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独立の為の一歩

真顔で朗々と語るルゥ姉を俺達が見上げていたから周囲の事までは気付かないでいた。

ルゥ姉の背後にはぽかんとした顔をしたおっさん達が顔を並べていて、いつの間に目が覚めていたのかクロームまで信じられないと言う顔をしていた。

総てはルゥ姉の背中の出来事だと言うのに唖然とした顔が並んでいるのをまるで見ているよう下のようにルゥ姉の口元が楽しそうに吊り上っている。

生き生きと瞳が輝いている。

背景とルゥ姉を俺とエンバーは時間をかけてゆっくりと見比べて項垂れた。


またこの女のやりたいようにやられた……

じゃなくってだ。


「それにこの辺りの魔物も少々討伐しましょう。

 さっきから気配が気になっておちおち寝ていられません。

 なに、魔物にも多少の知能はあります。

 この当りを焼き尽くせば森の支配者が私だと言う事を理解して少しはおとなしくなる……」


「ちょっと待ってくれルーティア!君は一体何を言っているんだ?!」


さすがに止めに来たクロームに


「今更遅いよ。

 それにこれ決定事項だから」


瞬間

ドン!と、重く、肺を焼け尽くすような、眼球さえ乾いてしまうほどの熱量に包まれ、気道が渇き呼吸が一瞬咽るも俺は瞬時にこの辺り一帯に水の魔法を応用した霧を降らせ、ヒリヒリと火傷したような肌を癒しの力を乗せて痛みを取り除いて行く。

やがて霧も晴れれば辺り一面の草は既に焼け焦げていて、所々小さな虫系の魔物が転がっていた。

歩きやすくなりましたねと魔物を踏み潰して止めを刺す満足げな顔のルゥ姉に俺は無言のまま重い腰を上げて出発の準備をする。

さすがにこの状況になる前に寝ている奴らを起こして全員で俺達の会話と事の成り行きを見守っていたらしいが、ルゥ姉の勝手な予定変更には当然のように文句があるらしい。

当然だと納得しながらも荷造りの手は止めない俺を見てか、エンバーも出発の準備をし、未だに寝ぼけている幸せなクレイも俺達が準備しているのを見て見習うように準備をしているあたり、ルゥ姉の躾の良さがもうあらわれていると思っていいだろう。

出発準備を始めて荷物を片付けるルゥ姉は


「いま何気に皆さんこの話を盗み聞きしていたでしょ?

 はしたない……

 とはこの際言いません。

 聞かせるように話をしていたので」


ですよねー。

でなければあんないい顔してお話しませんものねー。

俺は溜息さえ零すのもばかばかしく焚火に向かって魔法で作り上げた水をかける確実な消火活動を黙々とこなす。


「私達がこのロンサールと言う国で雌黄の剣を寄生木にしているのは皆様理解しておいででしょう。

 ですが、それはこのディックが16歳を迎える少し前までの話し。

 後だいたい2年ですかね。

 それぐらいはこの国で過ごすために住みよい住居環境を保ってほしいのです。

 が、言い換えればその後の事なんて知った事ではありません。

 獣暴の乱、いえ、魔獣の大暴走を甘く見過ぎていたロンサール国にハウオルティアは最大限の警告をしたのに無視した挙句当たり前のような顔で援助を求め、精霊ロンサールに契約履行の罰をかぶせる始末。

 そして暢気に何も調べる事無く国の体面だけを、何もない威厳だけは立派に見せて。

 国と共に亡ぶ事も出来ない精霊ロンサールだけが一人狂ったままこの荒野に取り残されるとは……

 正直私はロンサールと言う国を知れば知るほど虫唾が走るくらい嫌いになっています。

 何でこの国で学ぶものがあるのかと思っていた自分に呆れています」


総ての荷物を片付けたルゥ姉は自分が出した荷物が残ってないかと確認していれば


「だったら教えてほしい!

