「再び動き出した心臓」(2)
再び目を覚めると、甘い匂いがしてた。
自分が生きていることを感じる。なぜなら今苦しいから。。。
いや結構苦しい。。柔らかい何かが頭に乗っているかのようだ。。
いや乗っている。そしてなぜかさっきから良いにおいがする。
少しずつ体を動かせるようになり。動いていると
「ん、んっん。んん?」
女性の声が聞こえたところでラキスはこの世に戻って
数秒しかたっていないが、今どんな状況か理解する。
ラキスが理解したときは世界は明るくなっていた。
「んゥ?ああ、おはようございます。ラキス君。」
下着とブラしか着ていない状態で彼女は何故かラキスに足を挟んで寝ていた。
窓から光が差し女神のような彼女は本当に女神なんじゃないかと錯覚するほど
幻想的だった。だが何故か少し口周りが赤い。
彼女は言い終えるとラキスの頬に舌でなぞりながら最後に
軽くkissをする。
ラキスは状況は分かっているがなぜ今こうなっているのか分かっていなかった
ため、赤面しながらも「お、おはようございます。」と答える。
彼女は微笑むとラキスから離れ、今いる部屋から出ていく。
ラキスはここはどこなのかとあたりを見渡すとどうやら女性の部屋の様で
恐らく彼女の部屋だろう。窓を見ると見慣れない光景があった。
街は賑わっていて、自分がいたところより人が多く、
がやがやしていたが、なんだかラキスはこの景色が好きだった。
自分のいたところは道も街も常に綺麗だったが、人はみなどこか汚く
心から笑っているものなどは誰一人いなかった。
だがこの景色はどうだろう、とても賑わっていて皆心から笑っている事が分かる。
どうやらここはどこかの城の様で、窓から今の場所をみると何個か塔があったからだ
そんなことより、さっきから胸の位置が何だが少し疼く。
嫌な予感がする。そうさっきから感じたことのないこの肌寒さ。
脳ではわかっていたが、どうやら自分は上半身は完全に裸で
下半身はタオル一枚だろう。何も知らない人がラキスの今の姿を見たら
神秘的過ぎて見惚れてしまうだろう。
だがさっきまでの自分の状況を考えると
足を挟んで寝ていたこともヤバいが。。。。もっとヤバい気がする。
そんなことを考えながら自分の体を見る。そこで予想外の出来事に
さっきまで覚醒していた脳が再びフリーズする。
ああ、裸だ。それはいい。肌がまた白く戻っていることもいい。
タオルも思っていたよりかなり短く、危ういのもまぁいい。
心臓が無い。。。。ぽっかりとそこだけ空いているのだ。
《《誰かに食べられた様》》な穴が空いてあった。
だが見た目ほど痛くはなく。ラキスが傷に自覚したせいか
ずっと見ていると少しずつ塞がっていく。
その様子をただじっと眺めていて完全に胸が塞がる頃には
「あぁ、そうか」と一言呟き、理解する。
もう自分が人間をやめていることを。