ゴブリン
・ラッシュ: 黒髪の戦士。主につっこみ役。
・フロウ: 金髪の魔法戦士。美少年。
・ダー: ドワーフの戦士。白髭で基本ボケ役。
・エクセ: エルフの魔法使い。常識人。
・アビー: ダークエルフの盗賊。褐色の腹筋美女。
・エリス: 人間の女僧侶。かなりの天然。
さて、3Fに到着したばかりだが、特にすることもない。
「さっさと4Fへくだる階段のある部屋まで行きましょうか」
ローズダンジョンは初心者むけのダンジョンだけあって、このフロアまでの敵は、彼らにとってそこまで脅威の対象ではない。
当然ながら入手できる経験値も金銭的にも期待できないので、さっさと強敵のいる下の階へ行ったほうが無難なのだ。
「さあ、次の曲がり角を右ですよ」
道案内はもちろん魔法使いのエクセ。
こまめにマッピングしているのはパーティーで彼ぐらいしかいない。
「そこの扉をあけて―――おや、中になにかいるみたいですね」
気配を察したエクセが呪文の攻撃態勢にはいる。
前衛のラッシュとダーが、扉の左右に分かれた。
それぞれ斧と剣をかまえ、目配せをする。
ふたりはほぼ同時に扉を蹴りやぶり、中に突進した。
「ヒ、ヒェェェ、助ケテクレ!!」
中には2匹のゴブリンがいるだけだった。
不意をつかれ、完全に戦意を喪失しているようだ。
「どうする、こいつら」とラッシュ。
「命乞いしてる敵を殺すのは趣味じゃないのう」とダー。
「そうですー、敵意のないモンスターは敵じゃありませんー」とエリス。
「イノチ、助ケテクレルカ、コレハウレシイ!」
助かると知ってゴブリンは安堵の表情を浮かべた?ように見える。
「おい、命を助けるんだから、それなりの見返りをよこせ」
剣を鞘に収めつつ、ラッシュがにやりと笑う。
「ラッシュ、悪い顔になってる!」とフロウ。
「――ミカエリッテナニ?」
きょとんとする一匹目のゴブリン。
「俺シッテル! ウシロヲ見ルコトダゾ」
もう一匹のゴブリンがドヤ顔で言った。
「ナルホド、ソレナラ、オヤスイゴヨウダ!」
二匹のゴブリンは、そろってバッと後ろを向いた。
「コレデイイカ?」
約束を果たしたゴブリンたちは、満足そうにサムズアップをしている。
ラッシュはうんうん、と笑顔でうなずき返した。
その手には剣がにぶい光を放って握られている。
「ま、待ってラッシュ、短気はいけない!」
あわててフロウが羽交い絞めで制止する。
「離せ!このゴブゴブ野郎をこの世から駆逐してやる!!」
「いや、そこまで大層な相手かのう・・・」とダー。
ふと見るとドタバタ騒ぎにまぎれ、ゴブリンコンビはとっくに風を食らって逃げ出していた。
バカダンジョンはつづく・・・→