予兆
僕は気になったので友人に尋ねてみた。
「ノンアルコールビールってノンアルコールって言う割にアルコール分含まれてるよね?あれって飲んだ後に運転とか出来るの?」
友人は答えた
「六時間くらいだっけ?それくらい経たないとアルコールが抜けないから駄目だよ。」
僕はしがない大学生‥と言いたい所だが、そうはいかない。
大抵「普通の高校生」とか言ってる主役はヒロインにモテモテだったり滅茶苦茶強かったりするが、僕はそんな者ではない。
ただ少しだけ普通の人には見えないモノが見えるだけだ。
それがあの「芽」だ。
僕は運芽と呼んでいる、「い」はどこから来たか?大人の事情だ、察してくれ。
昔から運芽を見てきたが、日々変化するモノだ。
友人の運芽を見てきたが、日に日に変わっていくのを感じた。
時には萎れたり、時には普段は見せないくらいの成長をしたりと、、、まあ色々だ。
友人の一人に田辺という男がいるが、その友人からの電話に遡る。
「やべぇ、警察に捕まった。」
え…?流石に電話の開口一番にこんな事を言われると驚く。
冗談ではないのかと疑いたくなったが、彼の声音から嘘をついてはいないと分かった。
「どうしたんだよ?」
「何か運転中に止められてアルコールが検出されたらしい…」
「車か?」
「ああ」
車か…
飲酒運転の罪は重い。
これは僕でもわかる一般常識だ。
でもコイツが飲酒運転をするなんて信じられないな…。
「詳しい話を聞かせて欲しい。」
前会った時に彼の運芽が萎れたのを思い出し、不安にかられながら彼の話を聞いた。
「実はー」
彼の話はこんな感じた。
ーーー
「大学でサークルの顔見知りと飲み会に行ったんだ…」
「飲み物だって最初の一杯しか飲んでないし…車を運転してるのでお酒は飲めませんって言ったら、こどもの飲み物って黄色い泡の飲み物があるじゃん?あれだって言われたからそれを飲んだくらいなんだ…」
「その後、暫くして最後までいて帰ろうとしたんだけど、顔見知り以外の人も送って欲しいと頼まれて仕方なく送ったんだ。」
こんな感じらしい
疑問に思った事を尋ねる
「それで、おとなの飲み物しか飲んでないのに捕まったわけか?」
「うん。」
「お前、警戒心無さすぎないか?知り合いならギリギリ許せても知り合いの知り合いなんて赤の他人を乗せてるようなものだろ?」
「それには何も言い返せねぇ…」
「捕まる前に何か不審な事はあった?」
「そういえば、誰かが電話してた様な」
ますます怪しいな…
「サークルの顔見知りって仲良かったか?」
「いや、そんなに…。それとは関係無いけど滅茶苦茶美人の女子がいたなぁ」
「気楽だな…そんな状況で」
「いや、警察に捕まったは捕まったんだけどすぐに開放されたんだ。」
「え…?」
そんなに緩いものなのか…警察って
まあ、それは今は置いておこう。
「何だっけな彼女の名前…遠藤縁だっけな。また、会いたいなぁ。」
そんな好みだったのか…
最近友人から聞いたことを思い出したので、彼に聞いてみた。
「そういえば、その飲み会でノンアルコールビールって置いてあった?」
「あったな。」
「そのこどもの飲み物とやらはビールの味がしたか?」
「やけにビールの味に似ていたような…こどもの飲み物ってあんな味だったかなって思ったけど飲んだ事無くてこんなものかと。」
あぁ
嫌な予感がする。