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犯罪的な美帝  作者: 古舘
美しき終焉
18/21

「再び動き出した心臓」(1)

気が付くと私はあの空間にいた。


頭が覚醒してくると、先ほどの死んだ記憶が蘇る。

が恐怖よりもあの女性と最後にキス出来て良かったなと

言う感情の方が大きかった。立ち上がりあたりを見渡すと

見覚えのある何もない空間。何もないのだがこの空間独特のオーラが

懐かしく感じるのはここが何年か前に来た、虚無の間と呼ばれる

場所だからだろうか。それともここはあれだけの人間を殺したんだ

地獄で永遠の闇が自分を待っているんだろうかなんて他人事のように

そんなことを死んだはずの体で考えながら歩く。


すると2つの黒い果実がそこにはあった。


不意に後ろから声が聞こえる。


「キミがラキスかな?違うかな?」


急に呼ばれたので驚きと同時に体がバッと振り向く。


するとそこには白と黒い色のマントの付いた服を着た、

半透明な大きな大きな人の形をした何かがラキスを覗き込んでいた。


ラキスは驚きの余り声を出せなかったが、次は脳に直接先ほどの

声が聞こえる。


「キミはラキスかな?違うかな?」と圧倒的な存在を前に

ラキスがとった行動は、驚くのは失礼だと思い必死で体をコントロールする

何かにまず頭を下げ頭を上げるとハキハキと喋りだす。

この時点でこの何かが何なのかは大体予想していたからだ。


「はい。私がラキスでございます。」


言い終えると顔を伏せたまま、胸に手を当て。左腕を広げている。

これが今ラキスができる最大限の自分が下である事の証明だった。


神と思しき何かは禁術の時のような黒い仮面を被っており、どんな顔をしているか

分らないが、何故かラキスは悪い神には見えなかった。だからこうして一か八か

の賭けに出ているのである。


神はこの時、ラキスを驚かせる気でいたのだが逆に驚かせられたなと

こんな気持ちになるのは何年ぶりかなと内心懐かしみながら


何かは突然笑い出すと、よりラキスに近づく。


「キミか。。。頭を上げてよ顔が見たい。」


優しく聞いていたような声だった。顔を上げるとラキスと変わらないサイズになって

笑いながらラキスを見ている。と思う。顔が分からないが恐ろしそうで

同時に穏やかそうにも見えるのだ。


「僕は再生と破壊の神なんだ、キミ。僕の力いらない?」


今度は脳に直接ではなく、神の口から直接発しられたものだった。


その顔は笑っているような嗤っているようなわからない表情だった。


ラキスはすがるように衝動が抑えられないように答えた。「はい」と。


気が付くとラキスは二つの果実を喰ていた。

やめようとするブレーキも全くかからず、欲望のまま

それに食らいつく。食べているときに感じた感覚は二つ。

「生と死」を両方感じながら

前とは比べ物にならないほどの情報と力がラキスの中に

吸い込まれていく。ラキスはこの能力を得たとき微笑しながら

この空間から姿を消した。




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