海派か山派か
・ラッシュ: 黒髪の戦士。主につっこみ役。
・フロウ: 金髪の魔法戦士。美少年。
・ダー: ドワーフの戦士。白髭で基本ボケ役。
・エクセ: エルフの魔法使い。常識人。
・アビー: ダークエルフの盗賊。褐色の腹筋美女。
・エリス: 人間の女僧侶。かなりの天然。
じめじめと代わり映えのない、どこまでも続く壁面。
複雑に入り組んだ通路。
唐突に襲来するモンスター。
ふと誰かが、フーっと溜息を漏らした。
ダンジョン稼業はとかくストレスが多い。
ダーは年寄りくさく、とんとんと自分の肩を叩いてほぐしている。
しんがりをつとめるアビーも、周囲の反応を窺いつつも、時折身体をほぐすようにウェストを左右に回したり、肩をぐるぐる回したりしている。
「ここを出たら、どこかレジャーに行きたいですね」
雰囲気を察したエクセが、気晴らしにと明るい話をしだした。
「それはいいね。ダンジョンはストレス溜まるし」とフロウ。
「ちなみに聞きますがー。山と海、どっちが好きですー?」とエリス。
「俺は山だな」
とラッシュは即答した。
「野生の獣、突然の崖、ありとあらゆるものに警戒を払いながら、ひたすら剣を振るう。山はまさに修行にうってつけの場だといっても過言ではない」
「それってレジャーって言いますー?」
「いや、自分で修行って言い切っちゃってるし」とフロウ。
「レジャーというよりレンジャーじゃの」とダー。
「私も山が良いですね、山林には自然のパワーが降り注ぐ場が、様々な位置に眠っています。そこで瞑想すると、大いにリラックスできますよ」
いかにもエクセらしい解答だった。
フロウは流れに反して、
「僕は海がいいな。どこまでも続いている青い水平線を見ているだけで、心が癒されるよ」
エリスは、自分で海か山かと聞いておきながら、
「私は教会ですねー」とか言い出した。
「あの神聖にて荘厳なる雰囲気、他のどこでも味わえませんよー」
「本音は?」とラッシュ。
「差し込むほどよい陽光、まるで睡眠にいざなうかのような大神官さまのお言葉がー…」
途中でまずいと思ったか、後半もごもごとエリスは口ごもった。
「アビーはどうなんですー?」
照れ隠しのようにエリスはアビーへ振った。
すると、なぜかアビーは赤面しながら口ごもり、
「あ、アタシは暗闇が好きかな」
「えー、なんでなんですー? ストレスじゃないんですかー?」
「明るいとなんか、逆に落ち着かないというか。アタシみたいな裏稼業の女が、まっとうにお天道様の元を歩くなんて、性に合わないというか・・・・」
「なるほど」ダーが感心したように言った。
「ダークエルフというのは性格もダークなのじゃのう」
「・・・・ほっとけ」
バカダンジョンはつづく・・・→