味なのか。

 それはいま語るべき内容ではないので割愛するものとする。

 そして、カジァはさらに『アダムス』について続けて説明を行う。


 「『アダムス様』はオルァ達や『鳥たち』が治める国々を治める王様なんだッぴぃ。アダムス様は2500年いきているんだっぴょ~。」

 「!? 2500年!?」


 カジァが言った年数に対してアズマは思わず驚きを隠すことができなかった。魔族故に長寿なのかは不明だがどういう人物か想像できなかった。

 色々考えているアズマをよそにカジァは思い出したかのようにアズマに話しかける。


 「あ、そうだっぴ!おっかすぁんのたんめにも、お土産買わんといけんぴ!」

 「む、そうか。それならばしばしの別れだな。カジァ。」

 

 アズマはカジァに対して別れを言おうとしていた。カジァはアズマにスッと右手を差し出し、握手を求めようとした。


 「おっ!また会おうなぁあ!セニョール!」

 「また会おう。ありがとう。カジァ。」

 

 二人は『ベチョっ』と音がしたと同時に握手を交わした。この音はおそらく、カジァの体についている乾燥を避けるための粘液と思われる。だが、粘液が手に着いた不快感は気にしておらず、彼はカジァの類を見ない親切心に対して心からの敬意を表していた。見ず知らずの者に対して、ここまで接してくれていることは大和にいても今までなかったのだから。

 二人は手を振りながらしばしのお別れをした。また、再開するとがそう思いながらお互いは目的地へ進む。


(セニョールとはどういう意味なんだろう・・・?) 


 アズマは港町から帝都へ向かうために鉄道へと向かう。鉄道の歴史は10年しかおらず、帝国が所有する鉄道の数は10台ほど、主なルートは帝都を中心に『十王』が管理している領土に分かれている。アズマがいる『セントラ』は鉄道が通り、人の出入りが多いため当然、駅が設置されていることは言うまでもない。

 『セントラ駅』は港町の各地に設置してある地図を見ればわかるが、アズマは帝国の文字を読むことはできない。道に迷うはずだと誰もが思うが、大和へ出発する前日にあるものがアズマに渡されていた。それは大和の言葉で書かれた『翻訳本』である。それは帝国の文字を大和の民が読めるように翻訳されており、帝国での一人旅が不安にならないように出版されたものである。


 表紙に書いてある翻訳本の題名は帝国の文字で『5歳でもわかる帝国の言葉。大和編』である。


 それにより、アズマは地図を読むことができ、セントラ駅へと無事到着することができたのである。

 駅の外見は簡素な作りであり、『セントラ駅』と書かれた看板にレンガが積んである足場のところが、鉄道の出入り口となっているようだ。看板の隣に小屋があり、そこが切符を販売している場所があった。

 駅に着いたアズマは駅員から切符をもらおう列に並んでいたら、後ろから誰かが言い争う大きな声が聞こえた。


 「おい!こっちは急いでんだ!どきやがれぇ!」

 「なんで知らないあんたの言うことをあたいが聞かなきゃいけないのさ!こっちは長いこと並んで待っていたんだよ!」

 「知るかよ!こっちはなぁ。商売やってるんだよ!急いで乗らないと商品が傷んじまうじゃあねえか!てめぇはその責任が取ることができんのかぁ!」


 見たところ大柄の緑の肌をした男性と小柄で露出の激しい髪の短い猫耳の女性が言い争っていた。言い争いは互角に見えるが、男性の剣幕が強く少女はたじろいでいた。

 

 「うっ、そっ・・・それは・・・。」

 「フン。状況が分かっているようじゃあねえか。だったらわかってるよなあ。」

 「だ、だけどやっぱり譲れないね!大体ねえ!順番に並んでいるのに横に入るなんて、商売人としてちょっと恥ずかしいとは思わないのかい!?」

 「うるせぇ!さっさとどけえ!」


 大柄の男は大きな手で少女をつかみ、並んでいる列から突き飛ばした。

 

  「きゃっ!」


 勢いあまって少女は地面の上に転がっている石に頭をぶつかろうとしていた。男は邪魔者がどけて留飲が下りたと思って、女性から目線を外した。誰もがこの光景を見ていなかった。この順番の争いはよくある光景として誰もが見向きもしない。少女は頭をぶつけて怪我を負ってしまうだろう。


