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異世界無双 田中くん

掲載日:2026/03/05

「異世界を救ってほしいのです」


なぜか目の前に女神がいた。


「ああ。いいぜ」


ちょっとムカつく顔をした高校生・田中は、学ランのポケットに手を突っ込んだまま、光の中に消えた。


最初の街。


「おい、ガキ。金置いてけよ」


チンピラ三人に囲まれた。


だが、次の瞬間にはチンピラたちが地面にめり込んでいた。どうやったかは誰も見ていない。


道中。


巨大な魔獣が咆哮を上げ、田中を飲み込もうとする。


が、瞬きをした瞬間に魔獣は細切れの肉片に変わっていた。田中の手には何も持っていない。


「魔王を一緒に倒してほしい。俺たちの国を救ってくれ!」


現地の勇者が泣きながら縋り付く。だが、田中は鼻で笑った。


「俺一人で十分だ。足手まといなんだよ」


どこから来るのか不明な自信を背負い、田中は荒野を独り歩む。


村での出会い。


「田中様、行かないで……!」


「悪いな。お前に構っているほど暇じゃないんだ。」

リーザの手を振りほどき田中は歩き出す。



「田中、お前だけは許さねえ……!」


異世界で唯一心を許した親友、ザンパンが剣を抜く。


いつからの付き合いか、なぜ裏切ったのか、全ては闇の中だ。


「……さらばだ、ザンパン。楽しかったぜ。」

理由はわからないが、確かにそう思った。

田中は自らの手で、唯一の戦友を屠った。


巨大竜、四天王。


伝説級の強敵たちが次々と田中の前に立ち塞がる。


だが、田中は無傷だった。返り血一つ浴びることなく、魔王の心臓を貫いた。


その「力」の正体は、女神にも、魔王にも、そして作者にさえも分からない。


王城への凱旋。


沿道の民衆が歓声を上げる中、田中は豪華な馬車で足を組み、相変わらずちょっとムカつく顔で窓の外を眺めていた。


すると、再び光が溢れる。


「あなたの力を必要としている異世界が、まだまだあります」


再び現れた女神の言葉に、田中は深く溜息をついた。


「ふぅ……。やれやれだぜ」


再び光が田中を包み込む。


ちょっとムカつく顔の田中の異世界無双は終わらない。


**(終)**

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