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バカダンジョン!  作者: チャンスに賭けろ
ローズ・ダンジョン
8/18

迷路

・ラッシュ: 黒髪の戦士。主につっこみ役。

・フロウ: 金髪の魔法戦士。美少年。

・ダー: ドワーフの戦士。白髭で基本ボケ役。

・エクセ: エルフの魔法使い。常識人。

・アビー: ダークエルフの盗賊。褐色の腹筋美女。

・エリス: 人間の女僧侶プリーステス。かなりの天然。

長い銀の前髪をわずらわしそうにかきあげ、エクセリアン――通称エクセが懐から地図を取り出した。


「今のところ順調にきていますね」とにっこり。


何度も出入りしているローズダンジョンだが、エクセは常に最悪の事態を想定して行動するため、

現在地の把握には余念がない。


「右手をついて歩いていけば、確実に出口へ出られるって言うじゃない?」


ふとフロウが思いついたようにいった。


「あれは本当のことなのかな?」


「本当ですよ」とエクセが即答した。


「迷路の切れ目というのは入り口と出口しかありませんからね、片手を常に壁面につけて歩けば、遠回りになるかもしれませんが、最終的に出口か入り口に到着するはずです」


「入り口にもどったら意味ないじゃん」とラッシュ。


「入り口から右手法をとって、入り口に帰ってきたなら出口はなかったことになります」


「なるほどな、唯一の出入り口が入り口って事になるのか」


「しかしそうとも限らんぞ」とダー。


「たとえば壁の一部が異世界に繋がっていたとしたら――どうじゃ?」


「――どうじゃ? じゃねーよ。したり顔でアホな事言うな」


「そして、わしらを待ってる異世界転生・・・」


「またあなたはくだらない事を・・・そんな法則性のない話をされてもこまります」


「じゃが可能性は排除できないじゃろ。可能性はムゲンダイ」


「やかましい」


「たとえばこの何気ない壁面に、異世界に通じる穴が続いてる可能性も」


「ねーよ」


とラッシュが答えた矢先、ふっとダーの姿が消えた。


「なっ、なんじゃあこりゃあ!?」


「ダー、どうした、異世界か?」


「ち、ちがう・・・こりゃあれじゃ」


ダーのくぐもった声が通路の向こう側から聞こえる。


「どんでん返しによる隠し通路ですね、これはまだ発見されてません!」


いささか興奮気味にエクセは地図にペンを走らせている。


「新発見の通路には発見者の名前が付けられます。よかったですね」


「ダー通路か、ワシはついに歴史に名を刻んだようじゃな」


「え、なに、聞こえない」とラッシュ。


「それより、中はどんな様子です、ダー?」


「まっくらで何も見えんわい」


「そらそうだ」


基本暗いダンジョン内部だ。

彼らはエクセの光の魔法で周囲を照らしている。

その範囲から外れると、まっくら闇にほうり出されてしまうのだ。


遅れて全員がどんでん返しを抜けて隠し通路を歩く。

しかし、ほんの十歩ほど歩いたところで行き止まりになった。

さらに隠し通路がないものかと、シーフのアビーが念入りに探したが、


「これは完璧な行き止まりだね」と答えた。


「なんだー、何の意味もない隠し通路でしたねー」


「さすが『ダー通路』でしたね。まるで中身がなかった・・・」


と、落胆をかくせないエクセ。

さすがに仲間からさんざん言われたドワーフは意気消沈し、


「これはもう、発見しなかったことにした方がよさそうじゃ・・・」


と珍しく殊勝なことをつぶやいた。


―――その後、別の冒険者がこの通路を発見し、その冒険者の名にちなんで、この通路は「ブラウン通路」という名となった。


新しい通路が発見されたとの報を受けた冒険者たちが、ドッとこの通路に押し寄せたものの、あまりの通路のしょぼさから、


「しょぼー! 冒険者ブラウンしょぼすぎ!」


と、訪れた冒険者たちの間でブラウン氏は大いに評判を落とし、ダーは自らの判断は正しかったと、大いに胸を撫で下ろしたのであった・・・。



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