表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/119

フリュゲール王

ブックマークありがとうございます!

週一更新のペースですがお楽しみください。

船に揺られて3日目、東西に長いハウオルティア国東岸の港に食料と水の補充を兼ねて寄港すると言う。

通常の船のルートなのだが今のハウオルティア国はブルトランに占領されている状況だ。

ランの掴んだ情報では前に聞いた通り既にハウオルティア王族はもちろん、それにつながる公爵家も全て斬首された言う。

雪兎の記憶が戻って半年ほどだが、それでも半年。

1つの家に住んで、同じものを食べた間柄か悲しくないとは言えず、リーディックの思いもあって一人で少しだけ泣いた。

ブルトラン王はそのままハウオルティア城へと居座り、ここを居城とする事を宣言し、ブルトランの国民をハウオルティアの豊かな土壌の地へと招き入れ、今回の戦争の敗戦国の将達はブルトランのまだ厳しい冬の地へと幽閉される事となった。

既に捕えられた敗戦の将達は氷に閉ざされた牢獄の地へと送り込まれ、厳しい寒さにすでに亡くなった者もいると言う。

あまりの容赦なさに唖然としていれば


「これが戦争です。逆の立場になれば私達とて同じ事をしました」


きっぱりと言うルーティアの言葉に眉間を寄せてしまう。

確かに敗戦国の扱いは歴史の紐を解いても悲しい末路ばかりなのだが、それでも人道的な配慮は必要だと思うのは甘いのだろうかと悩むも


「船に乗ってて逃げ場ないけど、本当にここに居て大丈夫かな?」


今いるのはクイーン・フェロメーラ号にある軍部総司令室。

壁に海路の地図が張ってあったり、船の構造まで一目で分かる地図まででかでかと貼ってある。

ルーティアにも本当に良いのか?と視線で訴える物の


「なるほど。クイーン・フェロメーラ号と言う豪華旅客船とは名ばかりの第一級戦闘艦なのですね。血なまぐさい女王ですね」


「フェロメーラって言うのはね、ウェルキィって言う聖獣からもらった名前なんだ。

 子育てに忙しい中、希少な聖獣を子供なら捕まえられると思った愚かな冒険者達を返り討ちにした慈愛の聖獣なんだ」


「俺の知ってる慈愛の意味となんか違う気が…」


「聖獣!素晴らしい!!

 ハウオルティアにはドラゴンと言った魔物、その亜種の魔獣は居る者の、精霊に近い存在は居なかったのでぜひ滞在の間に会いたいですね!」


珍しく興味を引いたのかキラキラした瞳でランの手を握れば、思わずと言うように苦笑紛れに視線を反らせる。


「というか、その区分けってなんなのさ。

 魔族に近い所か魔力を宿した知力の高い者を魔物、魔力を宿した本能に素直な奴らが魔獣だろ?

