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52話 いきなり怒濤の展開

梢ちゃんの稽古風景に戻ってきました。

やっとここまできた(´-ω-`;)ゞポリポリ

 台本を持ち、セリフを喋る山城は…山城じゃないみたいだった。

 スポットライトを浴びるように、視線を集めてその場の空気を支配してしまう。

 

 何気なくその場を見ているつもりだった。

 でも、気がつけば…山城から目が離せなくなっていた。


「ハイ!!」

 立花さんの大きなカットの声がかかる。

 その声で張りつめられていた糸が切れたように、部屋にいた人達が各々の作業に戻っていった。

 それまで、周りの人達も動きもせず食い入るように山城の演技を見ていた事に俺は気付かなかった。

 ふと、隣りにいる博樹さんを見ると目が合って驚く。

「梢ちゃん、すごいでしょ」

 小さな声で俺に告げた博樹さんは、娘を自慢する親のように見えた。

 だって、すごく誇らし気に笑ってる。いやー、こんな博樹さん見るの初めてかもしれないなぁ。


 立花さんが山城に近づく。

 もちろん、演技指導する為とその場にいた全員が当たり前のように思っていた。

 しかし、立花さんは違った。山城の両手を包むように握って言った。



「山城さん、本番も主役をお願いできないかな」

 部屋の中がざわついた。俺は立花さんの言った意味がすぐに理解できなかった。


「立花!!」

 その怒鳴るような声を出したのが、部屋の一番後ろに立っていた清楚系お嬢様の部長で俺はビックリした。

 ゆるふわパーマの髪を揺らしてツカツカと白いヒールを鳴らして立花さんの前に立った。

 腕を組んで立花さんと対峙する姿に第一印象の清楚系お嬢様の姿は欠片も無い。

 けれど、威圧的な部長に立花さんは怯んでいなかった。

「部長、みんな薄々気付いてます。もう二人は部に戻って来ないと思います。

 それに、部長も見てたじゃないですか。山城さんならいけます!」

「これから二人の説得に行く私に向かって、戻って来ないって言い切るのね…立花」


 二人の睨み合いに挟まれている山城はきょとんとしてその場に立っている。

 俺がそのポジションに居ても呆然と立ってるだけだろうけど。手招きしてみたら山城は来るだろうか。

 どうすれば良いのかと博樹さんを伺ってみたけど、にこやかにビデオを回し続けていた。

 いや、ビデオは止めましょうよ博樹さん。


 しかし、ピリピリとした雰囲気の中で博樹さんに声をかける事も山城に手招きして呼び寄せる事もできす。

 俺は動けずに事の成り行きを見守る事しかできなかった。


「部長に勝算があるんですか」

「無いわよ、そんなもの。ほぼ0%よ。それでも最終決定を下すのは部長の私なの。

 演劇部の法律は私よ、嫌なら辞めるか部長の座を奪いにきなさい。

 そのどちらの気もないなら、私が納得できる手段を考えなさい。わかったわね、立花」


 口調は厳しい、けどあくまで笑顔を崩さない部長さん。

 にこやかな笑顔が恐いと感じたのはこれで二人目だ。

 博樹さんが「苛烈の演劇部」と言った意味が今少し垣間見えた気がする。


「…すみません。軽率でした」

 立花さんがペコリと頭を下げると部屋に居た部員全員が「ほっ」と揃えたように息をついた。

 決着がついたって事かな。


 部長がくるりと向きを変えた先は山城だった。

 そしてにこやかな笑顔のまま軽やかに山城に言い放った。

「山城さん、そういう訳だから明日正式に部として代役を本番まで引き延ばすよう依頼を出すからキチンと考えておいてね」

「…はい、考えておきます」


 部長さんが山城に頼むんだったら、同じとこをした立花さんを怒らなくってもよかったんじゃないか?

 抱いた疑問を素直に口にする事もできず、後で博樹さんになんであんなに部長さんが怒っていたのか聞いてみた。

「ああいう話は裏でコソっと根回ししといて、決まってから部員に報告したかったんだよ。

 未確定要素が多いと混乱するでしょ。人をまとめる側に立つと色んな事を考えなきゃいけないからさ」

 なるほど、今回の場合は。

 山城に代役を依頼して、本来やる人間が戻ってきたら混乱するって事か。

 本当にそうなったら山城は真っ先に身を引くんだろうけど。

「それに部長が立花さんを怒ったのは梢ちゃんに頼んだ事じゃなくて、あの場で頼んだ事だよ。

 納得できる手段って言ってたし、その内容を怒ったんじゃない」

「へ〜、よくそんな事まで分かりますね」

「立花さんも分かってたよ。謝ったのはあの場で言ってしまった軽率さで、自分自身が間違っていた事じゃない」

 ごく当たり前みたいな顔して言ってるけど、普通そこまで分からないってか考えない。


「まぁ、でも予想外の展開だよねぇ」

 そんなのほほんと言われても、本当にそう思ってんのかって言いたくなる。

 他人事だけど、山城の事じゃないか。

部長さん書いてて楽しかった♪

カッコいいよぉ!本当はもっとカッコいいけど、もうちょっと先で書けたらいいなぁ。

ねじ込むべきかしら(´-ω-`)ウーン

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