 アズマが助けることがなければ、


 アズマは少女が頭をぶつける前に一瞬で移動し、少女を抱えることで免れることができた。アズマは少女の安否を求める。


 「君、大丈夫? 石にぶつかりそうだったけど怪我してない?」

 「え?・・・。は、はい!大丈夫です!あ、有難う御座います!」

 

 少女は顔を赤くしながらアズマの質問に答える。安心したアズマは抱えている少女をおろして先ほど突き飛ばした男を見つめ、大柄の男にゆっくり近づきながら問う。男は先ほど少女と同じ剣幕でアズマに突っかかる。


 「あの・・・。先ほどあの子を突き飛ばしたあなたですが・・・。」

 「あぁ!?なんか文句あんのかよ!?」

 「あなたが、突き飛ばしたせいでケガするところだったんですよ。僕が抱えなければ危なかったんですよ。彼女に謝罪してください。」

 「はぁ!?なんで俺が謝らなくちゃいけねえんだよ!?」

 「悪いことをしたら普通は謝ります。少女に謝罪を。」


 アズマは男の目の前に立ち冷静な声で男に要求をしているが、男は全く反省の色がなく、しかもアズマの冷静な受け答えに対して、癪に触ったようだ。青筋を立てて、さらに剣幕を強くする。


 「うるせぇ!俺の知ったことかよ!大体、その態度ムカつくんだよ!」

 「僕のことは気にしないでください。早く謝罪を。」

 「こんのおおおおおおおおおおおおおおおお!」

  

 アズマの譲らない精神にしびれを切らした男はアズマに殴りかかろうとした。

 しかし、アズマは殴りかかろうとした手をさばき、男を背負い投げをかけた。大柄の男はアズマと比べて背丈はや体重は重く、アズマを身体的能力で圧倒していたがアズマはそんな男を自分の力ではなく男の殴ろうとした勢いで、『赤子の手をひねる』が如く投げ飛ばした。

 まさに『柔よく剛を制す』。その瞬間は先ほどの言い争いを見ていなかった者たちは、一斉にこちらを驚愕の目で見るようになった。

 男は鈍い音とともに地面に激突した。それと同時にアズマは腰に携えていた刀を抜き、その先端を男に突きつける。


「彼女に謝罪を。」


 男はあまりの速さに何が起こったのか理解できていなかった。しかし、それても自分のやるべきことが確定した。


 「わ・・・悪かった・・・。だから、もう勘弁してくれ!」

 「ならいいです。」


 すでに弱腰になった男を見て、さすがにやりすぎたことを悟り刀を鞘へと戻す。その一部始終を見ていた大衆は、アズマに拍手喝采を浴びせていた。


 「すげえ!なんだ今の!?」

 「あんな細い体で『オーク』を投げ飛ばしちまったぞ!」

 「平たい顔して黒い髪の毛をして見たことのない服装をしている・・・。いったい何者だ!?」


 さすがに目立ちすぎたのかアズマはいたたまれない気持ちになってしまった。気が付くと男は切符を購入する列の最後尾に並び直していた。その光景を一人の女性が眺めていた。


 「先ほどの体術、お見事です。その服装と言いその髪の色。あなた様は『大和の民』ですね。」


 アズマはその発言にその声の方向に目を向けた。その女性は青に近い紫色のドレスに三つ編みをした紫色の髪の毛。青い肌をした身なりのいい女性がアズマに声をかけた。後ろには大柄男以上に大きく、人型でどちらも腰布を巻いただけの半裸で肌の色は灰色をしており、鰐や鷹の頭を持つ二体の存在がその女性を守るように立っていた。すると、大衆はその女性を見てざわざわした。


 「『貴族』だ・・・。」

 「ああ・・・。あの身なりは完全に『貴族』だな。」

 「後であの男に聞こうと思ったけど、貴族と関わっちまったな・・・。関わるのやめようぜ。」

 「だな。」


 大衆は一気にバラバラとなり、アズマと貴族と思われる女性と大きな者の四人となってしまった。

 アズマはなぜこの少女が自分が大和の民と理解したのか疑問に思った。


 「えっと・・・。君は、一体?私はアズマです。あなたの言った通り『大和の民』です。あなたは?」


 アズマは女性にそう尋ねるとドレスを着た女性はドレスのスカートの裾を掴み腰を少し曲げて貴族としての挨拶をした。 


 「申し遅れました。わたくしは、『ミレリア=ウルワルド子爵婦人』と申します。十王の一人『アダムス様』の命により、あなた様を帝都までお迎えに参上いたしました。」


やっと帝都に着ける。

長いよ、ほんとに

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