ルーティア式掃除の仕方、処分の仕方。
一般的な掃除は上から下へ、奥から手前に、と言いますが一般的という枠に入らない人の掃除の仕方はどうなりましょうか。
やっと決まりましたねと言ったセイジはこの場で書類に何やらいろいろ書き込み始めようとしたペンを取り上げて新しい拠点を見上げながら全員で家の前に立ち、ルゥ姉はフリュゲールで新たに誂えた新品の杖を取り出した。
当然ランが作った物。銘はまだない。
銀色のタクトのような長さの杖の先には太陽の下では青緑のような石に見えたり、明かりの下では赤色に見えたりと言った珍しい石が使われている。
アレキサンドライトかよと突っ込むも、きっとこの世界の化学レベルではどういう現象か判ってないんだろうなーと俺も太陽光下と蝋燭などの照明下では色が変わるぐらいしか知らないしと、ランのコレクションが一体どんな石があるのか本気で気になる所だった。
その新しい相棒の杖を二、三度振り心地を試したのち
「あまり知られてはいませんがハウオルティアは大陸随一の生活魔法に特化した国でもありました」
「うそだー」
王家の末端に名を連ねる俺は思わず突っ込む。
ルゥ姉の魔法と言えば高火力のごり押ししか知らない為にその言葉に真実が見いだせずにいればぎろりと睨まれ無言で黙れと怒られてしまった。
それから一息を吐いて
「例えばこのように」
杖をゆっくりと持ち上げて、水平に宙を薙ぎ払う。
正直何が起きたかわからないがそのまま部屋に入って行くルゥ姉の後をついて行けば驚くほど室内が綺麗になっていた。
床に降り積もり薄っすらと白っぽく見せていた埃やチリはもちろん廊下の片隅や窓枠やらと張り巡らされていた蜘蛛の巣もなくなり、どこかかび臭かった室内の匂いもなくなってしまった。
窓の桟に指を滑らせても埃はなく、どこか砂っぽかった室内だったのにまるですぐさっきまで人が住んでいたと言わんばかりに人の手入れが行き届いている状態になっていた。
思いっきり掃除するモードに入っていたのに、こんなにも役立たずだったのは初めてで何だか自分の無力さ加減が虚しかったのは仕方がないだろうか。
「この国でも体を清める魔法があるそうですが、それの応用したものになります。
最もこの魔法が広がると低所得者の労働先が減る為にあえて使わずに人を雇用する事を貴族達に財力の見せ所だといって勘違いさせてきましたが、このような大がかりの掃除の時はずいぶん楽をさせてもらえる便利魔法です。
もっとも風と水と火の複合魔法になりますので加減を間違えると建物そのものも処分してしまう事になりますが、まあ、私ぐらいになればこの程度です」
言いながらも疲れたから茶が飲みたいと何気にセイジに催促をしていた。
執事扱いかよと思うもセイジはルゥ姉の謎魔法に驚いてかはいはいと食堂に置いてあった薬缶や食器を使ってお茶の準備を始めた。
この家同様に綺麗になっていたのにはルゥ姉のびっくり魔法には驚かずにはいられないが、いつの物か微妙だったので茶葉は進呈させてもらった。
ちなみに水は温めた物を提供する。
綺麗になったとは言え何に使ったかわからない瓶の水を使って腹を下すよりも新鮮な物を飲みたいので俺は努力を惜しまない事にしている。
食堂で頼んだお水はなんだか泥の匂いがしたしね……
「とりあえずこの数日中にこの家で過ごす事が出来るようにしましょう。
無駄な物は片づけて、整理整頓ですね。
裏庭の方ももうすぐ片付くはずです。
納屋があったので馬を買うのもいいですが、世話が面倒なので雌黄の剣にお借りしましょう。
セイジ、手配をよろしくお願いします。