 聖獣とか精霊ってどう違うんだか…」


「魔族が闇の存在なら相反対の光の存在が精霊。

 それに従う知力の高い者達を聖獣、その取り巻き達を妖精。といった所ですか。

 ただし妖精達は光にも闇にも染まりますので、決して可愛らしい存在だけではないので注意するように」


「じゃあ、魔族と精霊どちらが強いのさ?」


「さあな。同等とも言われているが、ウィスタリア国の物語には精霊王が精霊と魔族を作り出したと言う書物があるくらいだからな」


判らんと言ったブレッド先生に


「アクセル総隊長!着艦完了しました。

 ブルトラン軍より船内にハウオルティア軍の将校が居ないか捕縛したいとの申し出があります」


「んなのお断りに決まってる。この船はフリュゲール国の物だ。ブルトラン軍を招き入れる理由も道理もない!」


アクセル総隊長と呼ばれたブレッドはこめかみに血管を浮かび上がらせてこの総司令室の総隊長の椅子でふんぞり返っていた。


「アルトとジルが待機してるだろ。その指示に従え」


言えば連絡係の男は「はっ!」と言って敬礼をして指令室を出て行った。


「それにしてもブレッドが噂の最年少フリュゲール軍総司令隊長のアクセル殿だとは、私とした事が気付かなかったとはいえお恥ずかしい」


「いや、できたら気付かないままでいてほしかった。

 というか、この肩書もどうにかしてくれ」


途方に暮れて呟くブレッドにランは笑う。


「これぐらいの肩書がないとブレッドって軍本部どころか軍自体に全く顔を出さなくなるからね。

 給料もらうんだからちゃんとこまめに顔を出させるための役職なんだ」


「厄介な首輪だね」


「かわいい顔してやる事がえげつないんだうちの王様は」


「はいはい。どうせ僕はえげつないですよー」


言って軍部総司令室でココアをすするランと同じくココアをすする。


「で、ヴィンシャーとティルシャルは待機してる?」


「乗客は全員室内待機してもらって、デッキに近い場所で待機してます」


「杞憂に済めばいいんだけど」


「済めばいいんだけどな」


重苦しい空気が流れる司令室でしばらく待つまでもなく伝令がやって来た。

やっぱりと言うか、当然と言うか。

溜息を一つ落として伝令を聞く。


「何があった?」


新兵だろうまだ年若い少年の面立ちの残る男が敬礼をし


「ノヴァエス隊長より伝令!

