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「妹よ、どこにいるだ!」
祐悟は走りながら妹の名前を叫び、探した。
「おい~、祐悟、こっちは見つからなかったよ、そっちは?」
合流した親友くんは別方向にないことを教えた。
「こっちもいないな、まったく、一体どこに消えたのだ。」
「もしかして妹ちゃんはもう……」
親友くんは悲痛な表情でそんなことを漏らした。
「いや、そんなことはないな。」
「?なぜそう思いのか、理由を教えてくれないかね。」
妙に自信有りけの祐悟に対して、親友くんは理由を問いた。
「ふん、俺の妹センサーが妹が生きてることを教えているからに決まってる!」
「そんなものあったけ?」
「世の兄はみんなそれをついてるだ!お前はお兄ちゃんじゃないからついてないだけだよ!」
「……」
(一応俺もついてるけどね、センサーじゃないけど!)
またおかしな兄理論を説いた祐悟に対して、親友くんは心の中にささやかな反論をした。
*
一方、妹と言うと――
「よいしょと、おお~、降りた!」
ようやくティーカップを降りたところだった。
「あれ?お兄ちゃん~、どこにいるの?」
今更ながら、兄がいないことに気づいた。
「もう~、昔からお兄ちゃんはちょっと目を離したら迷子になるだから、やっばり私がいないとだめね!」
迷子は自分だと気づいてない妹はそれから暫く周りをウロウロした。一応兄を探し名目で。
ゴゴオオオオ~
忽然、遠方から巨大な足音を聞こえた。
「ぎゃあああああ!変態よ、変態がいるわ!誰か助けてぇ~。」
どこからか女性の声がした。
「う、うああああ、逃げろぉぉ~~」
「こんなの勝てこないでぇ!」
「は、早く、逃げるのよ!」
周りの人たちは逃げ始めた。
「え、え、なに?何か起きたの?」
妹は訳が分からず、その場で慌てていた。
やがて、遠方から十メートルほどの巨大な影が地鳴りながら近づいて来た。
少しずつ光に照らし、姿が表した。
それは――――
パ〇ツしか履いてない巨大のクマぬいぐるみだった。
右手にはさっき叫んてだ女性の声と思しき人物が右足を捕まって、半裸でぶら下げられた。
「もうだめ、これ以上は持たない、もう許して、ああ~。」
何やら何かおかしな事をぶつぶつ言っているようだ。
『うがああ~~~。』
クマぬいぐるみとは思えない鳴き声だった。
そして、妹を気付いたのが、近づいて来た。
「いや、近づいかないで、変態さん。」
『うへ……うへへへへ……ちいさいこ……すき……』
「ぎゃあああああ、誰か助けてぇ~、お兄ちゃん!」
足をすくんて動けない妹は兄に助けを求めたが、クマぬいぐるみの左手はどんどん伸ばして来た。
「いやぁ~、こんな変態さんの慰みものになりたくないよ!」
妹は涙目で喚いた。
クマぬいぐるみは彼女を掴む寸前――
体が崩れ始めた。
「……え、何か起きたの?」
煙がいっぱい上がってる中、妹はそうつぶやいた。
コツコツと、崩壊したクマぬいぐるみの後ろに一人の人影が現れた。
「んにゃ?誰なの?もしかして、お兄ちゃんなの!?」
やがて、煙が晴れ、そこには――
「大丈夫かのう、お嬢さん、怪我などは?」
中背で腹は大きく、仮面を付けたおっさんが現れた。
笑顔で妹にそう問いた。顔は見えないけど。
「ふにゃ、おじさんはだれ?もしかしてあなたが変態さんを倒したの?」
「いやはや、ワシはただの通りすがりの謎の仮面おじさんかのう、それに倒したと言うよりたまたま通りかかり、ついてに掃除しただけかのう、お嬢さん。」
どうやらおっさんにとって、怪物を倒すのは日常茶飯事のようだ。
「おお~、おじさんすごいね。」
感心している妹、そんな時に――
「おい~、妹よ、大丈夫か~!」
遠方から兄の声が聞こえてきた。
「あ、お兄ちゃん!私は無事だよ~!」
兄のことに気づいて、手を大きく振りながら応じた。
やがて、祐悟と親友くんは近くまで近づいて来た。
しかしそこでようやくもう一人の存在がいることに気付いた。
「な、お前は何者だ!」
変な仮面おっさんに対して祐悟はそう問いた。
だが、先に答えるのはおっさんではなく、妹だった。
「あ、あのね、お兄ちゃん、実はこのおじさんが私を――」
「そうか!分かった、そいつはお前を攫おうとしたな!クソ、許さない!てぇめ、人の妹に何ということをするんだ!」
言い終わる前、祐悟はそう叫んだ。恐ろしい程に誤解している。
「ち、違うよお兄ちゃん、おじさんは――」
「は、まさか、てぇめ、俺の妹をあんなことやこんなことをするつもりか!まだ俺もしてないのに!」
またしても妹の言葉を遮り、祐悟は既に暴走していたのだ。
と言うより、妹におかしな事をする兄は犯罪ですから。
「もう~、なんで最後まで聞かないの!」
妹はそんな兄に対して憤た、頭の上にプンプンと煙を出しながらそう言った。
「こうなったら、勝負だ!仮面野郎、俺は絶対に妹を取り返して見せる!」
拳を握りながら祐悟は仮面おっさんに勝負を仕掛けた。
「やれやれ、どうやらまた厄介のことに巻き込んでしまったのようやの。」
仮面おっさんはそんなことは言いながら祐悟の隣に立っている親友くんを一瞥した。
「さあ、勝負だ、仮面野郎!」
「待て、祐悟。俺も一緒に戦うよ!妹ちゃんをみすみす攫われる訳には行かないからね。」
