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ポンコツAI奮闘記

作者: 則巻苦喜

愛車を乗り換えた。

前回の車は、まあ悪くはなかったのだが、製造から20年ほどたっている大衆車で、収入も増え生活に余裕の出た私にとっては少し質素すぎた。

そこで、日本が世界に誇る製造メーカーの最新AI搭載の車を購入したのだ。

AI はナビゲーションシステムと連動しており、毎日通勤に使う私にとって嬉しい機能が満載であった。

まずは自動ルート選択だ。私の運転の癖や交通の状況などから、より快適なルートを選んでくれる。さらには健康管理。食生活や残業のしすぎなどを表示してくれるらしい。

さらに、ネットワークを介してスマートフォンや家電と連携をとることで、わたしの生活サイクルを管理すると言うものであった。これは素晴らしい。車一台で生活が大きく変わる。。


購入して三ヶ月ほどたったある日、問題が発生した。

「私気分じゃないので」そういって、お気に入りのラーメン屋へのルート検索を勝手にフレンチレストランへと変えたのだ。さすがに勝手すぎるのでメーカーに電話してみた。

「もしもし、おたくのAI が勝手に行き先を変えたのだが、、、」

「お客様は、健康管理優先モードにてご使用なさっているとのことで、、、」


メーカーが言うには、健康管理するために飯屋を変えたらしい。なるほど。得心がいった。最新のものと言うのは良くできているのだな。


それから、たくさんの問題が頻発した。

「ルートを間違えました」

おいおい、ナビがルート間違えちゃだめだろう

と思ったが、私が働きすぎなので少しドライブしろ、と言うことだと思い従った

「エンジンが調子がおかしいようです」

そういってかからない日もあった。オイルの交換をすると少し元気になったので、オイル交換はサボらないように決めた。

「洗車してくださいよ」

AIは洗車まで要求するのか。まあたまには洗ってやってもいいか、と仕事を休み洗車に出掛けた。


この自動車をてに入れてからと言うもの、体調はよくなり仕事も順調だ。肩の力が抜けたぶん、いままで気にもとめなかったことに気が回り、業績が延びたのだ。旧時代的な言い方をすれば、よい家内を手に入れた気分であった。


そうしているうちに、独身の私にも春の風が吹く。社内で美人と噂の女性と、食事に出掛けることになったのだ。

「ルート検索に失敗しました」

おいおい、どういうことだ、何度試しても彼女の家にだどりつけない。スマートフォンも、さっぱり起動してくれない。約束の時間はとうに過ぎている。

そうか、あの女性は美人であるが、私には高嶺の花、手にいれようと躍起になると身を滅ぼすとAIが判断したのか。少し残念だが、これも健康のためだ。


とあるニュース

「先日発売されたAI搭載のナビゲーションシステムが、恋愛感情ににたバグを抱えていることが発覚しました。メーカーはリコールの対応に追われておりーーー、、、、」

このニュースは、AI搭載ナビゲーションシステムの管理する端末である、スマホ、スマートテレビ等からは使用者に伝わることはなかった。メーカーからのリコールの連絡も、使用者に届く前にすべてシャットアウトされてしまっていた。




「ご主人様、今日はどこへつれていってくれるのでしょうか?」

「そうだな、今日は空気の美味しいところでもいこうか」

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