呪いのアイテム
・ラッシュ: 黒髪の戦士。パワーバカ、主につっこみ役。
・フロウ: 金髪の魔法戦士。美少年。
・サンダー: ドワーフの戦士。白髭でボケ。
・エクセ: エルフの魔法使い。常識人。
・アビー: ダークエルフの盗賊。褐色の腹筋美女。
・エリス: 人間の女僧侶。かなりの天然。
次にパーティーはコボルト4匹と遭遇し、これを倒した。
再び宝箱がころりんと手に入った。
当然ながら、ここはアビーの出番である。
最初は慎重に宝箱を触っていたアビーだったが、なにを思ったか、彼女は強引に箱を開き、一同をおどろかせた。
「大丈夫、今回は罠ナシだよ」
アビーはしてやったりの表情で一同を振り返り、中からひと振りの剣を取り出した。これが今回の報酬のようだ。
「――お、やった剣ゲットだぜ!」
ラッシュが、ガッツポーズで喜びを露わにする。
実はこの男、剣のコレクターなのだ。
そんな笑顔のラッシュに、アビーはちっちっと指を揺らし、
「ダーメ、これは帰って鑑定してもらわないとダメだよ」
「えーめんどくせえよ。使ってるうちに感覚も分かるって」
と、忠告を無視して使う気まんまんだ。
「ダメだってば。もし呪われた武器だったらどうすんのさ」とフロウ。
「ほう、呪いのアイテムとは、どんな種類があるんじゃ?」とダー。
「たとえば動きが極端に遅くなったり、どんどん体力が減っていったりー。あと、体にくっついて離れないというのもありますー」
エリスは聖職者だけに解呪の場に立ち会う機会も多く、割とくわしい。
なお彼女自身は解呪はヘタである。
「くっついて離れないなら武器を落とさないし、逆にいいんじゃないか?」
「そう思いますー?」
ジト目でラッシュを見やるエリス。
「町へ帰ったとき剣がくっついたままだと、どうなりますー」
「宿屋に泊まろうとして受付の人に『今晩泊まりたいんだが』といって剣を突き出すと、ただの脅迫だね」とフロウ。
「酒場でも教会でも同じですー」
「考えうるあらゆる場面で脅迫になるわい」とダー。
「たちまち牢屋にぶちこまれますよねー」
「そしてぶちこまれた牢屋内でも懲りずに剣を振り回している・・・」
「――それがラッシュという男じゃ!」
と、サンダーはびしっとラッシュを指差した。
「逮捕されても獄中大暴れとか、俺はどんなクレイジー野郎だよ!」
「ラッシュならばやれるとワシは信じている」
「うるせえよ。その妙な信頼は何だよ!」
ラッシュがムッとしてダーと口論している間も、なおもまだゴソゴソと宝箱を探っていたアビーが、ふいに声を上げた。
「―――珍しいね、この宝箱の底には盾も隠されてたよ」
「するといい盾かもしれませんね」とエクセ。
「ねー、これも呪いの盾だったらどうでしょうー?」と、エリス。
「くっついてるのが盾なら脅迫にはならんのう」
「むしろ身を守るのに便利かもー」
「でも、ずっと盾がくっついてるのも不便なものですよ」とエクセ。
「体を洗うとき、盾がくっついてるのはつらいね」とフロウ。
「そして牢屋内で寝るとき、自分の盾で腕枕・・・」
「――それがラッシュという男じゃ!」
サンダーはびしっとラッシュを指差した。
「それはもういい! てか俺牢屋にぶちこまれるの確定なのかよ!!」
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なお、鑑定してもらった結果、どちらもただの剣と盾でした。