 我々は一体何をすればいいのだと!」


吠えるようにクロームがルゥ姉の肩を掴んで今更どうしろと言うように睨みつければ、ルゥ姉は今まで見た事もないほどの冷たい視線で


「さすがあの親にこの子供、ですね。

 ロンサール王家とはほんと呆れるくらい親子そっくりで辟易します。

 貴方達親子は一体いつになれば他人に責任を押し付けてのうのうと日和生活を続けるつもりです?

 もう後はとっくにないのですよ?」


触れるなと杖を出した手でクロームを払いのける。

大した力でもないのにクロームはぺたりと尻餅をついてルゥ姉に言い返す言葉がないのに最後の意地と睨みつける。


「貴方がたが今後どうしようと感知しません。

 我々はこの先の村まで行ってみる事にします。

 そうですね。

 家を買ったばかりですが、そちらに家でも作ってみましょうか。

 ああ、王都の屋敷をそのまま持ってくるのもいいかもしれません。

 カヤには申し訳ないけど改めて仕事先を斡旋しなくてはいけませんね」


忙しくなりそうだと言うルゥ姉の言葉を最後に一人歩きだす。

ここで依頼破棄となれば借りている馬を返さないといけないのだろうが、馬は馬で勝手にルゥ姉の後ろについて追いかけてくる始末。

ほっといても着いて来るのだろう。

主人を決めてしまった馬はもう手綱を引っ張られても誰にも従う事はないのだから。

エンバーは当然と言った顔でルゥ姉の後をついて行き、クレイはどうしたらいいのかわからないながらもルゥ姉の後をついてきた。


俺は一番後ろで三人と馬達の姿を視線は追いかけながらもクロームに向かって


「あと数年もすればロンサールは魔物として生まれ変わるだろう。

 強大な魔力を失った為に欠乏する魔力を補う為に彷徨い続けるかもしれない。

 クロームはさ、この国の為に精霊としての力を失ったロンサールに何をしてあげれる?

