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皇帝の忍び  作者: 暇人=サン
第一章 忍びアズマ
2/8

始まりの出会い その1

できたね。

 『ルーレニア帝国』


 それは、この世界の4分の1の国土。

 国内総生産が世界1位を占めており、

 軍事力が世界で1、2を争い、

 人口は4億人。

 歴史は世界でもっとも古く3000年以上の歴史を持つ大国であり、

 そして、『人ならざる者たちが住まう』大国である。

 『人ならざる者たち』。それは俗にいう『魔族』呼ばれる者たちである。『人族』、『亜人』、『妖精』、『魔物』とは異なる種族である。


 今から約5000年以上前に彼ら『魔族』は様々な種族に分かれておりそれぞれの『文明』、『文化』、『宗教』、『生活習慣』、『言語』、『通貨』を持ち、彼らはそれぞれの価値観を持ち交易を行うように、同時に魔族同士の争いが絶えなかった。最初は領土や資源の奪い合いだけだったが、いつしか憎しみや恨み、怨嗟が魔族同士に蔓延し『魔族同士の殺し合い』が繰り返すことで、2000年以上もの『血塗られた歴史』が刻まれてしまった。

 

 しかし、そんな『血塗られた歴史』に終止符を打った強力な魔力を持つ者がいた。


 それが初代帝国皇帝である。

 

 初代帝国皇帝である『カルラディアス・ジルヴェストロ・アウルディッヒ・ルーレニアス』は帝国を建国し、一万の国と種族をを一つにまとめる程のカリスマ力、3000年という長い年月を統治し、あらゆる経済政策を取り組み暴落せず民を隅から隅までに潤うことの出来るほどの経済力と国民全体の99%に教育を施す程の叡智を持ち、世界を7つの大陸に別けたと言われた程の圧倒的な魔力を持つと言われていた。それにより、2000年以上の魔族同士の争いをわずか10年で収め、魔族同士の恨みや怨嗟をなくし一つの国にまとめ上げることという偉業を成し遂げたのである。彼は『魔族の英雄』と呼ばれ、彼が統治した時代は『黄金時代』とまで謳われるほどであった。


 しかし、初代帝国皇帝による『静かなる野望』は止まることはなかった。

 彼は、国土を広げることは魔族だけに留まらず、『人族』、『亜人』、『妖精』の国土に略奪、侵略、殺戮を繰り返すこととなった。国や村々を襲い、抵抗しても返り討ちにされ、金品を奪っても猛攻は止まらず、女子供に対しても容赦はしなかった。『人族』、『亜人』、『妖精』たちは帝国皇帝を『暗黒大王』、『深淵の王』、『人喰い王』、『魔王』と呼ばれ、恐れられており、まさに『侵略すること火の如し』の様子であった。魔族の軍団が進軍した際は誰もが恐れ慄き、逃げ出す始末だった。なぜなら彼ら魔族の軍団の通った後は誰一人として生きた者はいないのだから。 彼がなぜこのようなことしてしまったのかは誰も知ることはなかった。


彼にもっとも近い者曰く、「彼は『何か』に恐れ焦っていた。」と話していた。


 だが、25年前に初代帝国皇帝は人族との戦争により暗殺され、彼の野望は潰えたのであった。それから、8年間にもわたり皇帝の玉座は空席であったため、魔族たちは『空白の八年』と呼ばれていた。その後、10年前に『第三代目帝国皇帝』が即位したことにより、『文明が発達』したのであった。火薬の誕生により軍事兵器が進化し、蒸気機関の誕生により、移動、運搬はすべて『鉄道』で賄っていた。そして方角などで航海するものが多く、文明が開化したのであった。さらには『魔族』だけでなく、『人間種』、『亜人種』、『妖精種』たちが広大な国土を持つ帝国に移住をすることを『第三代目帝国皇帝』が認めたため、帝国に移住するものが絶えなかった。そして、様々な国々との交易が盛んになり経済はより一層潤うこととなった。のちに『第三代目帝国皇帝』は大衆から『魔族を統べる王=魔王』と呼ばれることとなった。


 ちなみになぜ『第三代目帝国皇帝』なのかそこは後で。


 帝国の階級は『皇帝』を頂点として君臨し、その下に『守護王』が第2位、第3位に『十王』という10人の魔族がそれぞれの役割を果たしている。されにその下に『貴族』、『市長』、『村長』、『族長』、『首長』、『臣民』の順番に階級が連なっている。

 

