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俺の小説の書き方 閑話休題

 普段俺がどのような執筆生活を送っているか、という事を書いてみよう。


 いや、執筆生活などというにはおこがましいものがあるかもしれない。ほとんどの時間は仕事をしている。たぶん13時間は仕事してる。6時間が睡眠、一日が24時間だという事が間違いなければ、残り5時間で、食事をし、風呂に入り、やっと執筆の時間が確保できる。


 だからといって、その時間をフルに使うかといえば、資料集めでほとんどが終わってしまうこともあり、なかなかにはかどらない。生来のだらしなさも手伝って、動画サイトを延々と梯子してしまうこともある。


いざ執筆と相成っても、ノリを取り戻すために前回から読み直すから、そこでまた時間をロスし、1日の進捗が十行足らずなんてことは日常茶飯事である。


 実際、小説を書くのはすごく手間のいる作業だ。

文字を書いていればいい、文字を書くだけだろう、と思われるかもしれないが、実は一語一句に相当な時間を費やしている。

話し言葉ならば、ニュアンスでわかる。何度でも言いなおすことが出来る。


『テラスハウス』というバラエティ番組があるのをご存じだろう。それなりに人気があるようだが、概要はヤラセなしの恋愛観察ドキュメンタリー、という事になっている。


 この『テラスハウス』。小説を書いている人間なら誰だって不自然に感じるはずだ。もう不自然なんてものじゃなく、完全に演出上で演技してるよね、シナリオもあるよね、その上でアドリブ入れてるよね? と。


 小説は都合よく物語が進むことを目指しながら、それに抗おうとする力が働く。なぜその二律背反が起きるのかというと、“そうでなければ面白くない”からだ。


 決まったフレーム内で、決まったキャラクターが、期待通り、あるいは期待に背く物語を進めるための発言を繰り返す。意味のないことはほとんど言わない。


これが人が作る物語の特徴だ。


 『テラスハウス』の最大の不自然さは“日常を演出するための”意味のない会話はあるが、それは“物語を進めるための伏線”であるというところにある。


 そんなに毎日毎週、ドラマは生まれない。一つ屋根の下がこんな調子なら、一カ月に一人くらい子供が出来る。


 定点カメラに不都合なものが映ることも往々にしてあるはずだ。


 だがそう言った描写はない。去勢された男女がなんとなく口当たりのいい会話を程よいタイミングで行っているに過ぎない。


 ダイナミックさがない。やっぱリビングで誰もいない隙をついて一発ヤる、くらいなければ、リアリティがなさすぎる。それに、フレームから外れることもなければ、会話が重複することもなく、言い淀みもなく、言い間違いもない。


 こんな奴ら、現実にいる訳がない。


 まあ、先にシナリオはあると言ってしまったが、大まかにはある、といった程度だろう。

 

 現実世界とリンクしているだけに、ライターが書いた物語がその通りに成就するはずもないし、そうならなければ破綻する。だから、シナリオライティングはその都度行われている、と解釈するほうがいい。


 つまり、プロットがない。人物設定と環境設定だけがあり、台詞などの言い回しはキャスト自身が決めて、事前に他のキャストとすり合わせながら発言しているのだろうと思う。


 小説で言えば、キャラクターの暴走なのだが、その暴走を看過すること自体が番組の骨子になっている。ということだ。


どのように話が進むかなどは誰にもわからない、から……おもしろいのか?


というか、ネバーエンディングストーリーであって、永久に続けることが出来る仕組みなんだな。


 俺的に『テラスハウス』つくるなら、、男メンバーを引きこもりと、キモオタと、ガテン系と普通の中小企業のリーマンにする。女メンバーはバツイチと風俗嬢と有名大卒企業幹部とヤンデレにする。


 これでこそドラマは面白くなる。すればいいのに! って本気で思う。


 それか、全員引きこもりにする。



 小説とはフィクションである。現実には都合よく事件は起きない。朝起きたら目の前に死体が転がっている、なんてことはそれほどない。


 だから人は小説を読むし、小説を書く。


 現実の合間を縫って、現実っぽいものに近づけようと描写を重ね、会話を練り上げ、薄っぺらな嘘を糊塗してゆく。


 それは現実世界の救いのなさを知るがゆえ、くだらない、つまらないと考えているからであろう。所詮自分の頭上には無限の宇宙は広がってはいないと気付くからである。


 それが大人になるという事だ。


 人は騙されたいのだ。騙してくれる何かをいつでも求めている。

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