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リーヤ口伝  作者: 333
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リーヤ口伝第三話

「おーい、ルカー!ライ安くするから買ってけよー!」

   「稼いだ分は無くなったから明日買う!」


日が暮れ始めて家の灯りがまたたいてきたころ、

雨上がりで濡れた商店街を、地面を走り抜ける。


     (今日は無傷で帰りたい…なっ!)


俺がハンターになってから6年の月日が流れた。

体も大きくなって低級討伐クエストなら一人でも達成できるようにはなったが、食費、家賃、装備の修理費などの出費があるせいで家計は未だに切羽詰まっていた。


日が完全に暮れた頃、目的の森に着いた。

常人なら自分の体がある、と言う感覚しか残らないほどの暗さ。

そんな中でも俺は「夜目」のスキルがあるおかげで活動ができる。


        (きたな……)


草陰からわらわらと小動物が現れた。鋭い爪と牙を見せて威嚇している。

チャスジラライカ。

1週間前に発見された魔物で、正式に名前が決定したのはつい4日前。今回の任務は「新種チャスジラライカを5体以上討伐し、死体を回収せよ」というもので数が足りないことを危惧していたが、俺は運がいい。数えたところ8体もいる。


  「はっ!すげえな!この僅かな時間でこうか!」


少し気を抜いた途端に囲まれている。


       「キルルルル……カッ!」

       「うおっ、っつぇい!」


どこからか聞こえた鳴き声に合わせて、ほぼ同時に4体が爪を剥き出しにして襲いかかってきた。

こいつらしっかり目や関節狙ってくるし速えぇっ!

ギリギリで避けれたものの目尻に傷を負ってしまった。


俺は早めに次のフェーズへ移行することにした。

足に力を込めると同時に自らを纏う魔力に意識を向ける。

焦らず、ロスを極力減らして脚の筋繊維に魔力を浸潤させる、イメージ。身体強化!

一気に跳躍してチャスジラライカの包囲網をぬける。奴らが追ってくるのを確認して一定の距離を保ちながらとある場所に向かった。


山と山に挟まれた、崖のような細い谷を前に振り返る。ジリジリとチャスジラライカが近づいてきている。もうかなり近い。が、まだ耐えるんだ。


そんなことを考えながらゆっくりと屈み、散らばっている小石を払いながら両手を地面につける。

もうあと少し。まだ…、まだ…、まだ………。


息を吸い体が動いたのと同時に奴らも一斉に飛びかかってきた。

間に合え…!間に合え…!間に合え……っっ!


      「ストーンストライクッ!!」


石が空を切る音がしたと思ったら目の前のチャスジラライカはみな気絶していた。うまく罠にハマってくれてよかった、とぐったりしたこいつらを見下ろしながら心底安堵する。


俺の計画は元々、最初に何体か殺した後に逃げるふりをする、「ストーンストライク」を補助する紋陣とぶつける用の石が用意してあるここへ誘導する、そして「ストーンストライク」でまとめて息の根を絶つ、というものだった。

だが最初に一体も仕留めきれなかった上にこいつらは「ストーンストライク」を当てても死なないほど外皮がぶ厚かった。

その上で幸運だったのは、みんな気絶してくれたことと「ストーンストライク」が当たらない奴がいなかったことだろう。


ぐったりしたチャスジラライカを脳〆した後、

こいつらの行動パターン、報酬、時刻、明日の予定などを考えながら、支給品の収納魔術付与袋マジックポーチにぼんやりと死体を入れる。


       「さて、帰りますか!」


そうして俺は深夜にひとり帰路についた。

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