 『ブルトラン国ブルトラン王が港に居るので対応よろしく』との事です!」


顔を真っ赤に興奮しながら狭い天井の部屋で大きな声で伝令を伝える男に思わず耳を塞いでしまうも、ブレッドは予想通りと言う顔で盛大に溜息を吐き出す。


「やっぱりおいでなすったか。

 ラン。出番だ」


「仕方ないなー。みんなも待機してもらってるけど何事もなければいいよなー」


「それは向こうの出方次第。

 で、お前達はここにいるか?それとも見学に来るか?」


と聞かれるので頷いて行くと返答。


「ランにお世話になりっぱなしだし迷惑にもなりっぱなしだ。

 それなのに、ここを知らない見ないで通り過ぎる事は出来ないから、せめて会話が聞こえる所で隠れさせて」


俺の事で赤の他人が血を流す事を考えると責任の在り方を考えてしまう。

何も知らないままで誰かが血を流して命を失う責任なんて俺には受け止められない。

幼いリーディックだって消えてしまった程の重しだ。

だから、せめて何が起きているのかぐらい俺の目の届く範囲の出来事は見ておかなくちゃと勇気をふりだし手足を一歩前に出す。

ぴゅー、とブレッドが口笛を吹く姿に眉間を寄せてしまうも


「私は遠慮させていただきます。

 ブルトランには顔が割れてますし、それに大体予測は出来ます」


胸の前で腕を組んで盛大な溜息は判りきった未来に呆れた物。

ブルトランに付き合ってられないと言うようにココアを飲むも


「ですが…フリュゲールの戦法が気にかかります。

 なので、私はそちらの見学にご一緒させてもらいましょう」


そしてココアの最後の一滴までくいっと飲み干して立ち上がる。


「さあ、行きましょうか」


なぜか総隊長のブレッドの合図を待たずにルーティアが席を立てば、何故かランを始め全員が起立をする。


「うちの総隊長に任命したいな」


ぽつりと呟いたブレッドの呟きに丁寧に断りの言葉を入れる。


「恐ろしく統率のとれた部隊が出来上がるから早まった真似はよした方が身のためだよ」


「それは…怖いな」


一番最後尾に並んで威風堂々とデッキへと向かう一行着いて行く中もしの仮定の中の想像を楽しみながらその前にあるく部下を怖がらせて楽しんでいた。






デッキに付けば港を埋め尽くすほどのブルトランの兵であふれていた。

そして背後の海にはいつの間にかブルトランの国旗を描く帆の付いた船団がフェロメーラ号を取り囲んでいた。

ここまで来ると壮観だなと思う反面、戦場からアルトとジルが着艦用のステップを下ろすだけの状態のままブルトラン兵と睨み合っている。


「あれもあれで似合っているよね」


ランの素性を聞いた翌日に再度自己紹介の場を作った。

アルトゥール=フォン=ノヴァエスことアルトさんは四方八家と言うフリュゲール独自の領主を受け賜っている貴族様だった。

なんせ王族どころか公爵の居ない国。

次点の侯爵がのさばる国では政治になるはずもなく、そんな中で国の中央の城から八方に分けて管理する領主をトップに据え置く事で国と言う機関をとりなしてきたと言う世界に例を見ない独特な政治体制だった。

名前にフォンが入る通り、25歳と言う若さで既にノヴァエス家の当主を務めていると言う二足のわらじを履いている。

ひょっとしてお家が苦しいのかと思うも聖獣使いは総て軍所属と言うお国柄。

領主だろうがお構いなしに駆り出されるのは仕方がないだろう。

そしてもう一人のジルことジルベール=ヴァレンドルフさん25歳は平民の出で聖獣と契約をした珍しい人でもあった。

血筋が物を言う中、親も兄弟も素質さえないのにひょっこりと現れたその才能に家族周囲から随分冷たくあしらわれてきたらしいが、ヴェルナーが通っていた例の王立学院と言う所でアルトとブレッドに出会って以来状況は好転したと言う。

