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バカダンジョン!  作者: チャンスに賭けろ
ローズ・ダンジョン
14/18

雨降ってぶよぶよ

・ラッシュ: 黒髪の戦士。主につっこみ役。

・フロウ: 金髪の魔法戦士。美少年。

・ダー: ドワーフの戦士。白髭で基本ボケ役。

・エクセ: エルフの魔法使い。常識人。

・アビー: ダークエルフの盗賊。褐色の腹筋美女。

・エリス: 人間の女僧侶プリーステス。かなりの天然。

エリス・ファという女僧侶プリーステスは、基本的にぼーっとしていることが多い。

と思えば、おもむろに突飛な事を口走ったりする。

このときもそうだった。


「ねー、『雨降って地固まる』ということわざがありますよねー」


「はい、ありますね」


冷静に返すエクセ。


「でも、実際は固まってないよねー、ブヨブヨだよねー」


「それはワシもそう思っておった」とダー。


「いえいえ。雨が降った直後はぶよぶよかもしれませんが、水が抜けると以前より強固なものになるんですよ」


「そうなんですかー?」


「耕した土なんか、隙間に空気が入って柔らかい状態になってるんだよ。そこに雨が降ると、空気のスキマにドロドロの土が流れ込んで、ピッタリ固まる、みたいな感じだね」


そこにフロウが口をはさむ。


「さすが農耕民族フロウだな」とラッシュ。


「農耕民族じゃないよ! 一時期まったく仕事がなかったから、畑で野菜作ろうといいだしたのはラッシュでしょ。君は言い出しっぺのくせに全然手伝わなかったし、経験不足で頓挫したけどね!」


日ごろ温厚なフロウが、珍しくむくれている。

ラッシュはごまかそうとしてか、へたくそな口笛を吹いた。


「まあまあふたりとも。つまり何かもめごとがあった後は、かえって物事がうまく収まるという意味で使われていますね」


「今の俺達みたいなものだな」


「いや、まだ僕の地はまだ固まってないよ」


フロウはツン、と唇をとがらせている。

とりなすように、エクセが言葉をつづける。


「ええと、似たような言い回しは他にもありますよ」


「ほう、聞かせてもらおう」とダー。


「たとえば『嵐のあとには凪が来る』とか」


「ふむふむ」


「でも逆に『凪のあとには嵐がやってくる』ということわざもありますね」


「なんじゃそら」


「まあ、言い回しひとつといいますか・・・・」


「人類の身勝手さ、傲慢さ、業の深さを見せつけられる思いじゃわい」


「なんでそこまで・・・」


「まあワシは理解したわい。とりあえず言いたいこと言っとけばことわざになる、ということじゃな」


「全然そういうことではありませんが・・・・」


まったく人の話を聞いていないダーはポンと手をうち、


「うむ、ワシもひとつ浮かんだわい」


「えー聞きたくなーい」と耳をふさぐエリス。


「どうせ聞かされるんだから、さっさと言ってください」


溜息まじりにエクセが言った。

もはやあきらめの極致といった顔だ。


「うむ、『痩せガエル、負けるなダーここにあり』というのはどうじゃ」


なんのてらいもなく真面目な顔でダーはいった。

一同そろってこう返した。


「「「「ちがう! それは全然ちがう!」」」




バカダンジョンはつづく・・・→

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