庭は荷物を下ろしたり準備をしたりする間庭につなぐ程度でいいでしょうか。馬を繋ぐ場所もあったようですし……」
「待てルゥ姉。何か妙な言葉が聞こえたんだけど。
もうすぐ片付くはずって一体誰が片づけているんだよ?」
「そんなの決まってます」
「主様!草刈終わりました!」
「主様!庭に穴を掘って穴に落としてきました!」
「主様!木の無駄な枝も切り落としました!」
「主様!小枝は穴に、枝は納屋の雨の当たらない所に束ねて置いて来ました!」
「主様!裏の井戸も一度焼いて綺麗にしてきました!」
「主様!裏の井戸水が飲めるか毒見してきましたがあまりお勧めできませんでした!」
「はい。二人ともご苦労様です。
二人とも今綺麗にしますのでその後はゆっくりと精霊界で休んでいてください」
「「はい、主様!」」
そう言えばこいつらさっき呼び出されて素直に帰ったのかよと思ってたらまだいたのかと呆れてしまう。さっさと帰らなかったためにこんな泥だらけになる羽目になって可哀想にと涙が浮かぶ。
でもそれだけでへこたれない好奇心旺盛な精霊達はルゥ姉に使われることに喜びを見出していてキラキラとした純粋な瞳でルゥ姉を見上げていた。
タイミングを見計らっていたかのようにやって来て次々に言葉を放つベーチェとミュリエルは嬉しそうな顔をしながら汚れた体をルーティアに綺麗にしてもらい、ご褒美にと二人の結い上げた長い髪の根元にお揃いのリボンをつけてもらっていた。
ギブ&テイクは精霊や妖精と付き合う事で大切な取引だと聞かされていたが、どう見ても彼女たちの方が労力が大きいだろうとルゥ姉を睨みつけるも当人たちに不満が無ければいいんじゃね?と言った白い獣の人の言葉を鵜呑みにする事にしておく。
その証拠に二人はお互いを見て結い上げられた髪型もリボンも可愛いと喜びながら今度こそ精霊界に帰って行くのをぽかんと見ていたクレイとセイジに
「ルゥ姉と契約した精霊で炎のベーチェと風のミュリエル。
助けられた恩を返す為に契約した二体なんだ。
だいぶ成長したから良くこっちにも来れるようにもなったし、もし二人に会ったらお菓子かミルクでもあげてね」
「精霊ってほんとにいるんだな」
「いやいや、ただの幼女だろ。羽生えてたけど」
「幼女に羽は生えねーって」
「さすがに私も精霊は初めてですねぇ」
エンバーは本日二度目だが三人とも初めて見る精霊に驚いているのを俺は不思議な気分でルゥ姉に視線を向ける。
フリュゲールでは妖精も精霊も普通にうろうろしていた。
もっとも精霊はシュネルだけだったが、それでも妖精はちょろちょろとそこらじゅうを飛び回っていた。
大きいのはさすがに街中までやってこないものの、小型の妖精は町の中でちょろちょろと人間の暮らしを楽しんでいた。
「フリュゲールでは妖精がうろうろしてるのは当たり前だったのに、妖精って珍しいんだね」
「そうですね。私もフリュゲールに行くまで妖精とは片手程度しか出会ったことなかったし、ミュリエル達と出会ったのも偶然としか言えない出会いだったので、珍しい事には変わりませんよ」
「珍しいって言うけど、二人はフリュゲールから来たのかよ?」
「そうですが何か?」
「いや……」
クレイは少しだけ言いにくそうに口を閉ざすもゆっくりと言葉を選ぶように再度口を開いた。
「あのひきこもり国の情報ってあまり聞かないからさ、どんな国かよくわかんないのが前提で話すぞ?
俺が知ってる事と言えば魔法が使えなくって他国との貿易もあまりしてないし、国自体ギルドに加盟してないから治安がすごく不安で、数年前に王政が復活したらしいけどそれまでずっと領主が国を治めてたんだろ?
