プロローグ
読めば元気が湧いてくる、そんな物語にしたいです。
むかしむかし、貧しい山村にシャンソンという女の子がいました。
彼女の瞳は大きく、好奇心でいつも輝いていました。
シャンソンは生まれたときから、周りの子どもたちとは少し違っていました。他の子たちが静かに遊んでいる中、彼女だけは声高らかに笑い、歌い、踊りました。
シャンソンは歌や踊りが大好きでしたが、村の大人たちは忙しく、「きみは楽しい子だね」と言うだけで、特別な反応はありませんでした。
「どうしたら私の歌を聴いてもらえるのだろう?」
シャンソンは考えました。
「そうだ!」
村はずれにある塔の上から歌えば、きっと誰もが聴いてくれるはずだと思いつきました。
しかし、大人たちは言います。
「あの古代の塔は危ないから、絶対に近づいてはいけないよ」
それでもシャンソンは気持ちを抑えられません。ある朝、ついに彼女は塔へ向かいました。
塔に足を踏み入れると、不思議な女の人の声が響きました。
「侵入者は無垢な子供と判断。ゴーレム停止。係の従者は玄関に急行してください」
シャンソンには意味がわかりません。
恐る恐る奥へ進むと、ドアがひとりでに開きました。その先は行き止まりだったので、隣の階段を登ることにしました。
階段はどこまでも続き、シャンソンはヘトヘトになりながら、ついに塔の上までたどり着きました。そこには扉があり何か文字が書かれていました。
「調律室」
けれど、シャンソンには読めません。
中に入ると、そこには赤い素敵なカチューシャがありました。シャンソンは大喜びで飛び上がります。
その夜、彼女は見つけたカチューシャをつけたまま眠りました。やがて、夢の中で聞こえてきたのは、こんな言葉でした。
「戦闘歌姫の睡眠調律を開始します」