 それすら人に聞かないと判らないのなら、あんた達王族は総て死に絶えてロンサールとの契約を白紙に戻した方がいい。

 そうすれば後はロンサールは精霊王との契約履行の罰だけだ。

 彼女だけの苦しみだけど、仕方がない。

 いつの日か魔物として討伐されるまでロンサールの苦しみが続くだけだから。

 どのみちもうこの国はロンサールからの加護は途切れてるんだ。

 せめて地図を見つけ出してロンサールをこの国から解放する事ぐらい、残り少ない日数で足掻いて見せろよ」


何か言いたげな視線だけが返されたが


「俺、最初クロームと知り合えてほんとラッキーだと思ってた。

 命の重みを知ってて、ギルドに入れてもらえて、家の購入とか仲介してくれて、仕事もくれて。

 だけど、まだここに来て少ししか経ってないのに違和感が、なんていうか……気持ち悪いんだよ。

 城壁の外の人達は必死になって生きてるけど少し調べればわかる事さえ何の知識もなく、凄く警戒心が強いし、そして城壁の中の人。

 特に女の人なんてほとんど言われた事しかしない無気力で、男の人に言われるがままだし、男の人も仕事がないのか知らないけどあまり働いてる気配がない。

 一生懸命なのはギルドの人間ばかりで、だけどなんか空回りしている。

 極めつけが王家だ。

 誰もあの人の性格の虚勢をしようとしないしクレイのお母さんも王妃にするには一番選んではいけない人だ。

 イングリットも今の所第二王位継承者なのに、王族の自覚もない上に権力だけ振りかざしている。

 それをあんたは窘めるだけでどうでもよさ気だし。

 クレイはあんたに大切にしてもらってるようだけど、あんたの手から独り立ちしようとしてるのにあんたはさせようともしない。

 一体何なんだって本気で思うぞ」


言葉にして自分でも理解できた。

この国に来て人間関係が広がらないと言うか知り合いはギルド関係だけで広がらず、何度か買いものしてみても品の多くはない商店と言う理由を抜いても活気がない。

これが傾き切ってる国の姿なのかもしれないが、そう言う時は人は現実を認めず空回りする様に騒ぐのが心理と言うのにだ。

傷を隠す獣のように何も変わってはいないと目を反らしていつもの日常を繰り返すだけだ。


「クロームだって王族から席を抜いたのならいつまでも王子様のつもりでいるなよ。

 周りを見て見ろ。

 俺は知らないけど周囲の顔ぶれ、ひょっとして全部城から連れてきた奴らばかりじゃないのか?」


ハッタリで聞けば呼吸を忘れて目を瞠るクロームの姿に「おいおい、まさか、やめてくれよ……」と心の中の俺が愕然としていた。


「つまり、雌黄の剣は王子様が平民ごっこしたいギルドだったって事だ」


とんでもない答えを見つけ出した俺は彼らに背中を向けて歩き出した。

ルゥ姉を追いかけるように、この場から逃げるように。

だって、周囲の方達の視線だけで俺殺されるじゃん?なんて言う修羅場にいつまでも居たくなくって、心臓をバクバクしてルゥ姉達の後に駆け寄れば、エンバーにお疲れさんと言われてしまった。


「聞こえてた?」

「まぁ、少し」


そっぽを向いたままのエンバーはそのまま俺の顔とも合わせずに


「言いたい事は判るけどな、あまり本当の事を言ってやるなって」


笑わずただ淡々という。


「クロームが俺達にここまで近づいたこと自体凄い進展で、クレイがこうやって家を出てクロームの所も出たこと自体この国では例外らしいんだって紅緋の翼では言ってる。

 結局権力の中で暮して権力を利用するしか知らない連中だ。

 とりまき連中もクロームが居ないと一人ではどうすればいいかわからない奴らで、この国ではそれを支え合って団結しているって言うんだがフリュゲールではなんていうんだ?」


言われればあの国の連中だどいつもこいつも我が道を行く奴らばかりで


「そうだな。

 一人じゃ何もできないヘタレって言うのかな」


いえばエンバーは声を立てて笑い声を上げた。

そしてやっぱりと言うか、何というか……


「それはなんと的を得た表現ですね」


ちゃんと耳を傾けていたルゥ姉さえ笑い声をあげて、クレイだけが複雑そうな顔をしていた。


「ですが、それだけフリュゲールは円熟した国ともいえます。

 もっとも貴方から見ればまだまだ伸びしろの在る国かもしれませんが、どの国も大体は親の言う事を聞き、男の言う事に従い、上の言葉に膝まづき、国の言葉に命を捧げるのが普通です。

 最も上下関係と行ってしまえばそれはそれで終わりですが……

 ロンサールは貧困に喘いでいます。

 この状態は貧困故に増長としてます。

 親は自分が生き延びる為に子供を売り、若者は命を繋ぐために身体を売り、幼い子供は餓えない為に影で息を潜めながら耐え忍ぶのがこの国の状況です。

 どこかで見た覚えないですか?