積極的に他国と連携取ってる風にも見えないし、時々聞こえるのはガーランドとの国境の戦争ぐらいだ。
幾つもの民族がすむ国だと言うのに紛争とかそう言う話は聞かないし、謎な国なんだよ」
クレイの言葉にうなずくエンバーとセイジ。
「フリュゲール側から言えばロンサールと外交がないから向こうもこの国の事を良く知らないと言ってたし、でも獣暴の乱の事ぐらいは知っていた。
俺達がこっちに来る事は最初から決まってたからそれなりにこの国の事を調べてくれたらしいが、向こうもその程度だぞ?」
「お互い様ですね。
後ひきこもり国と言いますが、フリュゲールの文化水準は非常に高く、自然に恵まれた国だけにどの家も豊かな生活してます。
もっともそれにつられて他所から来た人達には厳しく国民としての扱いはなかなかされないようですが、それはどの国に行っても同じ程度の扱いなので大した問題ではありません。
国民性はおおらかで、四公八家と言う独特の政治体制が千年も続けばみんな当然と思っている様子です。
貿易も他所から取引しなくても自国でほぼ賄えているし、魔法が無くても妖精が大概の事を代行してくれてます。
国の防衛については地形的に自然の要塞となってるので他国からの侵略はガーランドぐらいしか出て来ないし、それも新王が決着をつけてくれたので当面問題はないでしょう。
大体魔力量で優劣をつけるギルドの体制に魔力を持たないフリュゲール人に何を求めるのです?」
「いや、それは……治安維持のための連携とか……」
しどろもどろになるクレイにルゥ姉は疲れた様に溜息を吐く。
「フリュゲールは他国の治安の為に命の保証をしてくれない任務に人を送り込む為の国ではないのですよ?」
「だって、フリュゲールにも……」
「あの国は魔物の出ない国です。
精霊の加護に守られ天災すらめったに起きない国です。
何の見返りもなく人を寄越せ寄越せと言われてはいどうぞって国民の命を差し出す国がどこに在るのです。
聞いた話ですが過去にも魔獣の大暴走の処理に派遣してくれと言われて軍を何軍か派遣したそうですが、魔物に対する知識不足だろうからと全滅を前提におとりに使われて筋書き通り全滅と言う耳を疑うような事件がありましてね、それ以来どんな要請も断っているそうです」
ルゥ姉の説明にさすがにそれはないだろうと三人とも口をぽかんと開けていたがルゥ姉のそんな事も知らなかったの?と言う憐憫めいた視線に誰もが過去に在った事実だと認めざるを得なくなった所でゆっくりとお茶を口に含み
「フリュゲールはもう何百年前からも10歳以上は全国民識字率100%の国民で、だれでも自由に本を読んだりできる施設が所かしこに在ります。
剣と知識の国と言うように、知名度の高い魔物になりますが習性も分布図も既にお持ちで十分に対応できる軍隊がそろっています。
実戦不足は認めざるを得ませんが、魔法がなくとも知識を使えば十分対抗できる戦力を持つ国です。
決して喧嘩を売る相手ではないですよ」
国としてのレベルが周辺国と違い過ぎるというルゥ姉の言葉を認めきれずに胡散臭そうな顔をしているも
「それに今あの国に君臨するフリュゲール王は皆様も噂で知っていると思いますが、十分御一人でガーランドを滅ぼす事の出来る力をお持ちです。
ですがとても優しいお方なので敗戦相手国にも手を差し伸べ復興を促す第一人者にもなっております。
殺戮王と貴方達は呼びますが、あの方は国の軍隊の皆様に出撃させるぐらいなら自分一人で戦場に立つ事を望む方……」
「待て、それって力使いたい放題で逆に危なくないか?」
「敵に回らなければいいのです。
味方であればどこまでも優しいお方ですので」
「外交が無くて関わり合いなくて良かったと本気で思うぞ!」
クレイの力強い言葉にルゥ姉はなんでと首を傾げれば
「ああ、こいつ、王位を放棄してるけど一応王族の末端に居るから」
「でしたらせいぜいフリュゲール国に喧嘩売る真似だけは止めるように説得しなさい。
この国唯一の人の住めるこの王都の中心にある城が壊されるような事になったら大変でしょ?」
意地の悪い笑みを浮かべるルゥ姉の言葉にそう言えば城破壊なんて言う名もあったなと思い出す。
改めて二つ名はその人と行動が浮き彫りになる迷惑なあだ名だなと、実物は可愛らしい子供なのにとお兄さん目線で思い出しながら少し懐かしくなって寂しくなってしまう。
机に頭をコテンと預ければどうしたとの周囲の視線にルゥ姉の「ただのホームシックでしょう。ほっときなさい」なんて身もふたもない事を言われてしまった。
「所で話を変えます。
エンバーとクレイ、貴方達ここの家で一緒に暮らしてみませんか?」
ニコリとほほ笑む無邪気な顔に俺は目を瞑る。
嫌な予感しかしねぇ……
「さっき案内したと思うけど俺にも一応家あるし……」
「俺も城壁に部屋あるけど、何で?」
指名された二人は首を傾げる中
