第1話:始まりの鐘(3)
【SIDE:小椋薫】
入学式、ホームルームとこの日の日程を終えて、新入生は親や友人達と今日のことについて語り合っていた。
私も中学からの友人の松村未来と今日のことを話し合っていた。
「んで、春見君と話せたの?やっと会えたんでしょ?」
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自分で言うのもあれだけど、私は中学生の時よく告白されていた。
だけど彼氏たるものができたことは無い。
そんな時、彼女に聞かれたのだった。
『どうして薫は彼氏作んないの?モテるのに…
楽しいもんだよ。』
私にもわからなかった。
どうして付き合ったりしないのか。
『…何でだろ……
何かどうしても心から好きになれない気がするの。そんな気持ちで付き合っても相手に迷惑だと思うし…
そ、それより未来は林君とどうなの?』
私は自分に対するこの手の話は苦手だ。
だから未来の話に変えようと話題を振った。
『ん?あぁ別れたよ昨日。言ってなかったっけ?』
『聞いてないよ。知ってたらそんな事聞かないもん。
どうして別れたの?』
『うーん、ちょっとね。それより薫が心から好きになれないって言うのは、もうそういう人がいるからじゃないの?』
流された上に話を元に戻されてしまった。
『好きな人か…
今までできたことないなぁ。』
そう。
私は今まで人を好きになったことが無い。
だから人を好きになると、どういう気持ちになるかわからなかった。
そう未来に告げたところ
『んー、まぁ一緒にいて、楽しかったり温かい気持ちになるよ。そういう人いない?』
そう聞かれた時、私は小学生の時よく遊んだ男の子を思い浮かべた。
その男の子とは親どうしの仲がよく、小さなころから色々なことをして遊んだ。
でもその男の子は高学年になると野球をしだして、それからは全く遊ばなくなってしまった。
それが春見優だった。
でもどうして優が思い浮かんだのか私にはわからなかった。
…私は優が好きだったの?
『…ぇ、…おる、薫ってば!』
『えっ!?何?未来』
気づけば未来は私の肩を掴んで揺すっていた。
『なによ、ぼーとしちゃって。さてはそういう人がいたんでしょ!?言いなさい薫!私がそれが恋なのか判断してあげるから!どんな人なの?』
『えっ、ちょっと未来!声でかいよ』
周りを見ると未来の声が大きかったせいか、帰宅途中の生徒がこちらを向いていた。
『あぁごめん。んで、どんな人なの?』
こうなると未来はなかなか引こうとはしない。
きっと今をやり過ごしても何度も繰り返して聞かれるのだろう。
それならいっそ話して、この気持ちが恋なのか、それならどうしたらいいのか、そのヒントを未来なら与えてくれる気がしたから、私は未来に話すことを決めた。
優のことを話し終えると、未来は私に『それは恋予備軍である』と言った。
その後未来は自分の通っていた小学校で優と同じ中学に進学した友達に優のことを色々聞いてくれた。
その情報によると優は今でも野球をしていているという。
また身長も高く性格も良いため女子の中でも人気が高いということも知った。
それから何度か優の試合を観戦した。
試合中の優の表情は真剣でかっこいいと思った。
『未来…私やっぱり優が好きみたい。』
そのことに気づくのに時間はかからなかった。
高校進学の時も、優が晴祥を受けると聞いて、私も晴祥に行きたいと思った。
でも夏休みの模試での判定はE…
これではダメだと思った私はそれから必死に勉強して何とか合格することができたのだった。
(何か私ストーカーみたい…)
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やっとの思いで入学して、しかも同じクラス!
私は嬉しくて神様に感謝した。
優も私に気づいて、その後中学の時のことを話しながら2人で桜舞い散る道を並んで歩く。
そんな展開を思い浮かべていた。
だけど、現実は…
はぁ…
優は私のことを忘れているかもしれない。
こうなったら明日話しかけて、私を覚えているか聞いてみよう!
……でも覚えていなかったらショックだな……
次から更新が遅れると思います…
理由は現在作者は受験生であって、バカな作者は勉強しないと本気でやばいからです(泣)
でも!
そんなに長い間放置したりしないようには善処します!
なので…
見捨てないでーplease