「学費無償とは言え結構な必要経費に追われますからね。

 アルトの援助のおかげで何とか医者にもなれました。その点は感謝してますが・・・」

と苦笑紛れに言われた理由はアルトの親からもお願いしますと言われた彼の面倒。

さらにブレッド=アクセルと言うフリュゲール国一の天才の取り扱いも押し付けられて気分は保育士だと言う。

どこにでも苦労人は居るんだと言うが、無償で町や村の人に治療を行っている聖人のような人だが、アルトは言う。

「あんな森の奥に診療所を構えて患者が来るのかって言う問題があるけどな」

無償治療の代償は命がけで森の奥まで迷わずに来てくださいと言う恐ろしい治療費が必要となる。

「ま、ただより高い物はないからな」

とはブレッドの弁だが、高価な薬代を差っ引いてもほんとその通りだと思う。

意外な経歴を持つ三人が軍のトップを占めているのはランの保護者だからだ。

詳しい事まではまだ教えてもらってないけど、初めて会った時の自己紹介が総てだと笑って言う。


そんな三人がランの背後を守るように並んで船上からブルトラン王と対面する。

王はもちろん周囲に居るお偉いさんにもわずかながらの動揺を生んだが


「初めましてブルトランの王とお見受けする。

 私はランセン=レッセラート=フリューゲル。

 昨年の戴冠式の折、丁寧な祝辞をありがとうございます」


12歳だと言うのに朗々とした挨拶に当然のようにブルトランの王を始めこんな子供がと驚きは隠せずにいたが、それでも王家を名乗る男。すぐにそんな顔は隠し


「初めましてフリュゲールの王。ようやくお会いできた事喜び申し上げます。

 まさかこの船にフリュゲール王が乗船だとは、いやはや驚きです

 どのようなご旅行で?」


遠回しにこの戦争に横やりに来たわけないよなと笑うブルトランの王の余裕は周囲の兵を持っての物かこの状況のでは空恐ろしい物がある。

そんな半分脅しの様な笑みにランは肩をすくめて


「ちょっとした旅行ですよ。

 ひょっとしたら地図からハウオルティアが消えてしまうんじゃないかと思ったら一度ぐらい訪れてみたいじゃないですか。名物のアップルパイも食べてみたいし。

 それに友人からの野暮用もお願いされて、ね?」


断るわけにもいかないでしょと言う言葉になるほどと頷くブルトランの王。

こっそりと覗けば精悍なまさに男盛りと言う言葉がふさわしいその姿にひょっとしたらあれがリーディックの父親だったのかと思うとぞっとする。

狂気を孕んだ瞳には既に輝きはなくただ笑みを作ってランと言葉のやり取りをする姿に隣にいたルーティアの手が白じむほど握りしめていた。


「ご旅行が満足されたようで何より。

 所で話が変わりますが、その船にエレミヤ姓の子供が乗船しているとの情報が入りましてな。

 そやつは第一級政治犯ゆえにブルトランが全力で探しておる者。

 捜査の協力をお願いしたく申し出ているのだが?」


「うん、話は聞いてるよ。一応乗船名簿にはエレミヤ姓はないのですが?」


お引き取り下さいと重厚なファイルに綴られた文字を視線は追いかけての返答。

そんな事でブルトランの王は納得するわけもない。


「よろしければそのリストを拝見させてはいただけないでしょうか」


イラ付き始めた言葉に口調に刺が混ざる。


「顧客名簿は厳守するべき秘匿項目です。

 例えブルトラン王と言えども他国の者。お見せできる物ではありません」


12歳だと言うのに背筋を伸ばし毅然とした態度でNOと言う。

どうしたらその年でそんな強くある物かと思って展望台の窓からランの横顔ばかり見てしまう。


「断ると言うのか?」


「私の船に乗船する者を守るのも私の役目。

 当然でしょ」


驚いた事にこの船はランの物だと言う。

いや、驚くのはそこではなく、陸も海もブルトラン兵に囲まれた状況で狂気の王に反抗の狼煙を上げた。


「この状況で楯突くと言うのか?」


優勢を信じているブルトランの王は勝利の笑みを浮かべながらランを嘲笑う。

子供を王位に付けたばかりにフリュゲールは苦労すると。

失笑はさざめき合うように広がっていく中でランもくすくすと品よく笑う。


「ならば聞こう。僕を相手にこの程度の兵力で取り囲んだつもり?」


きらんとルビーの瞳が笑う。


「クイーン・フェロメーラ号は一見ただの旅客船かもしれないけど…」


その言葉の後に手を横に振りはらう


どこからか現れた深紅の炎を纏う鳥がその腕に止まる。

両翼を広げれば片翼でランをスッポリと隠してしまうほどの大きさと美しさと躍動感に目が奪われる。


「今のこの船には僕の持ち得る最大の戦力が集結している」


ウォ―――――――ン!!!

ォオ―――――――ン!!!


両サイドを人と同じ位置に頭のある片方にだけ翼をはやした巨大な犬みたいな生き物がランの両サイドを守っていた。

そしていつの間にか船の先頭に恐ろしく巨大な、それこそ人の三倍ほどの大きさの犬のような、虎のような姿の翼をもつ純白の何かが居る。

さらに海面からドラゴンだろうか。翼のない得体の知れないとにかく長いエメラルドグリーンの海を切り取った体の蛇みたいなものが鎌首をもたげてブルトランの兵を見下ろし、そして空から落ちた影に誰ともなく視線を向ける。

物語や映画にも出てくる美しいどこまでも澄んだ空のドラゴンが旋回したのち、港の一番高い塔へと着陸して、口砲と同時にあれをドラゴンブレスっていうんだろうな。炎にも似た光線を轟音と爆音と共に空に向かって吐き出した。


