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第33話 避難してください!!

【エサリカ村・広場】

子供たちに見せるための帽子の人形劇。

そのはずだった催しは、いつの間にか特撮ヒーローショーへとすり替わっていた。


???「まてぇーーーーーーーー!!」


帽子の中から、怪人役とは明らかに別の声が響いた。


怪人「む? 何者だ!!」



ドゴォォォンッ!!



派手な爆発音とともに、帽子の中から赤い戦隊ヒーロースーツを着た男が、半身を乗り出す。


ヒーロー男「この子たちには、指一本触れさせはしないぞ!!」


「わあああ!!」「またなんかでてきたー!!」「かっこいー!!」「真っ赤だーー!!」


子供たちの歓声はさらに上がる。その一方で。


カイ「ナオさん、この劇のコンセプトどうなってるんすか…」


リラ「……ふふ、また凝った演出をされてますねぇ」


ナオは帽子の縁を押さえ、深く息を吐いた。


ナオ「もうなんでもええわ。子供らが喜んでるなら、それはそれで成功やろ」


カイ「めちゃくちゃ投げやりじゃないっすか!」


怪人「な、なにぃ!?貴様、何者だ!!」


ヒーロー「名乗るほどの者ではないが……私は、正義を貫き、悪を制する者!人呼んで」


ビシッとポーズを決め、胸のエンブレムが無駄にきらめく。


ヒーロー「ブレイバー・レッド!!ただいま参上!!」



ドゴォォォォォォン!!


帽子の中から、発生源が不明だが無駄に本格的な爆発演出が起こる。


「うおおおお!!」「れっどー!!」「がんばれー!!」


怪人「ふ、ふん!正義の味方気取りが!この俺様の怪力の前では」


しかしその言葉を、場違いな悲鳴が遮った。



ノノ(小鳥)「梅原様ァーーーーーー!!みなさーーーーーーん!!!」




必死な叫び声が、広場の上空から降ってくる。


ナオ「……ん?」


怪人「何者だ!?新手の正義の味方か!」


レッド「今はこの私が相手だ!怪人」


カイ「……今、鳥が叫びました?」


リラ「叫びましたね。しかも……あの声……」


ばさばさと羽音を立て、小さな小鳥がナオたちの前に舞い降りる。



ボワンッ



ピンク色の煙が弾け、そこから必死な表情のノノが姿を現した。


リラ「ノノちゃん!?どうしたの、一体……?」


カイ「すっごい慌ててるっすよ!?何かあったんすか!?」


ナオは、ノノの様子を見てすぐに察したように、表情を引き締める。


ナオ「……ノノ。ステラたちと、旧鉱道に行ってたんちゃうんか?」


ノノは息を整える暇もなく、こくりと頷いた。


ノノ「た、大変なんです!!き、旧鉱道の奥で……とても大きなトロールが!!」


カイ「ト、トロール!?」


リラ「旧鉱道って……村のすぐ外じゃない……!」


その言葉に、ナオの目つきが変わる。


ナオ「ステラたちはどないしたんや?」


ノノ「ティナさんが罠で足止めしてくれたんですが……でも、岩盤を壊して……外まで……!」


カイ「つまり、ステラさんたちはまだそこで!?」


ノノ「今は……ステラさんとドラークさん、ハンスさんが……村に近づかないように、森の外で引きつけてくれてます……!」


一瞬、広場が静まり返った。さっきまでの歓声は消え、村人たちの表情が一斉に強り、ざわめきはじめる。怪人とレッドも、事態を飲みこめず言葉を失う。


怪人「…え、トロール?」


レッド「……それは、悪の怪獣的ポジションか何かか?」


ナオ「なるほどな。よう知らせてくれた、ノノ」


ナオはリラへ向き直る。


ナオ「リラさん。すぐ村の人らに伝えてくれへんか?今夜は外出禁止。灯りは落とさず、子供らはすぐ家の中へ」


リラ「……わかりました」


ナオは屈み、怯えた子供たちに優しく声をかける。


ナオ「すまんなぁ、みんな。今日は人形劇、これでおしまいや。お父さんお母さんと一緒に、おうちでええ子にしとき」


子供たちは不安そうにしながらも、こくりと頷いた。


ナオ「ノノ、カイくん。俺と一緒にギルドに知らせに行くん、ついてきてくれへんか?」


カイ「……了解っす!」


と、その時。怪人の男が割って入る。


怪人役「ちょっと待ってくれないか?」


ナオ、カイ、リラ、ノノは一瞬きょとんとした表情になる。


ノノ「……と、ところで……梅原様。……こ、この人たちは……?」


カイ「いやいや、今村が緊急事態なんすよ!!あんたらの相手してる場合じゃ」


ナオ「ちょっと待ったカイくん。……話を聞くわ、続けてくれるか?」


ナオは帽子の上にいる二人組に声をかける。


レッド「事情はよく分からん。だがッ!!」


去っていく子供たちの背中を見つめ、再び、ビシッとポーズを決める。


レッド「怯えている子供たちを前にして、正義の味方が何もせずにいられるか!!」


怪人「我々にも、少し協力させてほしい」


夜の広場に、思わぬ形で助っ人の申し出が落ちた。

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