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バカダンジョン!  作者: チャンスに賭けろ
ローズ・ダンジョン
2/18

ベテランの人たち

ラッシュ: 黒髪の戦士。パワーバカ、主につっこみ役。

フロウ: 金髪の魔法戦士。美少年。

サンダー: ドワーフの戦士。白髭でボケ。

エクセ: エルフの魔法使い。常識人。

アビー: ダークエルフの盗賊。褐色の腹筋美女。

エリス: 人間の女僧侶プリーステス。かなりの天然。

 さて、今回の舞台はローズ・ダンジョンだ。

 難易度は初心者から中級者むけ。

 敵はそんなに強くはない。冒険者になりたてのルーキーから、そこそこ慣れてきた中堅たちが使うダンジョンだ。

 このダンジョンを卒業して、ようやく一人前と認められる。


 階段をおりると、ちょっとした広間になっている。

 初心者はここで装備を整えたり、作戦を練ったりするのが普通だ。

 そこかしこに、そういうルーキーたちの姿が見える。

 だが、この6人は一応中堅どころなので、そういう面倒なことはしないのだ。さっさと三方向に分かれた通路のどまんなかを進んでいく。


 彼らの背中から、


「ベテランの人たちはカッコイイね……」


 という、羨望のこもったささやき声が聞こえる。

 エリスはにんまりとして、


「わー、わたしたちカッコイイですってー」


「悪い気はしないな」


 と満足げに頷くラッシュ。「ウム」とサンダーも同意する。


「しかし、慣れとは危険なものでもあります。気を引き締めていかねばなりません」


「そうですねえー」


「ようするに、最初の頃の気持ちを失っちゃダメということだね」


 と、フロウは真剣な顔つきでつぶやく。


「さにあらずじゃ」


 サンダーは静かに首を左右に振った。


「――えっ?」


 目をまるくする一行。


「すべてを同一の思考でまとめてはいかん。一人一人がみな違う生命体」


「いきなり何の話だ」


「もののたとえじゃ」


「何も例えてない気がするんですがそれは」


「だからお前らはわかっておらぬ。まだ若い証拠じゃ」


「私はあなたより年上ですが……」とエクセ。


 見た目は若く、美しいが、エルフ族はたいていがドワーフ族より長命だ。ちなみにこの世界の人間族の平均寿命が70歳ぐらいとすれば、ドワーフは200歳、エルフは500歳だ。


「わしの言っとるのは実年齢のことではない。精神的な若さのことじゃ。だからして、お前らはまだ青い。採れたてのバナナのようにな」


「採れたてのバナナって緑だよね」


「カーッ! いちいち揚げ足をとるでない!」


エクセは「フムフム」となにやら頷くと、


「そこまでキッパリいうなら、その精神的な年長者さまから、ぜひ、タメになるひとことをぜひお聞かせ願いたいものですね」


「よし、その耳の穴をかっぽじってよく聞いておくんじゃ」


「聞いてますから、どうぞ」


 と言ったものの、しばらく沈黙するサンダー。

 威勢よく啖呵をきったものの、何も考えてなかったらしい。


「おや、どうしました?」


意地悪そうに横目で見てくるエクセにムッとしたのか、ようやくサンダーはこう言いはなった。


「……し、初心、忘るるべからず!」


ラッシュはすっとローズダンジョンの出入り口を指差し、こう宣告した。


「―――退場」



バカダンジョンはつづく・・・・→

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