「おお、親友くんもやるのか、お前が来たら百人力だ。一緒に勝とう!」
「ああ!」
二人は友情を交わしため手を握った、そして再び仮面おっさんに向き直た。
「親友くんと俺が力を合わせた今は倒さない相手は存在しない!行くぞ、仮面野郎!」
「はあ~、これは一戦交えないとダメかのう。」
仮面おっさんは頭をブルブルしながらそう言った。
「もう~、どうなっても知らないだからね!」
妹は兄を止めることを諦めていた。
*
いよいよ祐悟、親友くんペア VS 仮面おっさん の第一ラウンドが始まり――
その時、遊園地のアナウンスから、ポンー、という音が流されました。
「「うおおおおお~、とりゃとりゃうりゃあああ~~~」」
二人はそう叫びながら仮面おっさんに突こんだ。
そして左右から挟み撃ちで攻撃を繰り出し――
右ストレート右ストレート、左ストレート、また右、左、左、上、下、下、上、そして飛び蹴り、回旋蹴り、空三圏回りまた蹴り、怒涛な連撃だったが、当たらない。
仮面おっさんはそれらを飄々と躱した。
「「くぅ、今度のはどうだ!うりゃあうりゃあそりゃあああ~~~」」
また繰り出された左ストレート左ストレート、右ストレート、左蹴り、右蹴り、やはり当たらない、再び空三圏回り右ストレートを撃ち出す、最後に両腕をクロスさせて体当たり――――が当たらない。
仮面おっさんはやはりそれらを飄々と躱した。
やがて疲れた二人は一旦距離を取った。
「はあ……はあ……はあ……なんでヤツだ、俺たちの完全無欠のコンピネーションがまったく当たらないとは。」
確かに凄まじいコンピネーションであった、二人は口合わせ一つもしていないのにまったく同じ攻撃を繰り出すたのだ。もはや人間技じゃない。
「くぅ、化物め……はあ……はあ……はあ……」
息を上がってる二人に対して、仮面おっさんは息を何一つ乱さなかった。
「ふむ、なかなかやるではないかのう、キミのお兄ちゃんは。」
「ふふん、こう見えでも、お兄ちゃんはなかなか使え……もとい、強いのだ!」
胸を張りながら、妹はちょっと兄自慢をした。
「だが、まだまだのようだのう、ふんっ!」
仮面おっさんの姿が霞、拳を振り、顔面に拳が埋め込んた親友くんを十メートル程吹き飛ばした。
「ふう、まずは一人、じゃのう。」
親友くんは、瞬殺されました。
「し、親友くん~!」
祐悟は親友くんのそばに駆けつけ、優しく彼の背中を抱き起こした。
「ゆ、祐悟、俺を……放といて……ヤツに……勝つんだ。」
「あ、ああ、絶対に勝ってみせる!くぅ。」
祐悟は悲痛の顔でそう親友くんに誓った。
「それと……」
「なんだ、最後にまだ何か言いたいことがあれば言ってくれ。出来る限りのことはする!」
「実は……俺も……妹ちゃんのこと……ちょっといいな……と思ってるだよね……戦いが……終わったら……妹ちゃんを……くれないか?」
「……」
「……」
しばし見つめ合い二人、やがて――
「お前はそこで死んでろ!!」
親友くんを投げり出し、再び仮面おっさんと対峙した。
*
いよいよ祐悟 VS 仮面おっさんの第二ラウンドが始まり――
再び遊園地のアナウンスから、ポンー、という音が流された。
「今度こそ本気を出すからな、今までのように行くとは思わないのだな!」
そして、祐悟は何かを溜めるような構えをした。
「オオォォォー、うおおおおおおおおおー!」
溜め終わったのが、体が金色に光ってる――――のように見える祐悟はまた仮面おっさんに向けて拳を撃ちながら突こんだ。
「喰らえ、これが俺の切り札だ――――上上下下左右左右BA!」
なんと、無敵コマンドであった。
「むっ!こ、これは、まさか!」
仮面おっさんは初めて動揺した、どうやら知っている技だった。
「こうなったらじっとしてなれんのう、ワシも本気を出さんらければ!」
突こんだ祐悟に対して、仮面おっさんもまた拳を撃ちだし、二人の拳を衝突――――はしなかった。
祐悟が一方的に顔面に拳が埋め込み、二十メートル先に飛ばされたのであった。
ですよね、リアルに無敵コマンドを使っても無敵になれる訳ではないのだから。
「んっ!ワシは今、なにをしたかのう。」
仮面おっさんは自分のしたことに戸惑いた。
どうやら懐かしい技を見えたことに釣られて行動したことを覚えてないご様子だった。
「があっ……クソ……こんなに強いとは思えなかった……ガク。」
「うわい~、おじさん強い!お兄ちゃんが吹き飛ばされた、あはは!」
重傷な兄の心配より、仮面おっさんの技に興奮したご様子であった。
「いや、今のはただ、うっかりでつい……」
仮面おっさんは否定しようとしてるが、妹はそれを聞こえていないようだ。
そんな時、またゴゴオオオオーとゆう音をした。
地面も地鳴り始めた。
「ふにゃ?なになに、今度は何か起きたの?」
妹は頭をプルプルしながら周りを見た。
「な、な、な、なんじゃありゃ!」
どうやら地面に倒れた祐悟だけが最初に事態を把握したようだ。あなた、気絶していないのか。
それに釣られ、妹と仮面おっさんも頭を上げて空を見た。
「やれやれ、どうやら厄介ことはまだ終わっていないのようだのう。」
そんなことを漏らしながら空のでき事を見ていた。
そう――――空は落ち始めてきたのであった。
つづく
お読み頂きありがとうございます。
次回はいよいよある謎を解き明かすことになります。