 ガーランドも同じ状況だった事をディックは良く知っているはずです。

 最近でこそフリュゲール王の号令で我が子を売らずに、身体も労働の為に使い、幼い子供は与えられた仕事に喜びを見出し学ぶ努力も始めるようになりましたが……

 力で優劣をつけるこの国ではまだまだそこまで望むのは無理でしょう」


見知らぬ国の話しにクレイは瞳を輝かし


「なんでフリュゲール王の号令でそんな変化が起きたんだ?」


ルゥ姉に歩む速度を合わせるも、ルゥ姉は足を止めて振り向き、そっと溜息を落せばくいっと顔を上げ


「こそこそついて来るのはおやめなさい。

 話が聞きたいのなら側においでなさい。

 声が大きくなりすぎると魔物達を驚かさせてしまうではありませんか」


岩と岩の間から一人の男が現れた。

酷くばつの悪い顔を隠さずに、まるで親に怒られ子供のように視線を反らせてゆっくりと俺達の所までやって来た。

俺もエンバーもクレイも驚きを隠せず、そしていつもいる部下の人達はもちろん簡単な荷物を馬に括り付けて現れた姿をぽかんとした顔で眺める始末。


「貴方の言い分を聞くのは後でもよろしいでしょうか。

 今は先に手を上げたクレイの質問に答える方が先ですので」


手は上げてはないが、優先順位はクレイが先だと言えばクレイは岩陰から一人現れた男、クロームより自分が優先される事はなかった為にルゥ姉に何か言いたげに手を伸ばすも、その手を俺が引っ張るように手を繋げ、歩み出したルゥ姉の背中について行くことになった。

エンバーの言い様のない視線を受けながら……

うん。この微妙さ加減俺よく知ってるからそんな目で見ないでよ……

心の中で盛大に泣きながらも黙々と歩き続ける事にした。


とりあえずルゥ姉は相変わらず我が道を行くようなので俺達も黙ってそのままついていきながら耳を傾ける。


「フリュゲール王はまず貧困に喘ぐガーランドに学問を教える事を勧めました。

 ただし、教師不足に一部の……それこそ売られる子供を引き受けて一般的な学術の知識を与えました。

 もちろん管理できる子供の数は僅かですが、今ではその子供達は国を建てなおそうとしている王宮内の王の周りで働いております。

 辺境に住む、小さな部族達には魔物を飼いならす仕事を与えました。

 手近な所でドヴォーと言う魔物を飼いならしそして肉に、その毛を糸にする事で金銭を稼ぐことを覚えさせました。

 町の住民には毛織物や革製品の精度を上げさせたものを作らせ貿易のメインになるまで鮮麗させました。

 もっとも、金属の加工は昔からお手の物だった為に精度がすぐに上がったのは光明でしたが……

 一番重要な政策の学問問題は今ではフリュゲール王が望むように総ての国民が受ける義務にやっと成りました。

 大人も自由に受ける事が出来ます。

 知識で稼ぐ事が出来るとこの数年で少しでも皆様に知っていただき、理解し、どん欲になれたのがガーランドの未来を切り開いた原因だと私は思っております」


他にも彼らにとっての一番身近なシロップも売れる事が解れば木が枯れないようにルールを決めて輸出品目に上げたり武骨な金属の加工を他国が好むような装飾を真似したり自国よりも他国へ向けた産業へと発展させたのだった。

最もそれに否を唱える者もいたが、その者達の意見も受け入れて、寧ろガーランド色だと言う事を売りにして推し進めるようにもした。

繊細な技巧を好む者もいれば簡素で無骨な物を好む者もいる。

世の中が男と女で出来ているように、女性らしい作品と男性らしい作品と別れ、需要と供給が一致した形となった。

そこまで読んだか、読まなくても自然の流れなのだが職人達からは酷い反感はなく、そしてフリュゲール王が王位についてから両国間に争いは一切なく、戦争の準備に掛けられるお金はすべて国民へと注ぎ、その間の軍の強化は魔物相手の実戦で叩き上げたのだ。

先王が好んだ質より量と言う戦い方ではなくフリュゲール王の戦闘スタイル一騎当千のような……

これって戦闘スタイルか?

いつでもどこでも一人でも出会った魔物と戦えて戦利品と出来るように鍛え上げられて戦利品を捌くまでが一括りと言う最後の部分に誰もが疑問を覚えながらも役に立つ技術なら覚えようと言うガーランド人の貪欲さに本当にいいのかと首をかしげたのは俺一人ではなかったはずだ。

このガーランドの変って行く話はこの夜遅くまで語る事になったが、クロームは黙ってこの話に耳を傾けている。


たき火を囲んで夕食を食べ語り合い、その間もクロームはずっと黙ったまま耳を傾けるだけ。

やがて俺とクレイとエンバーに就寝命令が下った。

確かに朝からずっと歩き詰めでエンバーでさえ予定より早く移動できてると驚きの顔をしていたが、クロームとクレイはすっかり疲れ切った顔で今にも眠ってしまうのではないかと言う顔をしている。

