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俺の小説の書き方 異世界ファンタジーを作る 3

さて、異世界ファンタジーと言っても、大きく二種類に分けることができる。


ひとつは地球とはまるで違う世界の構築がなされた、異世界物語。


無論自然法則から世界観、時間軸、人種も言語も法律も倫理も哲学もぜぇーんぶ違う可能性がある。

これをつぶさに説明してゆくのもアリといえば有りだが、おそらくは話が終わらなくなる。なぜなら本を読むのは現代社会に生きる普通の人だからである。


異世界ファンタジーは実は現代SFよりも説明が多くなるはずなのだ。読者にとってわからないことだらけだから。今よりも格段に進歩した未来SFだったとしても、「地球人」という文言一つを入れれば、説明しなくても済む部分が格段に増える。地球人ベースで物事が推し量れ、目線が定まるからである。


極端な事を言うと。


スターウォーズのように、登場人物が何人なにじんかはわからないという場合、ルークが地球人のような容姿をしていると記述できない分、実際のところ小説だけでは理解しがたい物語になる可能性もある。

なので、異世界ファンタジーの場合も、人間が本当に地球人の形をしているかは実は怪しい話で、おっぱいが四つある女の人、あるいは両性具有がデフォルトであってもおかしくはないのである。


ただ、「胴体につく足と腕が一対で、その末端に五本の指がついている、二足歩行をするため最上部に頭部があり、そこに目、耳が一対、口と鼻が人つづつ」などと記述してしまうと、もう、物語に入ることすらできないので、皆読者はなんとなく、「主人公は自分たちと同じような地球人の容姿をしているのだろう」と考えるようにできている。変えたとしても髪の色とか目の色くらいで、このあたりはアニメの要素だろうなとは思う。

(個人的に漫画の『ワンピース』のキャラなんてのはもう、文字での人物描写は不可能だと思ってる)


で、もうひとつの異世界ファンタジーというのは実に上手い具合にこれらの問題を解決できる。


皆さんご存知の、現代っ子が何らかのきっかけで異世界に飛ばされる、異世界転移系物語である。


主人公は必ずと言っていいほど、地球上のどこかの国の誰かである。従って現実世界と異世界の差分を余すところなく記述できる。しかも謎の物体、道具、風景などにおいても、現代語訳ができる上に、現実世界の比喩が使える点で、読者には非常に伝えやすくなる。

登場人物などの描写においても「俳優の~のような人」という言い方すらできる。


異世界に転移した者は見るもの全てが初めてだから、どんな細かなことでも記述して構わないし説明することもできる。従って一人称との親和性が高いと言える。


異世界転移系のファンタジーが読まれやすいのは、導入の良さである。面白い面白くないは別にしても、まず煩雑な、作者が構築した世界の仕組みを読者が理解しなくても良いからだ。


SFがあまり受けないのは、まずある程度の世界設定を落とし込んで、読者に雛形を作らせなければいけないから、どうしても説明ありきの導入になりがちなのである。

これを回避する策はいくらでもあるのだが、また脱線するのでいつか別の機会に。


で、だ。


この異世界転系でも、時間が経てば(話数が進んで物語が波に乗れば)実は普通の異世界ファンタジーと遜色のないモノかそれ以下になる可能性がある。というのは、「せっかく異世界に転移したのにそこに馴染みきっている」からだ。


物語が始まった時点では、馴染むためにあれこれと努力もするのだが、馴染んでしまえばただの異世界でのプレイヤーの一人になる。これはつまらない。しかも多くの異世界転移者が現世に戻ろうという意識がない(忘れてる?)のが実にもったいない。何とかして現実世界との接点を持ち続けなければ、異世界転移した意味がほとんどなくなるのだ。


異世界転移を書く場合、最低限「現世から転移した」「現世で不遇な人生だった」などのファクターは巨大な伏線なので、引いておいて後に何も触れないというのは無責任であると思う。そしてそれが何らかのテーマ性をまとって主人公の生き方に寄り添っていなければやはり嘘っぽい話になると思う。


異世界を書く事そのものは実に愉快だとは思う。ファンタスティックである。だがそのファンタジー世界に没入し慣れてしまうのは結局のところ読者も同じであり、じゃあ、この異常な状態を創り出したのは何の為なのか? という疑問を突きつけられる。

何を語りたかったのか? 何のためにこれらの設定が必要だったのか、なぜ異世界でなくてはならなかったのか。そういった内向き外向きに対してテーマを持つことは大事だろう。


異世界ものに限らず、作品におけるアクションやガジェットは飾りであることを忘れてはいけない。

大事なのは物語である。物語を綴る登場人物である。すなわち書き手の精神性である、と俺は思う。


いい喩えが思いつかなかったのでイラストを例に出すが


「可愛い萌系イラストが描きたい」 というのと 「イラストで萌え系を表現したい」


こういった違いが解るか解らないかで、小説の書き方は随分変わってくると思う。




さて、これで一段落。また思いついたら書きまする。









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