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【2-7】情報屋の仕事

「そう、俺は『ボス』だ!」

 大剣を持っていた男は情報屋のボスだった。彼は肩に剣を担いでアトレに駆け寄った。

「お嬢ちゃん、もう少しでステーキになるところだったぞ」

「嘘っ、全然気づかなかった……助けてくれてありがとうございます」

 ボスはこちらを睨む竜を同じように睨み返した。

「……こんなにでかいとはな。コイツを叩きのめせばいいんだろ」

「ええ。お気遣い、感謝します!」

アトレは剣を前に構えた。


* * *


 ボスが竜の頭に一撃を叩き込んだ瞬間、後方支援の三人は呆気に取られていた。

「嘘だろ……今の一撃で、竜を鎮めるなんて……」

 すると、後ろから息をゼイゼイ言わせながら男が走ってきた。疲れているにも関わらず、その走りはとても綺麗で紳士的だった。

「はぁ、はぁ……間に合いましたね、ボス」

「グザヴィエさん! ということは……」

「そうです、彼はうちのボスです」

 思わぬ支援にラスカは喜びを隠せなかった。

「でも、何故ここにいるのですか?」

「それは、企業秘密なので何も言えません」

 グザヴィエは口を一文字に結び、黙った。


 だが、彼らがなぜラスカ達がここに居ることを知っていたかは、大体予想が付く。

 なぜなら彼らは情報屋だからだ。

 実は、アトレ達が店を離れた後、情報屋のボスはグザヴィエを使わせ、尾行していた。

 更には、アークの研究所で策を練っていた時、グザヴィエはドアの向こうで聞き耳を立てていた。

 というのも、ラスカ達が竜の遺骸から情報を引き出すと話していたのを聞いて「これは価値のある商材だ」と判断したからだ。

 そこで、明日の朝に戦闘を始めると知って助太刀すると決めた。

 真の目的は竜が死んだ後の情報が目的だが。


「あら、あなた達のご友人さん達でしたかぁ〜」

 アークは見知らぬ来訪者に驚きつつも、冷静を保っていた。

 どんな状況でも冷静でいられるのはアークの特技だ。……一部の場合を除いてだが。

「ああ、この間の食堂で出会ったんだ。信頼していいと思うぞ」

「そうですかぁ〜。では任せましたよ」

 グザヴィエは、はいと言って竜が逃げないように結界を張った。その間、ラスカは時を見限ったようにバルに話しかけた。

「バルさん、俺はアトレの援護に行ってきます」

「わかりました。何かあればすぐに戻ってきてください」

 ラスカは力強く頷くと、飛行魔法で空に浮かび上がった。



* * *


 一方その頃、アトレと情報屋のボスは、竜が何か行動し始めるのを待っていた。

こちらから動いてしまえば、竜に先を読まれてしまうと危惧していたからだ。

「そろそろ何かしてくる頃合いだわ。気を付けて」

「了解。俺は後ろをやる。お嬢ちゃんは前方を頼んだ」

 アトレはそのまま剣を構えて、ゆっくり後退した。

 その隙に、ラスカが氷魔法で援護をする。魔法が当たるたび、竜の動きは確実に鈍くなっている。

 すると竜が気を見計らったのか、大きく尻尾を動かして攻撃してきた。

 狙いはボスだ。体温が下がって動きずらいはずなのに、凄まじい速度だ。

 だが、ボスは避けることが出来ず、大剣を盾にして受け止める。

 それでも、竜のパワーは圧倒的で、徐々に後ろに押される。

(クッソ……なんつうパワーだ。よくこんな小娘一人で耐えたな)

 必死にアトレの方を見て叫ぶ。

「今だ! 目を狙え!」

「無理だよ! 届かない!」

「飛行魔法があるだろ!」

「使えないわ!」

(は? どうゆうことだよ……なんで魔法一家の令嬢が使えないんだ……。いや、今はそんな事は考える必要がない。自分の命が最優先だ)

 遂にボスは竜に押し負け、大剣を地面に押し付け大きく後ろに後退した。

 柄を力強く握ったせいで、手のひらが赤くなっている。

(俺も、他人を信用する日が来てしまったか)

 ボスは遠くからアトレの目を見て大声で話す。

「おい、アトレ・エマニュエリ! 俺が奴を惹きつける! そのうちに攻撃しろ!」

 竜は睨みを利かせ、口に火を含んでボスを見た。

 今度は何もできない。今は火炎に耐えるしかない。彼女を信じよう。

 竜が火を吐いた。

「今だ!」


* * *


 ボスの合図を受け、アトレは即座に動いた。

 竜の心臓目掛けて切りかかった。

「いっけぇぇぇぇ!!!!」

 全身の力を込め、剣を突き出す。

 己の渾身の力を振り絞った。

 後ろでは高温の業火が空を裂いている。

 その時だった。竜の硬い皮膚に触れてから剣の様子がおかしい。

 剣からピキピキと嫌な音が聞こえた。そして剣の柄を残し、粉々に砕け散った。

「待って! 私の剣が……!」


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