だけどルゥ姉のご指名に何とか目を覚まそうと苦い紅茶を飲んで早く寝るように促してくれた。

何かルゥ姉とクロームが二人きりで話したい時間を作りたそうなのは判っていたが、寝袋に入って体を横たえパチパチと爆ぜる薪の音とゆらゆら揺れる炎、そして疲れた体ではあっという間に眠りに就いてしまって二人に起こされるまでぐっすりと爆睡していました。

だけどエンバーが少し話を聞いていたらしく、みんなと別れる原因になったあの話とフリュゲールの政策のあれやこれやと多岐に渡った話の所で眠ってしまったと言う。


「とにかく、クロームがフリュゲールの話しを聞きたがったんだ。

 あの国もフリュゲール王が戦争で国を奪ったのに円満に四公八家だっけか?そっちから権力がスムーズに移動している。

 貴族の奴らも国政する奴らもそのままフリュゲール王の下に移っただけで不満もなくみんな当然のように受け入れている。

 これが不思議でたまらないってクロームは話してたんだ」


最後に聞き取った言葉にエンバーはルゥ姉の返答を聞く前に落ちてしまったらしい。

そんなこと言われても俺もすでに移行した後フリュゲールに来たから詳しくは知らんと断るが


「だけど暗殺とかは当然ある。

 フリュゲール王の戦闘力とか、周囲に居る王の下僕の圧倒的な力とか、ああ、それよりも戦争の時にフリュゲール王に寝返った奴らが中心に今の軍隊とかが出来ているんだが、そのトップが馬鹿みたいに頭がよくって暗殺とか襲撃とか総て未然に防いでるって言うのもあるな」

「頭がいいのか馬鹿なのかどっちだよ?」


クレイが文句言うも「頭が良すぎて俺には付いていけないレベル」といってこの話を終わらせておいた。


「一言で言えば王は王であれど権力はそれほど持ってないのが年月を重ねれば重ねるほど見えてくるからな。

 部下の人達が優秀すぎて王は国民を思っていればいいだけって言う、よその国からは想像もできないだろうけど……

 だけど、王にも絶対譲れない所ははっきり言うから、そこだけ守ってもらえれば大体自由に政治なり出来るから文句がないんだろうな」

「なるほど。素人が口出ししないって奴か」

「だけど、王には精霊が居て、精霊の言葉や思いを王が代弁する。

 そこだけはいつも絶対に譲らなかったんだ。

 たとえ結果国を滅ぼす事になってもだ」


驚きに二人の目が見開くのを苦笑して


「王はそれほど国を良い国にしようとは思ってないらしい。

 既にこんなすばらしい国なのにこれ以上何を求める?って言うんだ。

 国はいつか滅びる物。

 それが口癖だったから、酷い国になるくらいなら王が自分で幕を引くって言う……

 普段はすげー臆病な癖に、一度決めた決意は揺るがない根性があったり、俺もああいう自分の中に何か持ってるって言う奴になりたいのが今の所の目標だな」

「いやいや、王としては発展させて継続させるって言う目標は持たないと」


クレイが異を唱えるも


「その結果がロンサール国だ。

 国が滅び、国を出て、新しい生活を手に入れる為に移動を続けて幸せを見つけた。

 既にフリュゲール王は滅びゆく国を何度も体験しているんだよ」


理解出来ないと言うようにエンバーとクレイはお互いを見合うものの


「フリュゲール王の出自は判らない。

 初代フリュゲール王の末裔としか判ってない程度だ。

 だけど奴隷として育ち、鉱山夫として生きて、国を捨てて大切な人を守り、王となった。

 人としての最下層から這い上がった王様は家の中で眠れる幸せ、餓える事ない暖かな料理、人の温もりを誰よりも知ってるだけの王様さ。

 さて……」




この国の王様は何を知ってるんだ?




この質問にはクレイ所かエンバーも沈黙してしまった。




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