詩人――Little wing
詩人は真実を歌う
明けの金星に誘われて
青い光が降り注ぐ梢で
一羽の告天子になる
雲雀は妄言を歌う
「昨夜に見た夢は
最高だった!」と
でも告天子は――
陶酔に溺れない
詩人は気軽に話しだす
仲間と心を通わそうと
日差しが時を知らすよう
時機をふと感じて
雲雀は不実を歌う
「腹ペコで食べないと
確実にあの世ゆきだよ!」と
でも告天子は――
教訓は垂れない
詩人は断られても気にしない
孤独を抱えたまま飛びたつ
青い空や緑のオリーブの木々が
友達だと感じているから
雲雀は空音を歌う
「飛びたい気分だから
これから飛ぶよ!」と
でも告天子は――
説明はしない
詩人は気ままに、あるがまま
鼻歌やハミングを口ずさみ
自由を友に、天を舞う
心の翼、詩女神の風に誘われて
自己を見て他者を見て
中を見て外を見つめ
ふたつながらを一つの嘴と翼で
詩人は歌い羽ばたくよ
さながら、それは
翼と大気がひとつに溶けて
心と世界がひとつになって
歌いだすよう羽ばたくよう
詩人は真実を歌う
小さな翼で
星々を金に染めながら
宇宙を旅する