 さて、話は戻りアズマは帝国へと向かうため、帝国が作り上げた船に乗船した。この船は蒸気機関が搭載されており、三日間で帝国の首都である『帝都』に近い最寄りの港へと到着できるのだが、アズマはこの船に乗り二日目が経ったころ、ある後悔をしていた。


 そう、それは『船酔い』である。


 彼は武家生まれで忍びであるも、実践経験の乏しいまだ『忍びの卵』である。そして、船に乗ったことがないため、その症状が何なのか理解できていない。原因不明の病と青ざめた顔で思い込み、吐き気、頭痛、めまい、、嘔吐の中で後悔していた。


 (せっかく、帝国に向かうというのに・・・。南無三・・・。)


 彼は乗務員を探しながら甲板上をフラフラしていた。アズマの顔を見た者が心配そうに声をかけた。


「おーい、アンタぁ。そぉんな具合悪そうな顔して、でぇ丈夫だっぴぃ?」


 心配するものは男のようでアズマは余計な心配をかけさせたくないように話す。


「だ・・・大丈夫・・・です・・・。このくらいなら・・・・・うっっ!?」


 しかし、海へと嘔吐するアズマ。先ほどからアズマを心配する男は吐いているアズマの背中を擦りながらアズマに話をする。質問されたアズマは男に質問を返す。


 「ぜぇんぜんでぇ丈夫じゃなさそうっぴぃ。船酔いだんなぁ~。アンタぁ船は初めてかぁい?」

 「えぇ・・。まぁ・・・。なかなかこういう大きな船は乗りませんから。すいません心配かけさせてしまって・・・・・。」


 アズマは顔を上げてその男に挨拶をしようと思ったが、


 「!?」


 彼はその男の顔を見た瞬間に酔いが吹っ飛んでしまった。その男は全身青い鱗をしており指の間には水かきがついており、魚特有のヒレが背中と手足についており、そして顔が魚の顔をしていた。服は着ているが、ふくらはぎと二の腕が見えており、少し筋肉質だった。


 「どうしたっぴぃ?魚が鳥を食べたみたいな顔をしてぇ?」

 「い、いやぁ・・・。その・・・。『あんまり見ない顔』だなぁって思って・・・。」


 アズマは『魚の顔をした人を直接言うのはあまりにも失礼』だと直感で理解した。男はアズマの顔を見て、好奇心と疑問を感じた


 「なぁ・・・。アンタはほかの人間と比べてずぅいぶん平たい顔してんのぉ~。髪もごっさ黒いっぴぃ。」


 酔いが吹っ飛んだアズマは聞きなれない訛りに戸惑いを感じながら聞かれた質問に対し、丁寧に答えようとした。


 「私は大和から来たからな。多分見ないと思われる。あなたの顔もあんまり大和では見ないから少し驚いたよ。」


 魚の顔をした男は驚いた様子で甲高い声を上げた。


「おっろろ~!?そんなんかぁ~。『ヤマト」っつうとこんは顔平たい連中のあつまりなんのぉ~。それに聞いたことない場所だっぴぃ。そりゃオルァ達『マーマン』の顔見てもわからんぴぃ。」

 「『マーマン』?」


 『マーマン』と名乗る男は俗にいう『魚人』である。


 「そっけぇ~。オルァ達のこともわかんねぇかぁ~。マーマンは昔は海に住んでたみてんけども、よく分かんらんうちんにん、こうなっちまったんぴぃ。あんま、気にすんなっぴぃ。」


 アズマはマーマンの言うことに戸惑いを隠せないが、本人は言うとおり気にしないように頷いた。


 「は・・・。はぁ・・・。」


 マーマンはふと気づいて、ポケットからごそごそしていた。


 「そうだっぴぃ!これあげるっぴよ。『塩飴ちん』。これは海には必要っぴよ。口に含むんよ。あ、オルァの名は『カジァ』よろしくっぴね!」


 カジァの手の中に塩飴が入っており、それをアズマに差し伸べながら自己紹介をした。アズマは、見慣れないものに対して、少し警戒をした。カジァは警戒しているアズマを見て安心するように声をかけた。


 「あー。これも知らんぴかぁ~。でぇ丈夫。なんも害はなんしぃ。」

 「じゃあ・・・いただきます・・・。」


 アズマはカジァの行為を無碍にはできず塩飴を口に入れた。そして意外にも、アズマはこの塩飴をかなり気に入ったそうな。


 (あ、そんなにしょっぱくない・・・。むしろいい塩加減・・・。)