兵に動揺が走り、一気に逃げ出すものや海に落ちた者もいれば、馬も恐怖に暴れ出す。

海を泳ぐそれに海上で待機する船は人工的につくられた波に煽られ今にも沈没寸前の状況になった。


「この程度で統制が崩れる者達で僕の友人達を倒せる自信はあるかな?」


勝敗が付いた瞬間だった。


辛うじて繋ぎ止めてる魔法文化。

魔法を呼吸するように扱う世界の者達。

そして、それを友と呼ぶ王。

苦々しく睨みつけるブルトランの王にランは冷たい視線で言葉を繋げる。


「そう言えばブルトランから王の娘だと名乗る子がやって来たけど、悪いけど丁重にお引き取りさせてもらったよ。

 語学があるからとか何か言ってたけど、フリュゲール国では識字率は100%だ。

 あの程度の知識を鼻にかけられてもお荷物でしかない。

 王の娘と名乗った子の母親の家の帰したけど、僕のお嫁さんにしたいならせめてこのブレッドみたいな有能な娘を送り込んでよ。

 あの程度でがっかりだよ」


と、どこまでもブルトランの王を煽るランに周囲も苦笑。

ジルが「苦労するだけなのでやめておきなさい」という唇の動きに僕でなくともルーティアも失笑を零せば、一緒に待機していたヴェルナーも笑っていた。


「それとこれは僕の友人達からの忠告だ。

 ここ数年貴方のやって来た事にブルトランを守護する精霊はその任を放棄した。

 幸い精霊の一命だけは取り留めたものの、彼に従う聖獣や妖精を引き連れて精霊の世界に戻って行ったよ。彼らはもう二度とブルトランの地に戻る事はない。

 ブルトランはこれ以降アズライン同様精霊の守護のない国となる。

 それどころか精霊を裏切ったブルトランの地に彼らは呪いをかけて行った。

 内容までは聞かなかったけど、貴方達の許しを聞き届ける者はもうどこにもないし、僕達も協力する気はない。

 よく考える事をお勧めする。

 ブレッド」

 

「錨を上げろ!出港!!」


ブルトランを無視するように捨て置いて船内に戻るランの背後でブレッドが出港の合図を送る。

一気に錨を巻き上げてゆっくりと離岸しながら船が進む。

沖合で待機していた船はエメラルドの蛇がやっぱりドラゴンの一種なんだろうな。ドラゴンブレスで海路を確保する中、上空から空色のドラゴンが協力するかのようにドラゴンブレスで海を荒らす。

不思議な事にこの船には全くの揺れは感じなかったものの、ブルトラン側の船は今にも沈没するのではないかと言うくらい煽られている。

というか被害が出ないようにその程度に抑えているのが傍目で見ていてもよくわかる。


「ラン怖えぇ」


「ですね。フリュゲール王を怒らすのは得策ではないという事が身に染みましたね」


冷や汗を流して戦慄でもしているかのようなルーティアに俺も頷く。


「あれが我が国を守護する聖獣の青龍クヴェル、海龍アリシア、対翼のウェルキィ。

 そして陛下の腕に止まるあの鳥こそフリュゲールを守護する精霊フリューゲル。

 陛下が地図の保持者だからというわけで王と認められただけではない。

 精霊フリューゲルの契約者こそ我らが王!

 これ以上とないくらい認める以外の選択はないでしょう!」


暑苦しく感動に震えるように説明するヴェルナーの言葉にあれがと展望台からその姿をもう一度見る。

瞬く間にブルトランの船団を引き離して海原へと立ち去るこの船が安全圏に入った頃彼らは空に、海に、どこへともなく消え去ってしまっていた。

まるで何かの幻を見たかのような儚さとそして心に残る感動と肌で感じる圧倒的な魔力の恐怖にゆっくりと唾を飲み干してルーティアでなくとも拳を握る。

ルーティアはこれを見る機会があるかもと期待してこのやり取りを見学に来た。

その期待以上の光景が目の前に繰り広げられ、あの小さな子供が毅然とした態度で王と名乗り、そして誰もが敬う理由がようやく分かった。


「では、そろそろ陛下も指令室に戻る頃。我らもお迎えいたしましょう」


ヴェルナーの言葉に頷き、いまだ感動が残る足取りで先に着くようにと足を運んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