「計画的な鼓動」(4)
朝起きると、直ぐに朝食を食べ着替える。
今日の式のためにわざわざ取り寄せた最高級の繊維で作った
白と金で繊細な王族の服を着た後部屋を出る。
それから、今回の式のために来た王族や貴族の人たちの何人かとすれ違い軽い会釈を交わす。女性はラキスの容姿にまず驚きほとんどの人が見惚れる。
男性は最初は少し嫉妬気味に話しかけてくるがラキスの人柄に
段々と打ち解けていく。そんなことを何回か繰り返し、次は髪を整えるために
初めてラキスは髪を切ってもらう。
少しは自分で切っていたのだが長い髪が好きで女性と同じぐらい大体腰の高さまで
伸ばしていたが計画のためにと、これもわざわざカリスマ美容師を雇ったという
そしてそれを聞いた国王は部屋の一つを美容室専門にしたそうだ、
これも信用されているということでラキスは納得した。
中に入ると、一人の女性と
一人の髪が紫いろの二つぐらい年上の男性が立っていた。
中々のイケメンでおしゃれ、そして腕が良いためファンが多いらしく
信用できそうな人物だったので安心して席に着く。だが男性は突然ラキス
の顔に近づける。
「あら、かなりの美青年じゃなぁい~の久々に腕がなるわね。
知っていると思うけど私はフェイスよ。宜しくね。ラキス王子。」
そう言うとラキスの顔に軽くキスをする。
この時ラキスは嫌なゾクゾク感と一緒にこの人があっち系の人物だと悟る。
スタッフだろうかそれを見ていた女性の顔が赤くなる。
なんだがイケナイものを見ているんじゃないかと思ったらしく
倉庫の方に去っていった。
「じゃあ、そろそろ切るわね。でどれくらい切ってほしいのかしら?」
「・・・バッサリ行ってもらっていいですか?この長い髪の毛。」
それを聞いたオネエ風のフェイスは驚きもう一度確認する。
「え?ほんとにいいの?この長さとなると当分しないと伸びないわよ。」
「はい。お願いします。」ラキスの少し寂しそうな顔をみて何かを悟ったのか
真剣に切り始める。
フェイスとは最初はあれだと思ったが話していくうちに段々と仲が良くなっていき
髪を切り終えた頃にはため口で喋るぐらい仲が良くなっていた。
ため口と言ってもラキスは変わらないが、どこか親しみを込めたものになっていた。
そしてラキスは気付く、いや気付いたと言っても確信があるわけではないが
理由は明確、動き方といいそして何よりフェイスが能力者それも
上級能力者だということ。少なくてもフェイスはかなりの腕の持ち主である事。
だがラキスは気にしないで喋り続けた。話すのが楽しいと感じたのは
初めてだったからだ。
それから仕上げに髪をかきあげ。鏡を見せられる。
フェイスは満足いったようなのでラキスは立ち上がり。部屋を出る。
フェイスはウインクしながら「またよろしくね~」と言って別れた。
まだ時間があり、庭にでも行って見ようとした時
倒れていた女性を見つける。走ってその女性に近寄ると
どうやらドレスでこけたらしい。センスが良く気品あふれるドレスだった。
ラキスは手をその女性に差し出すと女性は顔を上げ恐る恐る手を取る。
ラキスは顔を見て目を合わせた瞬間ドキッとしたどうやら
その女性のラキスの顔見て恥ずかしくなったのか顔がみるみる
赤く染まる。女性は美しく触りたくなるような唇に頬、
髪は長く薄いピンク色をしている。まるで女神のような顔は強烈だった。
ラキスは心臓がバクバクになりながらも静かにその女性とずっと見つめあっていた。
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目を放すことができないほど美しく。何秒も見つめ合う二人。
今でもなぜそんなことをしたのか分らないが、ラキスはその女性の
唇にそっとkisuをする。
女性は何故か嫌がらず何秒かキスをした後、ラキスは急に正気を取り戻し
直ぐに離れる。
とんでもないことをしてしまったと一瞬後悔するが女性はどうやら
唇にそっと手を添えると、ゆっくりと今何が起きたか理解はしているようだが
ラキスをじっと見つめる。そして優しく微笑み淡い桃色の瞳で見つめる。
この瞬間がずっと続けばいい思ったが、林の奥から老人が飛び出す。
服装から見て何かの宗教の信者だということは分かったが
顔見た瞬間、ラキスの中に強い怒りが芽生える。
この老人は何度もあの地下室で見た汚物の一人つまり今作戦の駆逐対象。。。
だがここで冷静さを失っては元もこうもないのでいつもどうり
愛想笑いを浮かべる。老人もラキスに気付き頭を下げる。
軽い世間話や今回の式について話していると。
女性が突然、ラキスに抱きつき。子供のように頭を撫でる。
その光景を見ていた老人は急な出来事により驚きラキスを睨む。
「どうゆうことですラキスさん?」ラキスもどうして急にこのような状況になったのか分らなかったが。答えようとすると。女性は耳元で囁く。
「またね?美味しかったよ、ら・き・す君」
そう言うと、ラキスから離れ、老人に何か言うと老人はしぶしぶ帰っていった。
だがそんなことより、ラキスは自信を疑う、彼女もまた上級能力者だということに。
困惑したが、こんな大事件が起きる日だ。奇妙な現実も起こるだろう。
こんなこともあるかと納得し、ついに式が始まる合図の鐘が鳴る。