「まぁ、私達がこの国に不慣れな事もありますが、同じチームとしてお互いを知る機会を作りたくもあります。
最も答えは今すぐでなくても結構ですが」
「じゃあ、任務から帰ったら寝泊まりするぐらいでもいいのか?」
「当然」
エンバーの疑問ににっこりとルーティアは微笑む。
「だったら俺はここに住める間だけでもお邪魔したい。
城壁内だとプライバシーあったもんじゃないし」
「何だ?まだイングリットに武器とか無断で取られてるのかよ」
「さすがに金目のものは空間に隠してるから無事だけど、茶葉とかそんなもの無くなるのはいつもの事だよ」
クレイの告白に目を見開いてしまえばルーティアは何か知っていたかのように笑みを浮かべる。全然知らないくせに。
「イングリットとは先ほどお会いしたお嬢さんね?」
「あぁ、こいつの腹違いの妹」
「俺は妾の子だから立場弱くてな。
縁を切りたくて王位放棄しても今のこの国の状況に意味なんてなくってよ。
それに次王の後継者がイングリットだろ?
今は社会勉強としてギルドに居座ってるけどやりたい放題。
しかも俺に対しては義理とは言え兄だから甘えてるとか言っては我が儘放大」
勘弁してくれと言いながらも城の片隅の一室に今も居る母親を思えば付き合うしかないとあきらめムードがただよっている。
「だもんで叔父上でもあり、雌黄の剣のマスターでもあるクロームになるべく城壁の外の任務に就かせてもらってるんだけど、それがまたあいつのご機嫌を損ねる結果に繋がるわけだ」
「クロームにすれば、クレイを早くSクラスのギルドにして外国にも派遣できる外交要因に仕立て上げたいんだろ?」
「人手不足から外交員自身が実力者になれって一体どういう話だよなー」
どうやら王位は放棄すれども、元王族として存分に働くしかない未来にご苦労様と目礼しておく。
「とりあえず私の部屋として主寝室を頂きますので、他の部屋は貴方達三人で決めなさい。
それとセイジ、商談に入りましょう。
屋根裏部屋の荷物、雌黄の剣に格安で売り払いたいのですがどうです?」
「それは助かりますがよろしいのですか?」
「と言うと?」
ルーティアとセイジの会話に俺は席に座りなおして耳を傾ければエンバーもクレイも同じように座りなおしてやり取りを聞く体勢に入った。
「ごらんの通りこの国は今物資が不足しております。
ベットも皆さん喉から手が出るほどの欲しい物ですし、値段もつり上がっております」
「確かにこの国には足りてる物の方が探す方が難しそうですね。
ですが先に言っておきましょう。
役に立つ物を役立てず埃をかぶらせておくものなら燃やして燃料にしてしまう方が建設的です。
もしそれが金目の物に変ると言うのならさっさと変えてしまえばいいだけの話しです。
さてお聞きしますが、こう言ったいらない物を必要とするのならそれはどうするのが作られた物の使命として一番幸せか考えてみませんか?」
「それは……」
「もし引き取りたいと言う方が居れば連れて来なさい。こちらからは労働力は出せないので売価価格表を作っておきますのでギルドで引き取ると言うのなら後は貴方達で決めればいいだけです」
あまりの大盤振る舞いぶりにエンバーもクレイも「おおー!」と驚きの声を上げれずにいる中セイジは
「ではマスターと少々話をしてきます。
とりあえず屋根裏部屋のベット全台でよろしいのでしょうか?」
「ええ、出来ればこの部屋のテーブルたちもいくつか残して引き取ってもらえるとありがたいです」
その言葉にセイジはふふふと不気味な笑い声を零して「ではちょっと失礼します」と一言残して全速力で城壁の方へと向かって走って行ってしまった。
嵐が去った方を見て
「ルゥ姉、ホント良いの?」
「必要なのは二階の部屋にある物だけで十分でしょう。
それに屋根裏部屋を私の研究の場とすればベットなんぞ邪魔でしかありません。
ああ、この机は四つ残しておいてください。
二つはこの部屋に、二つを屋根裏まであとで運んでもらいましょうか」
言いながらルゥ姉は紙の束を取出し、街の入り口で食事した料金を目安にリストを作り上げていく。
「この部屋には食堂と居間を両方兼ね備えれば良いでしょう。
二階の物は総て手は付けさせずに、台所の食器も少し処分しましょうか。
他にも納屋の方を物色しなくてはいけませんね。
あと食料庫から地下室に続く扉がありましたが、そこも探索しなくてはいけません。
とりあえず家漁りする為に早く貴方達の部屋を決めてください」
何やらやる気を出しているルゥ姉に追い出されるように二階へと足を向けた。
「お前のねーさんスゲーなぁ」
エンバーが辟易としたように疲れた顔を隠さずに言うが
「まだこんなの序の口だよ。
対抗策は慣れろ。諦めろ。それだけだな」
「だけど、なんかかっこいいよな?」
クレイの言葉におや?と小首をかしげる。
「ほら、この国の女達って男に従っておけば大丈夫みたいに誰かの指示待ちが多いだろ?」
「そうなんだ?