 口に含んだ瞬間、塩の味がしており、そんなに強いわけではなくむしろ優しい感じである。口の中を転がせると塩の味が口に広がる。


 「あの・・・。有難う御座います。弱った自分をここまで優しくしてくれて、自分はアズマと言います。帝都へと旅をしているのです。」


 アズマは大和では他社に介抱されてはおらず、むしろ放置されるのが多かった記憶を持つ。カジァはアズマの感謝の言葉に思わず照れ臭い感じがし、首筋を軽く掻いた。


 「いいんだっぴよ~。それに困ったことがあればお互い様っぴぃ。そういえば、帝都に行くんだっぴよね?なんでまたそんなとこんに?」


 ふと、思い出したカジァはアズマにそう尋ねた。

 「まあ、ちょっと野暮用でしてね。」

 「はえ~。あっちなみに帝都に着くにはもう一日この船に乗ってルーにょう。最寄りの港に降りるーにょう。そしてぇ、鉄道に乗って半日ぴよー。」

 「結構、遠いんだな。帝都って・・・。」

 「そうだっぴかねぇ~。鉄道ができる前は最寄りの港で降りても歩いて一月くらいだッぴよ~。この船だって、元々はなかったんだッぴよ~?それに比べたら楽になったもんっぴねぇ~。」


 しっかりアズマが気になっている事に丁寧に教えてくれるカジァ。すると、二人の近くに何かが通り過ぎた。アズマは何かが通りすぎたのを見ていたが、それが何なのかは理解できなかった。


 「な、なんだ!?」

 「あれは、『スカイフィッシュ」ぴね。これ飛んでるの魚ッぴよ。」

 「はあぁ!?」


 アズマの疑問に平然と答えるカジァに対して、アズマにとって未知の物体が魚という事実に驚きを隠せていなかった。


 『スカイフィッシュ』とは空飛ぶ魚である。基本的な構造として、一見普通の魚に胸ヒレが他の魚より大きく空を飛べるような進化をしている形となっている。彼らには立つための足がなく陸上に降りることができない。基本的には空中を飛んでいる。


 「スカイフィッシュはすばしっこいけど捕まえて焼いたらけっこううんまいんだっぴよ~。」

 

そう話しながらよだれを垂らすカジァ。しかし、アズマはスカイフィッシュを見ているカジァに話の腰を折るように話題を振った。


 「そういえば、カジァはどこに行くの?」

 「ん?カジァは『キセイチュウ』?なんよ~。最寄りの港がちょうど実家なんだッぴ。」

 「ふーん。仕事は何してるの?」

 「仕事は『ギョギョウ』なんぴぃ。魚とか捕まえんにょ。ちょうどいいから。スカイフィッシュ捕まえて喰うんぴよ。捌いてやるんぴよ。」


 カジァはアズマに食事を招待した。アズマは先ほどカジァが言った『スカイフィッシュが美味い』ことに対して非常に興味があったのだ。大和は島国に囲まれており、基本的には魚が食卓に出てくるのだ。しかし、『スカイフィッシュ』のように見たことのないため、しかも美味と聞いては黙ってはいられなかった。だが同時にここまで図々しく人の好意甘んじていいのかという思いもあった。


 「私は別に大丈夫なのだがいいのか?」

 「せっかくなんだからでぇ丈夫だッぴよ!」

 

 そう言いながらカジァはアズマに右手でサムズアップを見せつける。アズマはカジァの言葉を信じてスカイフィッシュを獲るカジァを心で応援していた。

 

 その夜、

 アズマとカジァは甲板の上で『スカイフィッシュの塩焼きを食べていた。味付けは塩味と素朴な味わいなのだが、スカイフィッシュは白身魚のようにほくほくした食感に魚の油が塩味と混ざり噛めば噛むほど旨味が口いっぱいに広がって、大層おいしかったそうな。そしてカジァは夢中になりながら、両手にスカイフィッシュを持っており、口にも咥えていた。そしてアズマはこの時思ったことが一つだけあった。


 (カジァが共食いしてる)


 それは口が裂けても言えませんでした。二人は夕食を済ませた後は、自分たちが止まっている部屋へと戻り、ベッドの上で休んだ。海の上で誰かと食事をとるアズマは非常に至福な顔で眠ったそうな。


そして、夜明けとともに帝都に最も近い港へ到着した。


ちなみに二人は甲板の上で火を点けたため船員にこっぴどく怒られたとか。


次はバトル回書けたらいいな


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