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32話、突撃!お宅訪問♪

 

 「…なんで?」

 俺が口にした一言はまずそれだった。


 あの山城の籠城騒動から数日もたたない内の事だ。

 その日、たまたまバイトが休みになって誰とも遊ぶ予定も無く、まったり過ごそうと漠然と思っていた時、家のチャイムが鳴った。

 ちょうど一階に居たのが俺で、南夏が珍しくゲームに熱中していたので俺がインターホンを取った。

「はい」

「宅急便でーす」

「はい、今行きます」

 

 俺はハンコを手にドアを開けた。

「…なんで?」

 宅急便だと言われたから俺は間違いなく荷物を抱えたお兄さんが立っているもんだとばっかり思っていた。

「なんでって心外だな」

 家の玄関前にはアロハシャツを着た博樹さんと白の半袖シャツに赤のリボンを巻いて、お馴染みのロングスカートを履いた山城が立っていた。

 俺の「なんで?」には三つの意味が含まれていた。

 なんで博樹さんと山城がここにいるのか。

 なんで二人が俺の家を知っているのか。二人というか絶対に博樹さんだけど。


 あと、なんで二人が一緒にいるのか。


 山城が博樹さんと宮下さんがホットケーキを食べてると電話をくれた後、メールで和解したと知らせてきた。

 どのように和解したのか知らないが、博樹さんの呼び出しに応じるほど壁は無くなったって事なのか。


 博樹さんの斜め後ろに立っていた山城が俺をジロジロと頭からつま先まで見回した。

「鼓…無事なようですね」

 どうやら俺をダシに連れ出されたらしい。

「博樹さん、何をしに来たんですか?」

「冷たいなぁ。サークルの仲間だろ」

 嘘くさい。明日也並に嘘くさい。嘘の質でいったら博樹さんの方が上だけど。

「鼓、顔に嘘くさいって書いてありますよ。私も同感ですけど」

 山城に言われてしまった。これはいけない、博樹さん相手ならもろバレだ。

 外に出て数分も経たない内に背中にじっとりと汗をかいてきた。

 まだ昼前なのに、玄関は日差しがもろにあたって眩しいし暑い。つーか暑い。


「取りあえず、中入って下さい」

 俺はドアを大きく開けてクーラーの効いた涼しい家の中に入ろうとした。

「あれ?入れてくれるの」

 振り返ると博樹さんが驚いていた。一体何を驚くんだ?このまま玄関で話を済ませるつもりだったんだろうか。

 いや、それは俺が無理。夏の日差しを甘く見てたら酷い目に合う。

「当たり前でしょう。こんな所ずっと立ってたら倒れますよ」

「意外と簡単に目的達成できちゃったや」

「へ?」

「突撃!お宅訪問♪」

 博樹さんの後ろから大きなしゃもじが飛び出してきそうな勢いだった。

 そんな冗談はさておき、本題はクーラーの良く効いた俺の部屋に二人を通し俺は台所で麦茶をコップに注いでいた。


「お兄ちゃんの友達?」

 顔はテレビに向いたまま南夏が聞いてきた。そんなにそのゲームは面白いのか。

「友達とサークルの先輩」

「それはそれは」

「どうしたんだよ」

「お兄ちゃんが友達連れてくるの初めてだから、珍しいなって」

「連れてきたってより、押しかけて来たんだけどな。南夏は友達連れてきたりしないのか?」

「みんな忙しいみたいだから。塾とか大変だよね、最近の小学生は」

 言ってる自分も小学生だろっとツッコミたくなる。

「ゲームもほどほどにしとけよ」

「はーい」

 麦茶の入ったコップをお盆にのせて俺は二階へ上がった。


 格ゲーって何時間もできるゲームだっけ?

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