ここに来てまた初日だから知らないけど、出会ったのがガーネットとかイングリットとか食堂のおねーさんぐらいしか知らないから気付かなかったな」
すれ違う人や、商店の人からそう言った雰囲気は判らなかった。
「そりゃまた特殊ケースばかりに出会ったなぁ……
この国の女はよく癒し系って言われるな。
男を立てて、夫に尽くして、多少の理不尽にも堪えて、よく国外からも嫁に来てほしいって話が合ったってばあさん達が言っていた」
「あー、なんかそんな国民性知ってるような知っていないような」
ユキトの国の古い女性はそんな感じだったとテレビのドラマでなんとなくそんな風潮だったと言うのを知っていたが、それを実践している国があるとは正直怖い。
何せドラマの中ではそう言った裏で夫の知らない二面性を持つと言うしたたかな女性がはびこっていたのだから真に受けてはいけない事案だと警報が鳴っている。
「ルゥ姉が珍しい性格しているのは判ったが、ああ見えても二児の母親だ。
変な虫がつかない様に注意しろよ」
いや、この場合虫が瞬間的に駆除されると思うも二人は足を止めて俺を間抜け面で見ていた。
「子供いるのか?」
「子供はどうした?」
ひょっとして聞いてはいけない事を聞いたと思っているような二人だったが
「まぁ、俺達がこんな事情を抱えてるから結婚はしていないけど二人とも父親の家で暮している。
父親の方もルゥ姉にぞっこんで嫁を取るつもりもないらしいし、ルゥ姉の子供にいずれ家督を相続させて、まだ5歳にもならないのに嫁さがしに奔走してるぞ」
寧ろお兄さん気取りの某王様が嫁何て早い!変な女の子が近寄ってこない様に友人はちゃんと選んで!と、まあ溺愛ぶりが酷い酷い……
少しは自重しているだろうかと思う中二人はお互いの顔を見合って
「それは捨ててきたとかそう言うわけじゃないんだな?」
「まさか。
とりあえず俺達はやる事をやってまたフリュゲールのみんなに会いに行く事が目標なんだ。
そんな簡単にさよならなんてできるかよ」
言いながら部屋の扉を開けては中をチェックしながら回るも冷静に考えてルゥ姉の隣のベットが二台置いてある大きめの部屋を選んだ。
先ず何故に狭い部屋を選ばなけれないけないのか。ルゥ姉の部屋に何かあればすぐ行けるようにとか、ここが階段の正面の部屋だからとか理由を探せばこの部屋は俺にしか当てはまらない。
話しをしながらも二人とも同じようにベット二台の大きな部屋を選んでいた。
理由は同じもんだろうと、この国のベットに座って見れば箱の枠に藁を摘めてシーツでくるんだ伝統的なベットだった。
ごわごわとしていると言うか、藁がカサカサ煩いと言うかだ。
オルトルートで使っていたベットは良かったなぁと、ドヴォーの毛を刈ってベットにしたちょっと獣臭かったけどあのふわふわ感は贅沢だったよなーと思わずにはいられなかった。




