朝を繋げる鳥のゆくへ
おまけではありませんが、遥か先の未来の小話を一つ。
「おや、メモ何て見て何を考えているんだ?」
頭に上に一羽の小鳥が止まる。
「そろそろクレヴィングの子が成人するだろ?
プレゼントは何がいいかなって悩んでるんだ」
「あー、確か弟も翌年成人だったな?」
本にうずもれた本の家に住まう住民が記憶を辿るように声を上げる。
「そうなんだ、近いからプレゼントがかぶらないように考えなくちゃいけないんだ」
「そんな物考えなくても決まってるでしょー?」
背中におぶさってくるすらりとした長身の大きな耳飾りが頬に触れてひやりと心地よい冷たさを充ててくれる。
「二人とも剣で充分だろ」
窓枠で昼寝をする猫のような、犬のような、何かの猛獣のようなごちゃ混ぜの彼はあくびを零すだけ。
「だけどさー、女の子には剣よりも首飾りの方がいいと思うんだけど?」
「なに言ってるんだ?
あいつの血筋なら飾り物よりも実用性重視の方が喜ぶに決まってるぜ?」
「まったく君も実用性主義だなぁ」
「ランほどでもないだろ?」
それは確かにと笑い響くなかあれから数百年と時が過ぎてもなお発展を遂げようとするリンヴェル国。
大陸の内では一番の国土の面積を誇るリンヴェルはかつての大陸の穀物庫と言う地位を取り戻して今や立派な大国の一員だ。
「じゃあ久し振りに行こうか?」
立ち上がれば
「私はリンゴを食べたく思います!」
「なら、あたしらは留守番しておくわー」
「となると、おっさんもいっしょにお留守番するわー」
ガキども同士で遊んでらっしゃいと二人は仲良く酒を片手にもう片方の手をひらひらと振っていた。
「行くのなら変装をして行けよ、そしてリンヴェルの王族の奴らに顔を出しておけ」
本に囲まれてご満悦の住民は相変わらず口うるさいが、何でもない時は何も言わないのでこの忠告は意味のある物だと理解しておく。
「わかったよー。
じゃあ、ラルヴァ……じゃなくって、エンバー行こうか」
「俺がお供かよ……」
「当たり前でしょ?
下っ端が付いて行くのは当然なのよー」
相変らずのカマ口調だけどこの場にいる者達は誰も気にも留めないし、悲しいかな耳もなれた。
「割に合わねえ……」
不満はあるらしいが……
「そう言う割には嬉しそうですよ?」
「お母様のお墓にご挨拶にでも行ってらっしゃい」
「……気が向いたらな」
何百年経っても素直にはなれないらしい。
何やら話もまとまった所で
「アウリール!僕達をリンヴェルまで連れてって!」
「承知」
相変らず口数は少ないが、出会った頃と変わらない青空に今日も良い一日だと確信する。
「カヤは準備出来てる?」
「はい!このとおりカヤは何時でも行けます!」
「じゃあ行ってくるね!」
「気を付けて行ってこい。
そして野良妖精と野良精霊を拾ってくるな」
「もう!いつまでも昔の事引っ張らないでよ!!!」
「今も昔も変わらんだろ」
言い返された一言と共に高らかに響く笑い声は今も昔も変わらない大切な家族と共にあり、かつて駆け足のように共に過ごした家族が残してくれた家族を見守る為なら誰かが言った呪い(のろい)とも言った永遠ですら幸せの呪い(まじない)で。
抱えきれないくらいの奇跡のような宝物を今も与え続けててくれる魔法使いを今も懐かしく思うのだった。
物語の完結を目指して書いて来ましたが、最後まで無くならなかった誤字脱字にもおつきあい下さいありがとうございました。
次はウィスタリア国辺りでお会いできれば幸いです。
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